Biostimulator エランセのセミナー:注入治療で思うこと | 美容外科開業医の独り言

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3月のブログでエランセのことを書きました(こちら)が、エランセのbiostimulatorとしての使用経験が豊富なマレーシアのDr. Tingsong Limが来日し、当院でセミナーを開催しました。

私も自身の数少ない経験とbiostimulatorに関する考察を少しだけ発表させて頂きましたが、メインはLim先生の素晴らしい講演と臨床指導です。

ここ数年、彼とは親しくさせて頂いています。アジアの若手で現在もっとも活躍している一人であり、様々な国際学会で彼と出会います。いつも私の苦手な英語で会話していましたが、実は日本語ペラペラ。最近使ってないからちょっと、、、と言っていましたが、こんなに喋れるなら今後は日本語でね、という感じです。日本で臨床研修をしていたとのことで、我々日本人にとっては国際的な情報を日本語で聴けるし、今後はもっと来日する機会が増えるのではないでしょうか。

 

 

以前訪問した韓国ドクターの施術とは全く異なった手法であり、大変興味深かったです。

 

 

彼が最近よく講演しているのが、ヒアルロン酸など注入剤などの「入れすぎ症候群」 over filled syndrome です。私自身も全く意見が同じであり、頬がパンパンになるpillow faceという状態は、いかにも入れてますねという顔です。よくテレビなどでそのような顔を見て、患者様が「ヒアルロン酸を入れると顔が腫れてばれるから嫌だ」とおっしゃいますが、ヒアルロン酸などでは注入技術が全てです。誰が入れても同じではなく、入れる手法によって全く違った結果になるのです。

昔はただ溝を埋めるだけ、形を作るだけの注入手技でしたが、今や引き上げる、造形するという要素も加えつつより複雑な手法へと発展しています。

今回、Lim先生は1本の注入剤で顔全体を造形していく手技を解説してくれました。大きな変化ではないですが、自然な変化が得られていました。

使用法はボリュームとしての役割が殆どなく、固定や引き上げ、そしてbiostimulatorとしてのコラーゲン増生が主役となるものでした。

 

 

私は最近国際的な学会、セミナーによく参加します。10年前と異なって、大きな流れだけを国内で見ている時代は終わり、やはり他業種と同じくグローバルになってきていますので、パスポートを持って,休診して,海外に修行です。

もちろん機器系の講演をしたり聴いたりがメインとなりますが、注入剤についても、沢山の講演を聴くようにしています。ただ、特に大きな学会では総論的な話しが多く、今最先端のことが分かりません。知っている内容を振り返る、もしくは解剖を知ることでリスク回避の話しがメインになります。

もちろん、それも大事ですが、それ以上のことを知りたいので、個別に聞くことが大事だと思っています。苦手な英語を駆使しつつ、クリニックを訪問し、酒を飲み。。。。気がつけば沢山の海外の友人ができました。いつも内緒と言いつつ色々と教えてくれますし、自身も今の持てる知識や技術を伝え、情報交換しています。有名なドクターはコンセプト作りが上手くお話しも上手ですし勉強になりますが、他にも知識と技術が確かな医師は沢山います。色々なドクターから話を聞き、取捨選択していって自身の手法をブラッシュアップさせていけたら良いなと思っています。

医師として、誰にも負けないゴッドハンドだと自画自賛するのもよいですが、私にはそんな才能はないですし、時間をかけて知らないものを貪欲に吸収する,勉強する方が私は好きです。

 

凡人であるからこその努力、これからも続けようと思います。