平尾雅子 Masako Hirao のブログ -77ページ目

ハウスゾンネンシャイン

はやいもので、2008年に入ってはや2ヶ月が過ぎようとしています。1、2月はいつもならコンサートがとても少ない時期で、少し落ち着いて翻訳作業などに時間が取れるのですが、めずらしく今年は異なるプロがすでに6回、めまぐるしく過ぎてしまいました。オルティスの翻訳も最終段階に入ったとはいえ、まだまだやることがたくさんあり、お待たせしている方々には本当に申し訳ない気持ちです。でも必ずやり遂げますので・・・。


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2月16日に、富士のハウスゾンネンシャインで、主人の山岡とデュオのコンサートをさせていただきました。とても日本とは思えない、小さなチャペルのようなとても響きの良い空間です。私は以前にも弾かせていただいたことがありますが、リコーダーとは始めて。音色の美しさに驚きました。良い建材を使うと日本でもこんなに素敵な響きの部屋を作ることができる。あらためて楽器にとっての響かせる空間の大切さを感じました。本当に古楽器にぴったりです。主催者の北川雅子さんに、建築のとき大工さんにわかってもらうのが大変だったけど、妥協せずにお願いしてやってもらったこと、客席のためにヨーロッパで木製のベンチを買って送ったこと等々、ご苦労話をいろいろとお聞きしました。貸してもいらっしゃるようなので、もっと古楽器の鳴る機会がどんどん増えるといいなと思いました。

リサイタルのチラシデザイン作り

今年7月8日(火)にハクジュホールで、リサイタルを行うことになりました。レコードアカデミー賞受賞記念ということで、今までのCD「マラン・マレの横顔」I~IVと、7月7日発売予定の V の中から選んだ曲をプログラムにしようと思います。


出演はおなじみのリュートの金子浩さん、チェンバロの芝崎久美子さん、そしてガンバの頼田麗さんです。頼田さんは、私のところでガンバを始めて、その後バーゼルのスコラ・カントールムに留学、P.パンドルフォ氏のもとで学び、昨年卒業して帰国なさった、意欲満々、期待の若手です。今回はハクジュホールということで、マネージメントのアレグロ・ミュージックがご協力下さいます。


実は只今、チラシデザインの大詰めです。今度のチラシは、雰囲気のある写真が定評の「二月空」で撮っていただいたモノクロ写真を使うことにしました。最初はこれらの写真が今回のプログラムにぴったりと思い、イメージも湧き、すぐにデザインできそうな気がしていましたが、モノクロ写真というのは、チラシのデザインに使うのは意外と難しいものでした。「これならデザイナーに頼まなくても」、と思ったのが苦労の始まり。


とんでもなくたくさんの極彩色で派手なチラシの中で、人の目に止まるものを作るためには、最初の構想ではとても地味すぎで実際には通用しないらしいことがわかりました。まるでコンピューター音痴の私に代わって、主人と主人のお弟子さんの石館さんがやってくれていますが、最終段階で色や字の大きさなどを決めるのに、毎晩主人と半分けんかしながらの作業です。


さて、人目に止まるチラシができますかどうか。3月に入りチラシができたら、HPにもアップしますので、見て下さいませ!

レコードアカデミー賞授賞式

1月21日音楽の友ホールで2007年レコードアカデミー賞授賞式が行われました。私にとっては初めての経験でしたので、最初のうちはとても緊張していました。というのもレコード会社への賞状授与のあと、ご挨拶をするとになっていたのです。はたして私がこのような場にいてよかったのかしら、というような気分がしていました。


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声楽部門、アカデミー大賞銀賞のBCJの鈴木雅明さんが、手慣れた口調でロ短調ミサの録音の経緯を楽しくお話しになったあと、器楽部門、ピアノの仲道郁代さんもとてもおちついてベートーベン録音についてのお話をされました。いよいよ私の番になって、考えていた話の内容はまとまらないままどこへやら・・・、う~ん、そうだ、昨日のホットな感動をご挨拶代わりにお話ししよう、と思いつき、壇上へ登りました。


というのは、授賞式の前日に友人(実はこのHPでお世話になっている宮崎政男さん)のお宅で、京懐石をごちそうになり、私たちのやっている音楽活動と共通点がいくつもあることに驚いたのです。(彼は日本料理の学校で勉強し、板前を志したこともあるそうなんです。)彼いわく、「京懐石というものは、大勢の方にお出しできるものではありません。少人数のかたに心を込めて細かいところまで行き届いたおもてなしをするのです・・・。」私たちの音楽も、単位は違っても、大ホールの舞台で大勢の聴衆を前に演奏するよりも、当時の本来の姿に近い、小さな空間で、息づかいまで伝わるほどの距離で演奏するときに、いちばん良さがわかってもらえる、そういう種類の音楽です。


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また、彼いわく、「京懐石は、調味料はできる限り使わず、吟味された材料の素材のうまみを100%引き出すことをいちばんに考えています・・・。」おだしを取るにしても、選ばれた昆布や鰹節を使い、順番、タイミングすべてがうまくいったときにだけ、おいしいものができる。経験がものを言い、五感をすべて使って料理する。なるほどと思いました。我々の音楽もまた、楽器を選び、育て、楽譜を吟味し、ルネサンスやバロックの演奏様式を学び、テクニックを磨き、そして右脳を最大に働かして音楽をします。彼は、料理は物理だとおっしゃっていましたが、それは、料理は感性だけはできない、物理と鋭い感覚の両方が不可欠であることをおっしゃりたかったのだと思います。というか、「裏付けあっての感性」と言うことなんだと思います。古楽器演奏も同じです。(「料理は物理」、そういえば、似たようなフレーズを聞いたことがあるなぁ、そうそう、私の7弦ガンバの製作者鈴木さんが以前、「楽器作りは物理だよ」、っておっしゃっていました!)


さらに、彼いわく、「京懐石は、万人のための食べ物ではないんです・・・。」これは、一見お高くとまっているような発言と思われるかもしれませんが、そうではなく、誰にでも好まれるポピュラーなものではない、という意味で、事実そうだと思います。濃い味やはっきりした味を好む人には、京懐石は物足りない、あじけのないものと思われるでしょう。材料から出たうまみを味わう鋭い感覚がないと、いえ、そういうものを味わう習慣がないと、わかりにくいものだと思います。私たちのやっている音楽も、音量の大きい派手でスピードのある音楽を聴き慣れている人にとっては、きっと物足りない、もどかしいものではないかと思います。しかし、時間がかかるかわりに、自動車では気が付かなかった、道ばたの名もない美しい花をゆっくり愛でるように、美しさを逃さず享受するには、”ていねいさ”と敏感な感受性が必要です。たくさんの聴衆に楽しんでもらえることは、もちろんうれしいことですが、妥協を許さないこだわりは、つねに持ち続けていたいと思います。懐石料理との共通点を挙げながら、私がこうありたいと思う古楽器演奏について、このようなお話ししました。

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あとは、私のマレを録音したいと思う願望を実現させて下さり、しつこい編集を忍耐強くこなして下さるコジマ録音への感謝の気持ち、そして、なんといっても、このCDのもう一人の主役であるリュートの金子浩さんの素晴らしさをご紹介しました。事実、リュートでこれだけの通奏低音を弾くことは大変なことだと思います。通奏低音というより、ほとんどデュオのCDなのです。彼のこの仕事への評価がもっとあるべきではないかと思っています。


ともあれ、レコードアカデミー賞受賞は、大きな励みになりました。まだまだ理想にはほど遠い演奏しかできませんが。音楽は生涯学習ですから・・・。

明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します!


お正月はみなさまいかがお過ごしでしたでしょうか?
我が家は新年会が続き、忙しいお正月でした。おせちあり、ラーメンあり、たこ焼きあり・・・もちろん全部自家製です!


さて、1月14日、我が家の近くの横浜市立歴史博物館で、”第35回ウィークエンド・コンサートin田園都市”新春コンサートを行いました。今回は、レギュラーの主人山岡重治、本村睦幸、下山真理子そして私に、息子の清治を加え、3本のリコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロで演奏しました。


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一年半、会場探しでブランクがあったこと、そして新人の出場、下山さんの復帰といったことが重なったせいか、会場は殆ど満席になり、華やかな雰囲気になりました。初めての会場となった歴史博物館の講堂は、レクチャーに使われることがほとんどで、コンサートはあまりないようでしたが、残響はあまりないものの、クリアーなよい音で伝わるようなので、今後もしばらくはここでシリーズを続けることができそうです。


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田園バロックシリーズは、清治が幼稚園のときに第一回を開催しました。そのころからずっと手伝って下さるスタッフの牧野博文さんやご来場下さっている常連のお客様から、今回清治が共演して、「歴史を感じます。」と言われ、確かによく続けてきたなぁと思いました。親としては、メンバーの足を引っ張らないか心配することもありましたが、本番ではいいアンサンブルができて内心ほっとしました。下山さんはずっと腱鞘炎で手を痛めてお休みしていらっしゃいましたが、めでたく復帰。これから徐々に演奏の機会を増やしていって欲しいです。


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今回は本村さんと私が無伴奏でプレシャーのかかる曲を演奏しました。アンサンブル曲の間で無伴奏を弾くのは、気持ちの切り替えが難しいもので、精神的にとても緊張します。お客さんにもそれは伝わるようで、数人の方から、通奏低音付きのほうが楽に聴けると言われました。私個人的には反省点はあるけれど、久しぶりにテレマンの無伴奏ソナタを練習して、この曲が以前より好きになりました。でも、弾く場所、場面を考慮することも必要だなと思いました。


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主人の山岡が、一人増えた田園バロックの座長としてきちんと締めてくれたのは、なにか年輪を感じさせるものがありました。ともあれ、何回も危機にみまわれたこのシリーズが、これでまたしばらく続けられそうなのはうれしいことです。


手作りコンサートは、主催者から依頼されて演奏するコンサートとは違って、会場決めからチケット、チラシ作り、宣伝広告まで、自分たちでやらなければならないことが大変多く、続けるのは決してたやすいものではありませんが、「ヨーロッパの都市のように、その地域のお客さんに近くで気軽にちゃんとしたコンサートを」、というコンセプトで始めたこのシリーズ。もちろんお近くの方々ばかりでなく、ひとつのカラーができあがったこのシリーズを楽しみにしていて下さる方々がいらっしゃるかぎり、モチベーションは保てそうです。



マラン・マレの横顔3 【リュリ氏を偲んで】

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2002年レコード芸術特選盤

【共演】
 チェンバロ/ 芝崎久美子
 トリプル・ハープ/ 西山まりえ
 ヴィオラ・ダ・ガンバ/ 石川かおり

【曲目】
 1. 組曲ロ短調(第2巻,1701) 
 2. 組曲ト長調(第5巻,1725)
 3. 組曲イ短調(第3巻,1711) 

ALMコジマ録音 ALCD-1035 
http://www.kojimarokuon.com

マラン・マレの横顔4  【万華鏡~喜び、哀惜、官能 そして愛】

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2007年レコード芸術特選盤
2007年レコードアカデミー賞受賞

【共演】
 アーチリュート/ 金子浩

【曲目】
 1. プレリュード ニ短調(第4巻) 
 2. 含み笑い(第4巻) 
 3. アラベスク(第4巻) 
 4. 夢見る女(第4巻) 
 5. ポロネーズ(第2巻) 
 6. ミュゼット(第3巻) 
 7. サント・コロンブ氏を偲んで(第2巻) 
 8. サラバンド 「深い悲しみ」(第2巻) 
 9. バディナージュ(戯れ)(第4巻) 
 10. プレリュード ニ長調(第1巻) 
 11. ファンタジー(第1巻) 
 12. 人の声(第2巻) 
 13. 鐘もしくはカリヨン(第2巻) 
 14. 嘆き(第3巻) 
 15. シャコンヌ(第1巻) 
 16. ロンドー「優美」(第4巻)

ALMコジマ録音 ALCD-1084
http://www.kojimarokuon.com

王のパヴァーヌ ~空想 安土城御前演奏会~ 信長公ご所望の南蛮音楽

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【共演】
 カウンターテナー/ 上杉清仁
 リコーダー、ドルツィアン、ショーム/ 古橋潤一
 リュート、ビウエラ/ 永田平八
 ダブル・ハープ、オルガン/ 能登伊津子
 スピネット、ミュゼット、ギター/ 上尾直毅
 ヴィオラ・ダ・ガンバ/ 櫻井茂
 パーカッション/ 神田佳子
 構成・ヴィオラ・ダ・ガンバ/ 平尾雅子

【曲目】
 1.王のパバーヌ(作者不詳)
 2.ヴェッキ:知ってるよ、誰がいい目を見てんのか
 3.ルッフォ:ピヴァ(バッグ・パイプ)
 4.ジョスカン・デプレ:千の悲しみ〔原曲〕
 5.ナルバエス:皇帝の歌(千々の悲しみ)
 6.マイオ:老いぼれ婆さんは、みんな意地悪
 7.カベソン:「騎士の歌」によるディフェレンシャス
 8.フォリア(作者不詳)
 9.サンドラン:甘き想いで〔原曲〕
 10.オルティス:「甘き想いで」によるレセルカーダ
 11.オルティス:パッサメッゾ・モデルノ
 12.ノーラ:よく見ておくれ、ぼくの心を奪ったその女を
 13.モンズィーノ、ガリレリ編曲:コントラプント第1番&2番
 14.作者不詳、スザート編曲:サン・ロッシュのベルジュレット
 15.ガストルディ:ガリアルダ「恋に落ちて」
 16.ムダーラ:ファンタシア第1番
 17.ボヴィチェッリ〔原曲:ローレ〕:別れの時には
 18.作者不詳、セルミジによる:バス・ダンス「喜びをあなたにさしあげましょう」
 19.ヴェルドゥロ、ヴィラールト編曲:なんと幸せな日でしょう
 20.ボヴィチェッリ〔原曲:パレストリーナ〕:ああ、私はこんなに傷ついて
 21.若い娘(作者不詳) 
 22.スパニョレッタ(作者不詳) 
 23.カベソン:「イタリアのパヴァーヌ」によるディフェレンシャス

マイスターミュージック Musica Humana MH-1170
http://www.meister-music.com/early.html

~ドイツ・ヴィオラ・ダ・ガンバ音楽~ ダニューブ河のこだま

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【共演】
 ヴィオローネ、コントラバス/ 西澤誠治
 オルガン/ 上尾直毅
 テオルボ、リュート/ 金子浩
 カウンターテナー/ 上杉清人

【曲目】
 1-7.J.シェンク:無伴奏ソナタ イ短調 作品9-6(「ダニューブ河のこだま」より)
 8-12.J.シェンク:ソナタ イ短調 作品9-2(「ダニューブ河のこだま」より)
 13.A.キューネル:ソナタ 第7番 ト長調
 14.A.キューネル:ソナタ 第10番 ト短調「主イエスキリストよ、汝最高の宝よ」
 15.D.ブクステフーデ:カンタータ「主に向かって歓呼せよ」

マイスターミュージック Musica Humana MH-1136
http://www.meister-music.com/early.html

私とヴィオラ・ダ・ガンバ その5

昨年1月に発売になったCD「マラン・マレの横顔 IV, 万華鏡」が2007年レコードアカデミー賞(音楽史部門)に選ばれました。このシリーズの4枚目で、今まででいちばん小さい編成のリュートだけの通奏低音です。決して派手とは言えないCDですが、皆川、美山、濱田、那須田先生方からこの上ないご好評をいただき、本当に大きな励みになりました。

実をいうと、録音する前は、選曲からリハーサル、新しい楽器の調整(ドンマイヤー、鈴木作7弦)等々、かなりの時間を費やし、”渾身の気合いを入れた一枚”のつもりでしたが、録音を終えてCDになった段階では、ゆったりとしすぎた演奏になってしまった気がして、果たしてどのように受け入れられるものか、どんどん自信がなくなっていくようでした。もっとも自信があるCDなど今までで一枚もありませんど・・・。

私はいつもCDの編集の段階では、何回も何回も繰り返して聴きますが、製品として出来上がってからは、ほとんど聴きません。というのは、10年くらいたつと少しは客観的に聴けて結構楽しめたりするのですが、発売されてすぐは、あそこはこうすれば良かった、今だったらこうするのに・・・と、細部ばっかり気になって、まったくいい気分でなんか聴けないのです。この前の「私とヴィオラ・ダ・ガンバ」で書いたような最近の流行とはまったく逆行したCDですし、好き嫌いが分かれると思います。でも、このCDが受賞したことで、マレの美の一面を世間に知ってもらえるきっかけになったら、本当に嬉しいことだと思います。

共演して下さった金子浩さんは、とてもねばり強い人で、時間をかけて音楽をじっくり練るタイプの音楽家です。彼なりの音楽的アイデアも豊富で、随分ディスカッションしました。それは、テオルボにするかアーチリュートにするかの議論から始まりました。テオルボはフレンチらしい深い和音が得意で、雰囲気としては最も相応しく、当時もテオルボを使うことが多かったと思われますが、残念ながらアーチリュートのような中高音域での広がりがありません。いろいろ試した上、結局この録音では、ガンバとのデュオの対話を重んじるべく、対旋律の付けやすいアーチリュート調弦でやることになりました。

とはいえ、リュートだけで効果的な通奏低音のできる曲選びはやさしくはありません。調性などチェンバロに比べて制限の多い楽器なので、それなりにリュートならではの長所を生かせるものでなくては、あえてこの組み合わせにする意味がありません。ガンバとリュートのピアニッシモの美しさを大切に、この編成ならではのきめ細かい表現をめざし、マレのメッセージを見逃すことなく音にしたいと思いました。また今回のように通奏低音の低弦がない場合、通奏低音声部に細かい音符が多いと、リュートはそれだけで手一杯になり、和音や対旋律を付けることが難しくなるので、むりに全曲通してリュート一本に相応しい組曲を探すのはやめて、ピエス(小品)としてマレ全曲をながめ、そこからこの編成に適する曲を選んで、繋がりよく並べることで、「人生の万華鏡」のように仕立てようと思いました。ただこのような方向で曲選びをしていると、似たような曲が候補に挙がってしまい、メリハリのないプログラムになってしまう危険があります。そのあたりが今回の曲選びでいちばん苦労した点と言えます。たくさんの制約の中で、それでもこの雰囲気だけはこの組み合わせにしかできないこと、それがあるからこそやる価値がある、そう信じて作ったCDでした。

マレを弾きはじめて、はや35年。でもまだまだ今まで気が付かなかったこと、新たな発見があります。スポーツ選手ならとっくに現役を退いている歳ですが、つくづく音楽家でよかったな、と思います。

2007年最後のコンサート

今年最後のコンサートは22日、久しぶりの岡山でした。バロックダンスの湯浅宣子さん主催で、岡山県立美術館ホールでありました。湯浅さんとごいっしょするのは初めてでした。彼女のバロックダンスへの熱意は並大抵のものではなく、本当によく勉強なさっていて、企画すべてを取り仕切り、衣装もご自分で作られ、綿密に計画された催しでした。


家事もきちんとこなし、3人のお子さんの母、そのフットワークの軽さには脱帽でした。まるで彼女の一日は30時間以上あるようです。共演は、リコーダーの奥田直美さんとリュートの佐野健二さん。オトテール、フィリドール、マレ他、フランスバロックの有名どころが並んだプログラムでした。


しかしほとんどの岡山のお客さんには珍しい音楽だったことでしょう。全体として反応がおとなしい印象でした。でも今後もっとこのようなコンサートが開かれれば、きっと興味を持って下さる方も増え、広がっていくでしょうし、その意味でも地元の湯浅さんを応援したいと思いました。


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今年も、いろんなところを訪れ、たくさんの人とお会いしました。来年はどんな出会いがあるでしょうか。楽しみです。HPを始めてほぼ半年、やっと少し慣れてきましたが、日々の仕事に追われて、書こうと思っていても日がどんどん過ぎてしまって、なかなか全部は書くことができません。


相変わらず腰や膝が痛いし、若いときのようには体が動きません。でも音楽をしているときの喜びは衰えるどころかどんどん増しているようです。年末に転がり込んだレコードアカデミー賞受賞のニュースは、とても励みになります。これからもこのHPで、私の音楽生活の裏話や秘話などお伝えしていきたいと思います。
どうぞみなさま良いお年をお迎え下さい。


また来年!