ヒアルロン酸「入れすぎ」症候群 | 美容外科開業医の独り言

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この3連休はオフィシャルな仕事はなく、家でのんびりしながら、某医学雑誌の対談記事の校正をしていました。たるみ治療に関してなのですが、その中でヒアルロン酸などの注入剤の入れすぎについて言及させて頂きました。

入れすぎは、too muchとかover filled syndromeなどと海外では称されています。海外では多量のヒアルロン酸を入れるのが流行のようになっていましたが、ここ1〜2年はこれを問題視するドクターも増えてきました。

私自身も講演のたびにこの手の話しをさせて頂いてます。

 

現在、日本ではヒアルロン酸を大量に入れて輪郭を整える事が徐々に浸透してきました。患者が加齢によって骨などが萎縮しているから、沢山入れなければいけないということです。診察をして、ボリュームを出す注入剤をあちこちにしっかり入れる。。。。

上手に入れると仕上がりは綺麗だとは思いますが、決まった入れ方で数年来繰り返していくと、どうしても見た目はtoo muchな状態になってしまいます。米国ではpillow faceとも言いますが、浮腫んだような,頬がぱんぱんに張った顔です。それをご本人がまた気づいていないのですから、厄介です。

 

この過量注入というのは、かなり以前から国際的な学会でも再三取り上げられていましたが、volumizing liftの概念が発展して、老化で萎縮した構造物を補う概念やそれを先導するコンセプトへの流れが強くなり、どちらかというとこの数年くらいは沢山入れることが正義という風潮になってしまいました。私のようなローカルな医師が発言してもこの流れは止まりませんが、やはり違和感を感じる医師も多いようです。少しずつ、異論を唱える意見が増えてきた気がします。

 

当院では自然に若く見える、誰にも入れたとは気づかれないけど数歳若くなる、そんな注入治療をしています。原則ヒアルロン酸は1本だけ使用します。患者様と相談の上で、しっかり変化させる場合でも2〜3本までです。

 

そんなことを学術的にまた調べて、オフィシャルな形で世に問おうと連休中に色々と模索しましたが、論文がなかなか見つかりません。アジアの友人ドクターにメールなどしていたら、マレーシアのDr. Limからちょうど明日仕事で日本に行くよとの連絡が。彼はこの1年、入れすぎ状態over-filled syndromeについてあちこちで講演しています。

タイミング良く会う事が出来ました。

 

銀座のカフェにて。

 

彼の提唱するover-filled syndromeについて色々と討論し、またヒアルロン酸は靱帯を支えてリフトさせるべきか,はたまた別の構造物を支えて持ち上げるのが今後のトレンドになるのか等、情報交換しつつ,楽しい2時間を過ごしました。

 

 

私は、過剰注入を以前からtoo much状態と言っていましたが、Lim先生に倣ってover-filled syndromeと今後は称することにします。