恋愛をはじめるとき、

 

 最初はゲーム感覚ではないだろうか。

 

 落とせるか、落とせないか、落とされるか。

 

 駆け引きを楽しんだり、嘘と本気を見極めようと画策する。

 

 

 最初から、本気、という恋愛は、

 

 私にはない。

 

 最初は全部、ゲーム感覚ではじまる。

 

 

 

 ゲームには勝敗がつきもので、

 

 勝負がついたら終わる。

 

 野球とか、チェスのように。

 

 

 

 勝ったら(落とせたら)おしまい。

 

 負けたら(落とせなかったら)おしまい。

 

 

 

 私が落とされることは、ゲームの中ではない。

 

 

 私に落とされた男は、本気になって追いかけてくる。

 

 でも、私の中で、落とした(勝った)ゲームは既に終わっている。

 

 勝敗決まったゲームに、なぜもう一度、参戦しなければならないのか?

 

 

 だからいつも、私は逃げてしまう。

 

 終わったゲームをまたやるのは、おもしろくない。

 

 

 でも、ゲームがいつまでたっても終わらない場合もある。

 

 

 

 ゲームの中でプレイしながら、

 

 いつのまにか、

 

 

 本気でゲームを始めることもある。

 

 

 野球のゲームをしていて、いきなり大乱闘になったり、

 

 子どもがふざけ合っていて、いきなり本気で喧嘩をはじめたり。

 

 真剣に恋しているふりして、気づいたら完全に惚れていたり。

 

 

 不倫も、たいていこんな感じじゃないだろう。

 

 

 結婚していて、最初から本気で相手を好きになることなんて、あるんだろうか。

 

 

 最初は、性的な魅力だけだったり、

 

 最初は、人のものにちょっかいだしてみたい興味本位だったり、

 

 最初は、さみしさ紛らわすための、ほんの火遊びだったり。

 

 

 誰しも最初から、家庭を壊そうなんて思っていない。

 

 でも、不倫というゲームでプレイしている間に、

 

 勝敗の決着がつかないままに、

 

 いつの間にか本気になることがある。

 

 

 本気でゲームをする。

 

 

 遊びじゃない。

 

 

 そうなると、相手の家庭が気になったり、

 

 相手と本気で結婚したくなったりする。

 

 

 今の私のゲームは、まだ終わっていない。