今朝、末娘が部屋の隅っこに座っていたのをみて子供の頃を思い出した。

 

なぜか子供って隅っこが好きだ。故にすみっこぐらしがかわいいのもあって人気があるのか。

 

私には4つ歳の離れた弟がいる。

 

彼はアンパンマンとミュータントタートルズとドラゴンボールをこよなく愛していた。

 

子供の頃は弟と結構遊んだし、彼の趣味はイマイチ理解できなかったけどよく弟も私の遊びに付き合ってくれた。

 

そして隅っこで遊んだのはなぜか「不幸ごっこ」である。幸せ故できることではあるが思い出すと笑える。

 

両親が亡くなって、両親の形見一つを持ち弟と2人で隅っこにいる設定。書いててウケる。

 

「私たちの親は・・・十年前に・・・・うぅ・・・泣!!!でもこの形見を持って頑張ろうね!!泣」てな具合である。

 

当時10歳にもなってないのに。10年というワードがかっこいいと思っていたんだよね。時間感覚一切無視設定。

 

そんな姉の私が小5の時に1つのミッションがやってきた。

 

それは「大雪の日に熱を出した弟の面倒をみる」ということ。

 

当時から珍しく正社員で働いていた母。当時は休むこともままならず、学校が大雪で登校できる人だけしてねということだったので私を休ませて仕事に行った母。今思うとすごいよね。昔って怖い。

 

関東に珍しく降った大雪。ただひたすらに遊びたい!!!!姉はそう思ってしまった。

 

「公園行こう!!」熱がある弟も乗り気だったのでとりあえず厚着をさせて一緒に家を出た。

 

あたり一面の銀世界。車の音も聞こえない静まり返った外。キンと冷えた空気に混じる水分のある匂い。

 

曇った空から降る大粒の雪がごみのように見えた。

 

地面には先の尖った大きなブーツの足跡だけが公園の方向についていた。

 

「これは・・・!!!魔女の足跡・・・!!!ついていこう!!」想像力が豊かなものである。

 

魔女の足跡を見失ったので今度は上を向いて口を開けて、雪が口に入ったら勝ちというゲームをしながら歩いた。

 

公園に着くと誰もいない。だだっ広い地面に真っ白い新雪が30〜40センチくらい積もっていた。

 

この時点で休校にしない昔の学校怖い。

 

誰も踏んでいない、たっぷり積もった真っ白な雪。これはもうダイブするしかない。

 

雪に自分の顔がくっきり取れて面白かった。何度もダイブした。

 

だんだん手袋が濡れて手が冷たくなってきて、長靴にも雪が入って足が冷たくなった頃に家に帰った。

 

坂道で弟が疲れたとぐずったので手を繋いで歩いた。家に帰って休んだ日の定番、3チャンネルを見てた。

 

翌日、私以外全員学校に出席したことがわかった。

 

 

のちに学校で「お友達のいいところ」と題して作文を書くことになった。

 

ある男子が私について書くことになった。

 

私は割と隠キャだったので陽キャの男子が私をどう捉えているのか心配だった。

 

彼はこう書いた。

 

「AIさんは雪の日に仕事に行かないといけないお母さんに代わって、熱が出てしまった弟を看病してとっても偉いし優しいと思いました。」と。

 

その日のことを担任がそう伝えたのだろうが、実際とかなり違っていて申し訳なく思った。

 

さらにとっても楽しい記憶として私には残っているが、大人になってから「あの時無理やり公園行かされて結構辛かった」と弟は言っていた。乗り気だったくせに。

 

 

みんな主観で面白く生きているものだとわかる象徴的な出来事なのであった。