本編5 「鼠を仕留める猫」 | 飽くなき妄想の果て

本編5 「鼠を仕留める猫」

独自妄想トータルでその6。
新選組の面々は薄桜鬼のキャラをワタシの脳内解釈の偏見あれど、そのまんまってことで?(>_<)

あんまり面白くなくて申し訳ないというか、静かに勝手にやっているので許してください(j_j)

では、いってらっさいまし!
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


「猫 意識を放すな」
「わかってイる…」

斉藤は、沖田の要領を得ているのかいないかの説明の中、調書を見ながら何度も猫の意識を確認していた。

「沖田君… 少し猫と話しておけ しばらくは眠らせるな 俺は、この先の聴取の内容を確認する。」
「わかった…」

そう答えた沖田の目が、猫に落とされ、痛く飽きれた顔をしたが、次の瞬間には猫の身体を包み込むように抱き、よしよしと背中を撫でていた。

「君ってさ 本当にすごいよね~」
「何が… すごい」
「何って… 何もかもだよ 普通無いよね、そんなに血を流して痛い思いしたら死ぬし」
「痛みに耐える訓練はしていた」
「それって… いわゆるアレだね 拷問みたい」
「ああ… 拷問の訓練だ…」

息を音もなく吐く猫に寒気を覚えて、沖田は背中を撫でていた手を止めた。

「た… 例えば?」
「まず… 内股をかすめえぐられるように銃で撃たれる… 訓練でなければ膝を撃ち抜かれるだろう」
「…」
「膝そのものを撃ち抜くと、使い物にならなくなるからな… しかし 恐らくその痛みは撃ち抜かれるより強い 柔らかい部分は、肉が弾力で細かく飛ぶし、血も沢山流れる。 視覚でそれを確認すれば、より痛みが増強される…」

地の底から湧き出るような低い猫の台詞に、沖田はその身体を放して硬直させていた。

「そこまでだ」

調書に恐るべき速さで目を落としていた斉藤が、会話に割りいった。

「ここからは俺が質問する。沖田くんはそろそろ外回りの頃合いだ」
「ああ~ そうだね」

助け船だったのか、斉藤の言葉に沖田はゆらりと起ち上がった。
しかし、それにすがるような呼びかけがあった。

「ソウジ?」
「うん?」
「いつでもいいから、私のサバイバルナイフを… 落ちていったんだ…」
「ん? 鯖ない??」
「私が左手に持っていた… 相棒… ソウジとあった晩…」
「あ~ぁ! あの包丁みたいなやつ?」
「それだ… 何とか見つけて欲しい…」
「川の底をこの僕が探せって? それにさ、あれから何日も経ってて使い物になってないんじゃないかなぁ~ 価値はないね」
「ソウジ… 頼む」
「…。 あ~ そうだ 君が無いって 言ってるもう一つ わかるよ~ 「サムライ」でしょ~」
「!」
「土方さんの事だから、隠しものは目に届く所だねぇ 床の間の下とか上とかっ んっと… 後は、戸袋とかって~? いやいや灯台下暗しってのを見越して机の裏っ! あ~やっぱり何か貼り付いてる… ほら あった」

総司は部屋の中をくるくると飛び回った揚げ句、隠し主をあざ笑うかのように、黒い塊を見つけ出した。

「「侍」って名前なんだっけ?これ」
「ああ サムライだ… 返せ!」

意地悪な目線が猫に落ちた。

「これ、本当に大切なんだね どうしよっかなぁ~」
「よせ… ヘタをすればお前の手首から先がキレイに無くなる…」
「…」
「ソウジ… お前をアブナイ目に遭わせたくない… 仕込んである…」

沖田の目がカッと見開いた。
サムライを丁寧に… ゴトリと、静かに猫の目の前の床へ… それを取れとばかりに落とし、ゆらりと自分の刀に手をかけた。 

「馬鹿にしてるの?」
「バカになどしてない… むしろお前の力を… 尊敬さえしているがな…」
「嘘だね」

その刹那、沖田の刀が鞘を滑った!

ギンッ!

合わさる刹那に、お互いの気持ちが失速し、豪快ではあるが高温ではない火花を散らして、二つの刃が重なった。
沖田が、刀を合わせた相手は斉藤だった。

「そうだったね 居合は、斉藤さんには敵わないよね~ やると思ったってのは内緒っ」
「これ以上の問題は願い下げる…」

そのまま鍔迫りをするにも馬鹿らしく、沖田は力をゆっくりと落とした。
斉藤も、それに合わせて刃を引いていく。

「言い方が悪かったのだな… ごめんなさい… 勉強しないとだな…」

猫は沈んだ言葉を紡ぎながら、やっとサムライへと手を伸ばした。
そして、カチリと音を鳴らした後、震える手でガチャリと更に力を込めて、鉄の上部を横へ滑らせた。
それを力がこもらない両手で支えて持ち、ぐるぐると揺れる瞳で天井の一点を見定めた。

ドーン!!

彼女が銃の引き金を引いた刹那、「きゅっ」という獣の呻きが聞こえた。
小さな火薬の匂いを嗅いだ後、彼女は静かに語りながら、銃の弾倉を抜きその中身をバラバラとぶちまけた。

「少し外したが… ヒジカタが追う敵を殺った… これで中身はカラだ… サムライを元あった場所に返してやってくれ… 安全になった…」

そう言って、猫は空になったサムライをゴトリと床に置き、沖田に差し出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
声も出せなくなっている沖田と斉藤に少しだけ言葉を補足したのは猫だった。

「この弾はそこの大きな袋に入れておいてくれ…」

ばらまいた銃弾と袋を順番に顎で示し、猫は左の腰を守るように、疲れた身体をゆっくりと畳へ沈めた。

「い… 今… 何をした…」
「鼠… 殺したんだよねぇ~ さすが猫だね」
「ヒジカタが夜な夜な天井をつついていた… 俺も気になっ て イタ…」

斉藤が目をむいて言う。

「目に見えていないものをも仕留めたというのかっ!?」

その言葉に、猫は目を細める。

「サイト… ソウジ… 二人トモ ちゃんと”見てた”ヨ ワタシの獲物 ワタシトオナジモノヲミテイタ……… ハズ…… キミラニモフツウ ニ ミエテイタダロ」

猫の言葉の最後は、難解な呪文に聞こえて、斉藤も沖田も背中に寒いものを感じた。
それと同時に、銃弾が突き刺さった天井からじわりとすこしばかりの血が滲み、猫は眠るように意識を手放していた。

「お… 俺の名は…「さいとう」だ…」

*************************************
第6回目だったっけかは、ここまで

今回も短かったような…

次回は、土方さんと沖田さんがチキン肌さらすかもっ! チェ~ケラァッ!