今日は、フレッド・アステア主演のミュージカル映画「踊る騎士」(1937)です。

前年の「有頂天時代」が公開当初こそ大ヒットしたものの、間もなくして下降線をたどり始めたことや、同年の「踊らん哉」が興行的に伸び悩んだことなどにより、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースは一時的にコンビを解消。次回作となった「踊る騎士」では別のパートナーを探すことになります。

候補にはアリス・フェイやルビー・キーラーが上がりましたが、最終的に決まったのはジョーン・フォンテイン。


フォンテインはアステアのパートナーには違いないのですが、クレジットの順番もフレッド・アステア、ジョージ・バーンズ、グレイシー・アレンに続いて4番目。期待度という点でも低かったということでしょうか。


ジンジャー・ロジャースからフォンテインに変わり本格的なダンスが観られなくなったこともあってか、興行的には振るわなかったようです。

ジョージ・ガーシュウィンとアイラ・ガーシュウィンが提供した楽曲はどれも素晴らしく、個人的には大好きな作品ですがなかなかDVD化されることはありませんでした。持っていたレーザーディスクは機械の故障で鑑賞できずフラストレーションがたまる一方でしたが、1年半ほど前にようやくDVD化され即行で購入。

何度観ても素晴らしいです。


1937年 アメリカ
監督:ジョージ・スティーブンス
出演:フレッド・アステア、ジョージ・バーンズ、グレイシー・アレン、ジョーン・フォンテイン

踊る騎士


フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースがRKOから出演した9本の映画の狭間で製作された作品。


城に住む貴族の令嬢アリス(ジョーン・フォンテイン)が誰と結婚するかをめぐり、使用人の間で賭けが行われている。帽子の中に結婚相手となりそうな男性の名前を書いた紙を入れておき、使用人たちが一枚ずつそれを取り出す。アリスが結婚を決めたとき、その男性の名前が書かれた紙を引いたものが掛け金を総取りするというものだった。

アリスがロンドンを訪れているときに出逢うのが、ダンサーのジェリー・ハリデイ(フレッド・アステア)。

アリスには好きな男性がいた。しかし賭けに勝つため、使用人のひとりがアリスのふりをしてジェリーを招待する手紙を書いたことからひと騒動が持ち上がる。


ジョージ・ガーシュウィンの曲とフレッド・アステアの歌と踊り、ジョージ・バーンズとグレイシー・アレンのコミカルな演技が堪能できます。


アステアとフォンテインが踊るのはわずかに一回。それもほとんどがアステアの独演。このときの曲は、"スィングス・アー・ルッキング・アップ"。



フォンテインの代わりにミュージカルシークエンスで多く登場するのがジョージ・バーンズとグレイシー・アレン。このふたりは夫婦としてコメディアンとしてのチームを組み、多くの作品で共演しました。

とにかくアレンが面白い。というか可笑しい。ひとつひとつのセリフが笑わせる。彼女には常に人を笑わせようとするところがあるんです。アレンの主演作品として「カレッジ・スイング」(1938)という作品もあります。笑いたい方にはこちらもおすすめです。


ロンドンの街頭でアステアが踊る"アイ・キャント・ビー・ボザード・ナウ"



遊園地でアステア、バーンズ、アレンが踊る"プット・ミー・トゥ・ザ・テスト"や"スティフ・アッパー・リップ"が楽しい。この遊園地のシークエンスがなかなか凝っていて、練りに練って作ったという感じがします。


また、アステアが霧の中をそぞろ歩きながら歌う"ア・フォギー・デイ"(霧深き日)はスタンダードとして歌い継がれている名曲。



3人の女性コーラスとアステアが歌うのは"ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット"(うまくやれたら)。これもスタンダードとして有名です。

映画の中のシーンはないので、フレッド・アステアのCDから"ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット"



アステアがドラムを叩きながら踊るダンスも必見です。



使用曲

"スィングス・アー・ルッキング・アップ"
"アイ・キャント・ビー・ボザード・ナウ"
"プット・ミー・トゥ・ザ・テスト"
"スティフ・アッパー・リップ"
"ア・フォギー・デイ"(霧深き日)・・・スタンダードとして有名
"ナイス・ワーク・イフ・ユー・キャン・ゲット・イット"(うまくやれたら)・・・これもスタンダード





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