今日は満月。
満月の日は新月に立てた目標の振り返りと、
様々な繋がりの中で
生かされていることに感謝していきます。


今日は今年始めての満月なので、
自分の基盤である家と、
その家を支えてくださる皆様への感謝を。

私の家は、400年あまり続く茶道の流派の家元です。
私たちの流派は、利休七哲の一人である細川三斎公の
“利休の手前を変えるな”
とうい遺訓を嫡子忠利公が受け
利休の奥義を伝授された孫娘婿古市宗庵を
召し抱えたところから始まります。

利休の手前が変わらぬよう、
また一つの家が途絶えても伝わり続けるよう
古市家以外にも二つの家を共に
この流派の家元としたため、
一つの流派に三つの家元がありました。
私の家はこの二つのうちの一つ。

一般的に伝統文化の家元は、
その流派の中で絶対的な存在で、
その時代時代に合わせ
創意工夫を行っていくのですが、
私たちの流派は、上記した成り立ちから
かたくなに“昔と変わらぬ形”を守り続けています。


1月は松をみる機会が多いですが、
この私たちの流派は
松のような流派ではないかと思います。

松樹千年翠。
松はいつでも変わらぬ緑に見えますが、
春出た黄緑色の新芽が
濃い緑となり
茶となり
最期は落ちて土に還り、
今生きている木の肥やしとなります。

かたくなに“利休の形”を守る人間は、
家元も門下の皆様も
等しく一本の松の樹の葉ではないかと思います。

どこにあるかによって立場、責任、役割はそれぞれですが、
“形を守る”に当たって
時には家元の考え以上に
古い時代を知るお弟子様の記憶が
大切なこともあるように思います。

いつの時代もこのように、
私たちの流派を支え守ってくださる
大切な門下の皆様がいてこそ
400年の歴史を守り続けているのだと思います。

年末に“水は明月と和して流る”
話を書きましたが、
私にとっての明月はこの流派。

皆様への感謝の気持ちを忘れずに、
歴史を感じ、未来を思い
今年も一年過ごしていきたいと思います。