美容外科医になった理由 | 美容外科開業医の独り言

美容外科開業医の独り言

美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

私は平成2年に防衛医大を卒業し、形成外科医局に入局、研修医の間は綜合臨床研修として内科や外科、麻酔科などをローテーションしましたが、それ以外は形成外科一筋です。
大学の形成外科というのは、顔面のガンなどで欠損した組織を、血管をつけて別部位(お腹や背中、腕)から移植・充填する手術(顕微鏡下に血管をつなぎます)や顔の骨折治療、切断された指をつなぐ、床ずれ、皮膚の腫瘍切除、ヤケド、口唇裂、多指、小耳症、加えて美容外科などなど、体表面の異常を主として治療します。日々そんな生活を送っており、毎日のように何か手術をしていました。結構血管をつなぐ手術は得意だったんです。
それと並行して、ケロイドや傷の治癒の基礎的な研究をしていました(医学博士はケロイドの論文で取得しました)。漠然と大学で働き続けたいなあと思っていたんです。その時に札幌医大に声をかけてもらい、いよいよ腰を据えて形成外科中堅として働く環境が整いました。ここまでは結構ラッキーだったと思います。

しかし、医局紛争で、ある地方の公立総合病院へ転勤となり、気がつけばレーザーに本格的に手を染めるようになりました。また、美容外科もあるクリニックで勉強する機会を得て、なんだか美容外科が面白くなってきて、私の人生変わってしまいました。
それに、ちょうどその頃、ケミカルピーリングが本格的に日本に紹介され、ニキビに良いとのことで患者様に施術するうち、地方の病院だったのに、すごく沢山の人が来てくれ、だんだんシミやほくろのレーザー治療などでも外来が一杯になるようになってきました。しかし公立病院での自費診療はあまり派手にできませんし、ジレンマを感じつつ、毎週勉強に行っていたクリニックの先生に相談していました。私はその先生にすごく影響を受けたんです。自分の将来が見えたような気がしました。

大学にいなくても、自分のアイデアと知識で勝負できる美容外科というフィールドは、一匹狼的な私の性格によく合っており、思い切って転職したんです。

しかし、美容外科医になっても、世の中はプチ整形ブーム、沢山の医療機器が登場してきました。雇われの身の院長でしたから、あまり沢山の機械を手にすることができず、それもストレスになっていたところに、そのクリニックの閉鎖話があり、意を決してすぐ上の階に自分で開業となったわけです。それからはコレクターのように機械を導入し、自分の理想の城を造るべく日々研究という状態です。
普通開業すると、内科や外科などは専門性が薄れ、大学病院には叶わないものですが、美容外科は国内未承認の機械が殆どで、逆に開業医が有利です。新しい治療機器をどんどん導入し、常に最先端のポジションにいることもできます。自分の求める未来に一致した美容外科、好きな仕事に就けて幸せを感じています。
それに、偶然にも大学時代に研究していたコラーゲンや傷の治癒、ケロイドの知識が、いま大流行のアンチエイジング(特にシワやたるみ)の根本的理論と同じで、すごく役に立っています。
人生、どこで何がつながるか分からないもので、無駄になったと思ったことがすごく役に立つなど、何かに導かれているのかなと実感しています。

人生、偶然はない、必然だと言いますが、偶然を必然に変える力、見えない力なのか、自分自身の潜在的意識なのか、よく分かりませんが、今を精一杯努力することが大事なんだなあと思います。