遅ればせながら、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 

昨年の12月25日の記事は、過去の記事を使ったものなので、実質的にはほぼ4ヶ月ぶりの更新となります。まだ完全復活とはいきませんが、これからまた少しずつ書いていこうと思います。

 

 

昨年末、娘のキャリー・フィッシャーの後を追うように逝ってしま ったデビー・レイノルズ。

 

実は、昨年の9月にブログを更新したあと、次に更新を予定してい たのがデビー・レイノルズが出演している「土曜は貴方に」(1950)でした。

 

その後、事情により記事を途中まで書いたまま中断してしまっていたのです。

 

そして年末にもたらされたショッキングなニュース。

 

これはどうしても記事を完成させなければならないと思い、DVDを再鑑賞し、すでに書いていたことの意味を思い出しながら加筆、修正していきまし た。

 

デビー・レイノルズと言えば、真っ先に思い浮かぶのが「雨に唄えば」(1952)です。最近では、「マイ・インターン」(2015)でロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイが出張先のホテルで観る映画として使用されています。

 

「土曜は貴方に」はその2年前、レイノルズは当時18歳の作品です。

 

この作品の主役はフレッド・アステアとレッド・スケルトン。レイノルズは主役というわけではなく、オープニングクレジットにも名前は登場しません(エンドクレジットには登場します)。言ってみればちょい役ですね 。しかしとても重要な役です。このことについては記事の中で細かく書きます。

 

 

1950年 アメリカ
監督:リチャード・ソープ
出演:フレッド・アステア、レッド・スケルトン、 ヴェラ=エレン 、アーレン・ダール、グロリア・デ・ヘイヴン、デビー・レイノル

 

土曜は貴方に

実在の作詞家バート・カルマー(1884.2.10〜1947.9.18)と作曲家ハリー・ルビー(1895.1.27〜1974.2.23)の伝記映画です 。映画によれば、ふたりは1919年に出会ったとされています。

 

 

作詞家でありダンサーでもあるバート・カルマー(フレッド・アステア)は、ジェシー・ブラウン(ヴェラ=エレン)と組んでショーに出ている。カルマーはダンス以外に奇術にも興味を示し、ショーで演じるほどだった。

 

一方、売れない作曲家のハリー・ルビー(レッド・スケルトン)は、カルマーの奇術の助手をするなどして糊口をしのぐこともあった。

 

カルマーはあるとき楽屋で怪我をしてしまう。医師から1~2年は踊ることができないと告げられたカルマーはジェシーとのパートナーを解消せざるを得なくなる。

 

足が治るまでダンスが踊れなくなったカルマーは、ルビーと一緒に曲作りを始めるのだが・・・。

 

 

タイトルについて少し触れます。

 

原題は、「Three Little Words」で邦題が「土曜は貴方に」。

 

「Three Little Words」はカルマーとルビーが10年越しで完成させた曲のタイトルで、文字通り3つの単語を繋ぎながら歌っていく曲。

 

「土曜は貴方に」は、"All Alone Monday"という曲の中で「♪土曜日以外はひとりぼっち」という内容の歌があるのですが、この裏返しが「土曜は貴方に」という意味になることからこのタイトルがつけられたものと思われます。従って、原題と邦題には何の関係もありません。

 

ヴェラ=エレンはフレッド・アステアと一緒に踊って決して引けを 取らないダンサーの一人です。

 

アステアとエレンが"あなたを想って"の曲に乗せて豪華客船の中で踊るダンスは数あるダンスシーンの中でも指折りの素晴らしいダンス。

 

ジンジャー・ロジャースとのダンスを別にすれば、「バンド・ワゴ 」(1953)でシド・チャリシーと踊った"ダンシング・イン ・ザ・ダーク"のシーンに匹敵する優雅なシーンです。


"Thinking of You"(あなたを想って)をどうぞ

 

怪我をした足の治り具合を確かめながらタップを踊るシーン

 

 

このほかの使用曲では、のちに「お熱いのがお好き」(1959)でマリリン・ モンローが歌う"I Wanna Be Loved by You"(アイ・ワナ・ビー・ラヴド・バイ・ユー)が有名です。 街中で、ルビーが作曲しながらカルマーが詩を付けるシーン。 このとき、横から"♪Boop-Oop-A-Doop" と合いの手をいれるのがヘレン・ケイン(1904.8.4〜1966.9.26)役のデビー・レイノルズ。

 

カルマーとルビーがその歌声を気に入り、新作ミュージカルのスターとしてスカウトします。それが1928年のミュージカル「グッド・ボーイ」です。以下の動画の後半が「グッド・ボーイ」です。

 

レイノルズが演じるのは、若き日のヘレン・ケイン。"I Wanna Be Loved by You"を歌うのですが、これはヘレン・ ケイン自身による吹き替えです。

 

ヘレン・ケインは、1904年8月4日生まれなので、"アイ・ワナ・ビー・ラヴド・バイ・ユー" ができた1928年のときは24歳。しかしデビー・レイノルズがこの映画に出演したときは18歳。年齢的にはやや違和感がありますがそこはまあよしとしましょう。ちなみにこの映画が製作されたのは1950年なのでヘレン・ケインが46歳のときの声ということになります。

 

実際には、ヘレン・ケインは1920年代の初めにはすでにボードビルの舞台に立っていたそうです。

 

 

そのほか、"My Sunny Tennesee"(我が心のテネシー)も聴きなれた曲。

 

また、エンディング近くでバンドマスターのフィル・リーガン(本人)が一瞬だけ歌うのが"You Are My Lucky Star"(ユー・アー・マイ・ラッキー・スター)。これは「雨に唄えば」でデビー・レイノルズが歌っているものの、本編からはカットされた曲です。「雨に唄えば」のDVDの特典映像で観ることができます。

 

ちなみにこの映画には出てきませんが、「御冗談でショ」(1932)や「 世界中がアイ・ラヴ・ユー」(1996)で歌われる" Everyone Says I Love You"(エブリワン・セイズ・アイ・ラヴ・ユー) もカルマーとルビーが作詞・作曲した曲です。

 

なお、ルビーの妻を演じたアーレン・ダール(1925.8.11~)は、今日現在91歳で健在のようです。

 

 

 

 

 

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