Q&A4011 海外在住、アッシャーマン症候群でした | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 現在不妊治療中ですが、内膜がなかなか厚くならない事と子宮の血流が良くないとの事から、子宮鏡検査を行い中等度の癒着が見つかった為、癒着剥離の手術を行いました。先生のブログを読み、アッシャーマン症候群というのがあることを知りました。


過去のブログの記事にて(2018.10.28「子宮鏡下子宮内癒着剥離術後の妊娠予後」)、癒着剥離術の妊娠予後は良くないとされているということを初めて知りました。現在33歳(採卵時31歳)、昨年第一子出産後(自然分娩)に生理の量が軽くなった感覚があり、恐らく産後に癒着したのではないかと考えております。これまで子宮筋腫等の手術歴はなく、今回が初めての子宮の手術となり、今後癒着の再発がないか確認予定です。そこで今後の移植について相談です。
①術後どれくらいの期間をおいてからの凍結胚移植が望ましいでしょうか。
②癒着の再発が確認された場合はどうすれば良いのでしょうか。
③移植し妊娠が成立した場合はハイリスク妊婦に分類されますか。

海外で治療中で、手術前にこういった内容を知らなかった為、手術を受けない方が良かったのかととても不安になり、今後の移植をどうすべきか悩んでいます。過去の記事(2021.10.29「アッシャーマン症候群の妊娠予後に影響する因子」)でも自身に当てはまる事が多く、妊娠が成立したとしても予後が心配になりとても不安です。

 

A 中等度の癒着であれば、あまり否定的に考える必要はないと思います。

①癒着の再発がないことを子宮鏡で確認できれば、すぐに移植可能です。
②癒着の再発があれば、もう一度TCR(子宮鏡下子宮内癒着剥離術)を行います。
③日本でのハイリスク妊娠は「妊娠初期リスクスコア」による点数制であり、4点以上をハイリスク妊娠といいます。TCR手術2点+体外受精2点=4点となり、ハイリスクです。

 

アッシャーマン症候群については、下記の記事を参照してください。

2021.10.29「アッシャーマン症候群の妊娠予後に影響する因子

2020.5.7「難治性のアッシャーマン症候群に新しい治療を行うべきか:賛成派 vs. 反対派

2018.10.28「子宮鏡下子宮内癒着剥離術後の妊娠予後

2018.8.12「アッシャーマン症候群は医原性疾患?

2018.8.9「子宮内膜細胞シートによる子宮内膜修復

2018.6.13「ヒト骨髄由来幹細胞による卵巣機能の回復:マウスモデル

2016.12.12「アッシャーマン症候群への新たな治療:月経血由来の間質細胞移植

2016.5.11「アッシャーマン症候群や子宮内膜萎縮への新たな治療

2015.12.22「骨髄CD133細胞移植によるアッシャーマン症候群の新たな治療

2013.7.29「骨髄中に卵子の元の細胞があります♡

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。