フラクショナルレーザー「祭り」 | 美容外科開業医の独り言

美容外科開業医の独り言

美容医療とは人間愛!という信念で仕事をしている美容外科医のブログです。
レーザーなど最新の美容情報や普段の診療で感じたことなど、ぼやきを交えながら書いていきます。
外見だけではなく心も綺麗になり、自信が湧いて幸せになれる、そんな美容医療を目指しています。

世間では今週はお盆休み。
クリニックではダウンタイム、つまりかさぶたや腫れ、内出血の生じる治療を受ける患者様が多い期間です。
二重の手術や、糸によるたるみ治療「ウルトラVリフト」、ニキビ跡に最強の治療「レーザーアブレージョン」、ニキビ跡やシワ治療の「エコツー」「コア」「ピクセル2940」などなど、治療後マスク必須の患者様オンパレードです。
その中でも今年は特にエコツーやコア治療が多い傾向にあります。もちろんなぜかは分かりませんが、連日多数の方がお受けになられ、機械が壊れるんじゃないかと心配です。。。。


エコツー・コアは、ともにフラクショナル炭酸ガスレーザーと言われる機器で、皮膚に微小な穴を高密度に多数開けるレーザーです(丁度剣山・散弾銃の様な感じ)。穴を開けて表面を削るだけではなく、レーザー特有の熱効果によって開いた穴の周囲で内部からコラーゲンを増やし、徐々に皮膚構造を変化させていきます。
$美容外科開業医の独り言-フラクショナル
上記はその模式図です。パルス幅といってレーザー照射時間によってその熱影響の大小をコントロールします。機器によってその調整幅や特性が大きく異なります。
そのため用途によってエコツーとコアの2台を使い分けたり、組み合わせたりする必要があります(あくまでマニアックな話であり、通常は1台で可変できる範囲で十分治療可能です)。

最近他院でエコツーなどフラクショナル炭酸ガスレーザー治療をお受けになった患者様が多数来院されますが、効果がなかったということで、当院でもやはり治療は同じでしょうと説明するとガッカリされます。
ただ、話を聞いてみると赤みの期間やかさぶたの生じ方など、ちょっと??という事も多くあります。
ニキビ跡に対しては弱い設定・熱変性が生じない設定では、全く効果がありません。時には1ヶ月程度部分的に赤みが残るくらいの出力も必要です。
機器の普及とともに治療法が徐々にマイルドな方向にシフトしていった印象がありますが、効果を考えると、私自身は以前に学会発表していた頃よりも相当強く照射をしています。
当初、韓国での設定を参考に実施をしていましたが、日本人のニキビ跡に対しては同じ設定では効果が不思議に違うのです。経験によるプロトコール(治療設定)の改良が、現在当院で沢山の方が治療をお受けになっている理由なのかなと思います。
患者様の肌を診て、レーザーの反応を見つつ、その都度細かく設定を変えていくことも必須ですし、こういう機器は漫然と照射すると結果が出ないだけに真剣勝負です。

ここ数年、メーカーの方が訪問されないので現在のエコツーの推奨設定がどうなっているのかは分かりませんが、良い機器なだけに、効果がないという患者様が増えることはちょっと残念です。

やはりこの手の機器は医師が情報交換をして、日本人に合ったより良い設定を見つけていくことが重要なのではないかと思います。購入しただけで大体は結果が出せる機器と、使いこなしてこそ初めて価値が出る機器とがあります。
フラクショナル炭酸ガスレーザーはまさに後者の最たるものであり、他にも同様のものとして当院のコアや他社製で言うとアンコア、スマートサイドなどがあります。それぞれ特徴があり、メーカーもそのプロトコール決定に苦労はしているようですが、ユーザーミーティングやセミナーで情報を交換・共有して良い形になってきている印象もあります。
このタイプの機器が日本人に合った設定を見出した上でもっと普及することを願っています。