きょうは、ジャズが好きな人必見の映画「ニューオリンズ」です。

久しぶりに観てみようと思い、ライブラリーを探すと、ジャケットがこんなことになっていて一瞬青くなりました。湾曲しているうえに蓋が閉まらない!思い当たることと言えば、少し日当たりがいいところに置いたせいでしょうか。でも中味は無事でした。


私はジャズに関しては素人なので事の真偽は分かりませんが、20世紀初頭におけるジャズの歴史が垣間見られます。

ルイ・アームストロングをはじめとした多くのジャズメン、さらにはビリー・ホリデイまで出演しているというジャズファンにとっては垂涎ものの作品です。


1947年 アメリカ
監督:アーサー・ルビン
出演:ドロシー・パトリック、アルトロ・デ・コルドヴァ、ルイ・アームストロング、ビリー・ホリデイ、ウディ・ハーマン、サミー・デイヴィス・Jr、シェリー・ウィンタース、エセル・ウォーターズ、マージョリー・ロード

ニューオリンズ


1917年のニューオリンズから映画は始まる。

ニック・デュケーン(アルトロ・デ・コルドヴァ)が経営するナイトクラブは表から入る入り口と裏から入る入り口のふたつの入り口があった。

表から入るとクラシックが演奏され、白人の客による賭博が行われている。裏から入ると、ルイ・アームストロングが率いるバンドによるジャズが演奏されている。

このころはまだジャズは市民権を得ておらず、一部の白人による愛好家、そして主に黒人の客を相手に演奏をしていたのだった。

表の客であるスミス夫人にはオペラ歌手のミラリー(ドロシー・パトリック)という娘がいた。巡業を終えたミラリーがスミス夫人の邸を訪ねると、メイドのエンディー(ビリー・ホリデイ)がピアノを弾きながら歌を歌っていた。

これを聴いたミラリーは、その音楽に強い興味を持ち、これが演奏されているクラブに出かけていく。クラブでは、ルイ・アームストロング率いるバンドがジャズを演奏しており、ミラリーは益々この音楽に魅せられていくのだった。

クラブで出会ったミラリーとニックは恋に落ちるが、ミラリーの母親はジャズを毛嫌いしており、ふたりが交際することに猛反対。母親は2万ドルの手切れ金でニックに別れるように持ちかける。

折りしも、ある交通事故をきっかけに、ニューオリンズではジャズの演奏ができなくなる。傷心のニックがシカゴに新しいクラブを開業すると、一気にジャズが受け入れられるようになる。

シカゴで成功を収めたアームストロングは、全米、さらにはヨーロッパ各地を巡業して回り、世界に認められるアーティストになっていく。



ルイ・アームストロングが本人役で、ビリー・ホリデイがスミス家のメイド役で出演しています。アームストロングが多くの曲を演奏し、ビリー・ホリデイも数曲歌います。

短編映画を除くと、ビリー・ホリデイがセリフ付きの長編映画に出演した唯一の作品で、そういう意味でも貴重な作品となっています。

メイド役のホリデイがミラリーにルイ・アームストロングの愛称である"サッチモ"の由来を説明しています。これには諸説あるようですが、ここでは"サッチェルマウス"。カバンの口の略だと説明しています。アームストロング本人が出演する映画でこのように説明しているので説得力がありますね。

シカゴのクラブにおいて、演奏を聴いていた客が「ジャズれっ」と言ったことから"ジャズ"という言葉が生まれたことになっています。辞書を引いてみると、"jazz"には、「活気付ける」、「にぎやかにする」という意味があるので、そこからきたのかも知れません。

また、シカゴで成功を収めたルイ・アームストロングのバンド名としてドラムの横腹の部分に「Louis Armstrong Original New Orleans Jass Band」というのが見えます。

つまり、当時はジャズのことを"jass"と書いていたんですね。


ルイ・アームストロング、ビリー・ホリデイに加え、ジャズに詳しい人はみな知っているであろうジャズメンが次々と登場します。

まずニューオリンズにおけるバンド名は「オリジナル・ニューオリンズ・ラグタイム・バンド」と言い、ルイ・アームストロングがバンドのメンバーを紹介するシーンがあります。私はひとりも知らなかったのですが、その人たちを挙げておきます。

チャーリー・ビール(ピアノ)
キッド・オリー(トロンボーン)
ズッテイ・シングルトン(ドラム)
バーニー・ビガード(クラリネット)
バッド・スコット(ギター)
レッド・カレンダー(ベース)

シカゴでは、ミード・L・ルイス(ピアノ)。

ルイ・アームストロングが全米やヨーロッパ各地を回り、ジャズが市民の間に浸透していった時期、白人のバンドもその一翼を担ったという意味で、ウディ・ハーマン楽団による演奏も聴けます。


日本語版Wikipediaによれば、「1917年は、ニューオーリンズ出身の白人バンドであるオリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンドが、ジャズでは初の商業用レコードとなる、“Dixie Jass Band One Step”と“Livery Stable Blues”の2曲入りシングルをビクタートーキングマシンから発表」と記されています。


ところでこの映画には、当時21歳ごろのサミー・デイヴィス・Jrが出演しているようなのですが、目を皿のようにして観ても見つけられませんでした。どこに出ているんでしょうか。ご存知の方がおられたらぜひ教えてください。

使用曲
"Farewell to Storyville"
"New Orleans"
"The Blues Are Brewin"
"Endie"
"Where The Blues Were Born In New Orleans"
”Do You Know What It Means To Miss New Orleans”


ビリー・ホリデイが歌うシーンを集めた動画がありました。ミラリー(ドロシー・パトリック)が母親の家を訪れたとき、メイドのエンディー(ビリー・ホリデイ)がピアノを弾きながら歌を歌っている。その後、エンディーが"サッチモ"の名前の由来を話し、歌を歌って聴かせる。
続いて、クラブにてルイ・アームストロング楽団の演奏とビリー・ホリデイの歌・・・曲は、"Do You Know What It Means To Miss New Orleans"と"The Blues Are Brewin"。



ルイ・アームストロングが歌いながらバンドのメンバーを紹介するシーン・・・曲は、"Where the Blues were born in New Orleans"






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