毛穴開大に対するレーザー治療 | 美容外科開業医の独り言

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週末はレーザー会社主催のセミナーに参加、講演してきました。
今回私に与えられたテーマはたるみ、毛穴、ニキビ跡に効くレーザー治療とはというもので、レーザー治療においてはなかなか良い結果が得られにくい一連のものについて、どのような考え方で、またどのような理論を持って治療にあたっていくか、そして現実に出せる結果についてのお話しをさせて頂きました。
今回のセミナーでは何名かの高名なドクターの講演がありましたが、そのなかで私の大学時代の同期生である、のぐち皮膚科の野口博光先生がレーザーによる爪白癬(水虫)治療について講演をしました。私の分野とは違う一般皮膚科領域での講演でしたが、学生時代と変わらず温和な語り口でありながら、きっちりと解析・考察をした素晴らしい内容で、さすがという印象でした。

さて、私の講演のテーマのうち、毛穴治療に関してですが、当院では主としてカーボンオイルを併用したロングパルスレーザーによる治療「Gカーボンピーリング」とフラクショナル炭酸ガスレーザーによる治療をおこなっています。両者は使い分け、もしくは併用になりますが、そのうちGカーボンピーリングに関しては、1週間のかさぶた形成というダウンタイムを有するものの物理的に毛穴を収縮させる強い治療であり、長年の経験上、奥まで開いてしまった毛穴に対しては最も効果があると考えています。もともとQスイッチNd:YAGレーザーとカーボンローションを用いたかさぶたが生じない治療というものが我が国ではおこなわれていますが、やはり効果は限定的、一時的なものであり、思い切って熱作用を強く起こさせて引き締めてしまおうという発想から、ロングパルスという照射時間の長いレーザーを用いることを考えました。
学会やセミナーでは何度か発表をさせて頂いたことがあります。既に10年近く実施をしているので、知っている人は知っているという強力な治療法ですが、もはやスタンダードな位置づけで、ここ最近は公的な場で触れることもなかった方法です。先日の台湾での講演で少し話をして、結構反響もあったので、今回改めてプレゼンを作成し、久々に手法などを解説させて頂きました。
手法としてはカーボンオイルを毛穴に擦り込んで、しっかりと毛穴の中を黒くして、その色調に反応する波長のロングパルスレーザーを照射、毛穴の中に熱傷を生じさせます。強い熱作用によって毛穴は焼けて収縮し、引き締まっていきます。皮膚表面の熱傷はまるで「春にスキーに行って日焼けしてしまった」ようなかさぶたが生じます。
但し、皮膚表面の凹凸にはやや弱い印象があるので、この部分はダイヤモンドピーリングという表面を削るスキンケア治療や、強力なフラクショナル炭酸ガスレーザー治療をおこなうことで対処します。
考えた当時はまだフラクショナルレーザーもなく、持てる機器で何とか結果をということで編み出した方法ですが、各種機器が登場した今でも、当院では定番の治療法として受ける方が多い方法なのです。

スタンダードな良い治療法の経験を積んでさらにブラッシュアップし、最善の結果を得ることが重要であり、新しい機器だけに振り回されて診療をすることが良いとは限りません。新旧の方法の理論をきちんと把握して使い分けていく、そのための礎となるような医学書がない現状では、医療関係者に対してセミナーなどで沢山話をして日々情報・技術を共有していかなければいけない、そう思っています。