非道徳な中国への反発が薄れているリアリティから目をそらすな | 岐路に立つ日本を考える

岐路に立つ日本を考える

 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 ASEANの首脳会議の議長声明で、南シナ海における中国の人工島建設問題は確かに声明に盛り込まれました。しかしながら、前回の首脳会議の時に使われた「深刻な懸念」は単なる「懸念」に変わり、中国への名指しは避けられました。また、南シナ海の領有権をめぐってフィリピンが提訴した国際的な仲裁裁判所の審理が始まることについても、草案では「歓迎する」という内容が含まれていたものの、最終的には削除されました。

 どこの国も領土を主張できないはずの岩礁を埋め立てて領土だと主張するような無茶は、断じて許されるはずはないはずです。さらに、ASEAN諸国にはこの問題の当事者となっている国が圧倒的に多いはずです。それなのに、なぜにここまでASEANが中国に配慮するようになっているのか、私たちは冷静に見ておかなくてはなりません。

 政治の上層部が中国によって買収されているというところもあるでしょう。マスメディアに直接的にも間接的にも中国資本がどんどん入り込むようになり、その影響力によって親中的な報道が増えているせいもあるでしょう。これらも当然軽視できない動きですが、中国との経済的な関係が強まっており、国内経済を考えても中国の機嫌を損ねるようなことができなくなってきているということを、私たちは看過すべきではないと思います。

例えばマレーシアは輸出全体の12%、GDPの10%が中国によって占められています。タイは輸出全体の12%、GDPの7%が中国によって占められています。ここまで経済の中国依存が高くなっていれば、中国と対立することについては、特に国内の経済界からの反発は大きいでしょう。ましてや中国は気に入らなければ露骨な嫌がらせを行う国ゆえに、その機嫌を損ねることにはなおさら恐怖を感じるはずです。経済界からの支持がなければ政権は維持できないことを考えれば、この動きはある意味では当然だと言わざるをえません。

 東南アジア諸国ばかりでなく、欧州にしても、ここまで非道徳な中国のごり押しを止めないどころか、むしろそこにすり寄っていく動きを見せていることに我々は注目すべきです。我が国にしても経済界は対中摩擦を嫌う動きを示しているのは皆さんもよくご存知でしょうし、肝心であるべきアメリカにしても、経済界が中国ビジネスにかすめ取られていて、対応が腰砕けになっています。

 私たちは、戦前の日本は他国を侵略する悪の勢力であったために、国際世論の反発を受け、敗戦に至ったと単純に信じてきました。しかしながら、それが完全なる錯誤であることを、中国はまざまざと示してくれています。ここまで非道徳で侵略的な国に大半の国がすり寄る姿勢を見せているのが現実の世界です。

 私は何も日本は侵略的でいいと言っているわけではありません。しかしながら、未だに日本は敗戦から学ぶべき真の教訓を引き出せていないと考えるわけです。なぜ日本は戦争することになったのか、なぜ日本は敗戦という結果に終わったのか、イデオロギーに曇らされないでリアリティに基づいて考え直す必要があると私は思います。そしてその作業をきちんとやらない限り、世界を平和で豊かにしていくことは極めて困難で、実におぞましいことですが、我が国まで中共の強い影響下に置かれる可能性すらあると言わざるをえないのです。



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