2015年 日本
監督:小林聖太郎
出演:松坂桃李、miwa、西田敏行

マエストロ


不況のあおりで解散したオーケストラが再結成しコンサートを目指す。

指導するのは、天道徹三郎(西田敏行)という怪しげな、ヒゲもじゃの、フーテンのような、おっさん、オヤジ、いや・・・ジジイだった。。



クラシックに関してはまったくの素人、音痴ですが、この映画は楽しめました。もっと早く観ておけば良かった。

専門用語が飛び交うので、たびたび??なところはあるものの、これがまた山椒のようにピリリと効いて映画に深みを与えていますね。

クラシックが分かる人なら私の何倍も楽しいでしょう。

バラバラで音も良くなかったオーケストラが、ジジイの指導によりみるみるうちに素晴らしい音を奏でるようになる。厳しさにおいて若干、「セッション」(2014)と重なる部分もありましたが、基本このじいさんは優しいです。その優しさが最高潮に達するのがラスト。


使用曲は、ベートーベンの"運命"とシューベルトの"未完成"。演奏はベルリン・ドイツ交響楽団とあるので、本物が演奏しているんでしょうね。聴きごたえがありました。

ベートーベンの"運命"の出だしは「ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン」ではなく、「ン、ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン」だという話は興味深かったですね。「ン」は休符と言って、音を出さない部分を言うのだそうです。

確かに、よくよく聞いてみると、「ン、ジャ、ジャ、ジャ、ジャーン」ですね。深いなあ(感嘆)。

あともうひとつ意味は分からないけれども心に残ったのは、主役のバイオリニスト香坂真一(松坂桃李)に対し「3本でやれ」という天道の言葉。これに挑む香坂。しかしなかなか上手くいかない(らしい)。そしてラストでそれが出来て涙を流す。おそらく相当なことをやっているんだろうと察しはつくものの素人にはこの部分は理解不能です。しかしこれはこれでいいんでしょう。敢えて理解しなくても。どうやら「3本でやれ」というのは「3本の絃でやれ」ということのようです。


じいさんの妻が若かりし頃、少年時代の香坂に言う言葉「この世で一番美しいものは音楽でしょう?」。一昨日の「オデッセイ」でも感じましたが、まさに至言ですね。


エンディングで流れるのが辻井伸行さん作曲による主題曲"マエストロ!"・・・美しい旋律です。4分ごろから。



予告編






ブログパーツ