1939年 日本
監督:マキノ正博
出演:片岡千恵蔵、市川春代、志村喬、遠山満、深水藤子、ディック・ミネ、香川良介、服部富子

鴛鴦(おしどり)歌合戦


今日は、時代劇とジャズとミュージカルが融合した傑作「鴛鴦(おしどり)歌合戦」(1939)です。

最初に書きますが、とにかく素晴らしい。レンタルでも見つかると思うのでぜひご覧ください。


日本でもかつてはミュージカルがよく製作されました。しかし太平洋戦争前に時代劇でジャズを扱ったミュージカルというのはそれほど多くないでしょう。少なくとも私は知りません。

面白いのは、片岡千恵蔵を除く出演者のほとんどが、その芸名の一部を取った名前で出演していること。

以下をご覧ください。

浅井礼三郎(片岡千恵蔵)

志村狂斎(志村喬)
娘お春(市川春代)

遠山満右衛門(遠山満)
娘藤尾(深水藤子)

香川屋惣七(香川良介)
娘おとみ(服部富子、服部良一の妹)

ある殿様峰沢丹波守(ディック・ミネ)


浪人の浅井礼三郎(片岡千恵蔵)と3人の娘たちによる恋のさや当てを中心に明るい音楽で綴った作品。

1人目は武士の遠山満右衛門(遠山満)の娘藤尾(深水藤子)。礼三郎と藤尾は親同士が決めたいいなづけであり、遠山はすぐにでも祝言をあげたいのだが、礼三郎は宮仕えの身となることに及び腰である。

2人目は骨董品集めに凝る傘屋の志村狂斎(志村喬)の娘お春(市川春代)。

3人目は、町を歩けば若衆から声がかかる町娘のおとみ(服部富子)。

3人が3人とも礼三郎が好きなのだから困ったものだが、当の礼三郎はとんとその気がない。恋の行方はどうなるのか。


これに、女性と見れば惚れてしまう元祖バカ殿様の峰沢丹波守(ディック・ミネ)がからむ。

殿様峰沢丹波守がスウィングしながら歌を歌い町を歩いていると、若衆に声をかけられながら歌を歌うおとみを見かけ一目惚れ。屋敷にと誘ってみるが見事に断られる。

次は傘屋の娘お春。傘屋のおやじ志村狂斎と趣味の合う骨董品について話をしているとき、そばにいた娘のお春を見染めてしまう。

殿様は、何とかお春を手に入れようと画策するも、すんでのところで礼三郎が救いに入り事なきを得る。

ここは礼三郎と家来たちとのアクションシーン。途中で逃げ出す殿様はまさに元祖バカ殿様を見ているよう。



とにかく明るい。底抜けに明るい映像と音楽。もしこれに色がついていたら、「シェルブールの雨傘」(1963)や「ロシュフォールの恋人」(1966)のようなカラフルな映像になっていたに違いありません。

太平洋戦争前の日本で、これだけ明るい映画が作られたことに驚き。

さらに驚くのは「Singing Lovebirds」として英語版Wikipediaに掲載されているのです。
英語版Wikipediaに掲載されている画像。
鴛鴦(おしどり)歌合戦2


とにかく皆んな歌が上手いのです。片岡千恵蔵だけは吹き替えのようですが、志村喬(当時34歳ですが、見事な老け役)までが驚くような美声を披露しています。

映像がふたつ見つかりました。
まずは、殿様に扮するディック・ミネがスウィングしながら歌を歌い町中を歩いてきます。これだけでも、この映画の明るさが見て取れます。映画全体を通して万事この調子なのです。



次は、和傘を外に干しているところ。片岡千恵蔵と市川春代。
色付きで見たかったですね。



おすすめです。





ブログパーツ