TBS元ワシントン特派員と、女性ジャーナリスト(何の記事を書いたことがあるのか?)の事件。
TBS記者から仕事の話を切り札に酒場に誘われたため同席したところ、
酔わされて、レイプされた、と被害者が主張している事件。
 
これをテーマに、報道業界で仕事取りたい子の目に留まるといいなぁと思いながら、私見を書きます。
今回は、大事な話なので、長いです。
 
あと、ハッキリ言って、キツい論評になりますので、耳が痛い方や、気分悪くなる方もいるかもしれない。
でも、マスコミ正規雇用経験者の感覚から、かなり正直に綴ることにします
 
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考えれば考えるほど、なんでウチの業界は「人脈を頼れば仕事取れる」神話にすがりすぎる人が多いのか、不思議でならない。
神話をチラつかせる側も、信じてしまう側も、とにかく多い。
 
最初にハッキリ言っておく。
マスコミ業界において、人脈で仕事が取れるのはキャリア組。若手ではない。
だから、本気でマスコミに入りたいのなら、下らない神話に振り回されないのが良い。
ハングリーであるのと、神話に振り回されるのは、全く違う。
受かる子達は、いちいち神話に振り回されないし、ハングリーながら冷静だ。
 
業界人と二人で酒飲むのは自由だけど、酒イコール仕事獲得にはならない。
酒場での相談事なんて、聞き手が面倒臭くなったら「酔った、忘れた」と言い逃れできてしまうのだから、
酒飲みながら深刻な相談なんてしないほうが良いし、そこに期待を持つべきではない。
 
 
さて、事件ですが。
酒は酒、仕事は仕事、レイプはレイプ。
 
この事件、話がグチャグチャに展開されすぎている雰囲気あるし、もっとドライかつフラットに対処すべき気もする。
 
酒と仕事とレイプをグチャ混ぜにして語りつがれているから、勝手な憶測記事やら2chやらが独り歩きしてしまい、
挙句の果ては「マスコミは枕営業の世界」と誤解されてしまう。
勘弁してほしい。
 
マスコミは、一瞬で人の感性に訴えかけたり社会の哲学を動かしたりする伝え手集団。
細分化したら、記者、リサーチャー、アナウンサー等々、分かれているものの、根っこは同じ「伝え手」。
 
彼女がどの伝え手になりたかったのか知らないけれど、
正規雇用されるレベルの伝え手ならば、彼に過去2回も会って2回とも仕事の紹介をお願いしていたのに
東京で酒飲むまで採用されない、なんてことはなかったと思う。
 
だって、うちの業界内部者は、才能ある人が目の前にきたら「即買い」したがるから。
他社に取られたくないもん。
 
ビザとかTBSでなんとかなる的な軽口を
たたいた彼は確かに悪いけど、
ワシントンから一時帰国している彼にとって、東京での彼女とのご飯は、
まさにメールで彼が書いた通り、「野暮用ついでにご飯どう?」という、軽いノリだったと思えて仕方ない。
 
彼女は、マスコミに対するアプローチの仕方を間違えたうえに、厄介なことに、ハングリーすぎて、
男目線あるいは業界人目線で、モノを冷静に見られていなかった気もする。
 
だから、神話の罠にハマった。
 
私の周りにいる「受かった子たち」は、みんな、神話なんて信じていなかった。
受かるまでは、相手も、いかなる甘い現象も、信じない。ひたすら自分を信じていた。
 
これから受ける子達も、そうであってほしい。
 
著名人とのご飯なんて、マスコミ内部に入ってからいくらでもできるんだから。
受かる子は行動の順番を間違えない。ハングリーだけど、冷静だ。
 
 
人脈頼みでどうにか入社を. . . 内定取る前にそういう思考を少しでも持つのなら、別の業界に行くほうがいい。営業とか。
 
専門職志望なのに、才能磨きよりも政治力を頼る発想の子は、
うっかりうちの業界に入ることができても、すぐにお荷物にされる。
 
素敵な人脈よりも、際立つ才能が賛美される、冷酷な世界。
神話を楽しむことはあっても、頭の中では、一切神話なんて信じない冷酷な集団。
 
 
「キミは人付き合いがいいね。職場にいたら楽しいだろうな。
でも、僕はプロだから、楽しく酒飲めるキミよりも、僕には懐かないけど才能ある別のビッチを採用するよ。」
 
神話を信じる側はこの発言の前半だけ信じ、神話をただ楽しむ側は後半に真意を込める。
前半の発言を聞いたら舞い上がるような子は、ぜひ気をつけてほしい。
 
私達は、業界にぜひ欲しいと思える子に出会った際は、酒でもご飯でもなく、きちんと、局に連れて行く。
 
だから、「選ぶ側」にしてみれば、実は、志願者とのご飯も酒も、どうでも良い。
残念だけど、心底どうでも良いのだ。
 
私達が待ち望んでいるのは、楽しい酒よりも、才能。才能を磨く努力を惜しまない子との出会い。
 
有力者との食事が正規雇用に結びつくことは、マスコミだからこそ、ない。
若手に対して神話は実現化しない。ぜひ覚えていてほしい。
 
なぜ、そうなるのか。
答えは「マスコミだから、なおさら」だ。
 
マスコミに入りたい若手には、これを機に、マスコミって何なのかを、冷静に考えてみてほしい。
 
あなたの言葉が、あなたの顔の表情が、あなたが取材した内容が、あなたが選んだ色彩や音声が、
ストーリーを以て、日本国民の意識を変えうる。それがマスコミだ。
 
そんな職業に相応しい人を、酒、串焼き、留学歴なんかで、アッサリと採用する筈もないことに、気付いてほしい。
選ぶ側は、もっと厳しい視点で選ぶ。
業界人にご飯に誘われたくらいで、いちいち神話に振り回されてはいけない。
 
あと、女性に人権があるように、男性にだって人権はある。
報道機関で働きたいのなら、その公平な視点を忘れないでほしい。
 
何度も繰り返すが、酒は酒、仕事は仕事、レイプはレイプ。
 
本来は別々にcategorizeすべき話を、彼と彼女のどちらがmixしたのか。
まずはそこを明確にすべき事件だと思うし、この事件を機に、
これからマスコミに入りたい人は、こんなふうに、いかなる点についても、
多角的に、冷静に、判断する癖をつけてほしいと思う。
 
他の業界に就職した人達のように、正攻法で履歴書送って、正攻法で面接(オーディション)受けて、正攻法でマスコミに就職した自分や周りからすると、
 
神話をベースに、仕事をチラつかせて女性を串焼き屋に連れて行ったり、
若手女性が酒飲みながら将来性のある仕事の話を自分にしてもらえると本気で思い込んだりする、
その両者の、正攻法ではなく変化球を利用したがる感覚. . . 神話に頼りたがる性格が、不思議でしかたない。
 
両者とも、プロフェッショナルとは言い難い。