ヒアルロン酸の注入で大事なこと | 美容外科開業医の独り言

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年末年始は御予約を沢山頂いており、再診のご予約も1月中はかなり混み合っている状況です。初診は2月中旬まで埋まっております。申し訳ありません。予定が決まりましたら早めの御予約申し込みをお勧めします。

 
さて、
最近、ヒアルロン酸注入に関して、大量注入の問題点などを指摘させて頂いています。
何が本当に問題なのでしょう。
安全面では製剤によって異なるものの、年間投与量の上限が添付文書に明記されています。以前のヒアルロン酸が吸収される前提での上限ですから、大量注入して残が生じている場合はかなり慎重に量を制限しなければなりません。
実際に時間が経ってから免疫反応が生じる例も論文などで報告されています。量や注入層、使用した材料の製造方法などによってその発現率は異なるので注意が必要です。
このあたりは製造メーカー、販売会社からの情報提供が積極的ではないので医師自身が調べる必要があります。リスクを知らない医師が大量注入を勧めるのはあまりにも無知です。
また医学的危険性以外でも問題があり、大量注入を重ねた顔には特徴があります。それゆえに一般の人が見ても何が違和感を感じます。本来は他人に気付かれず若く見せるのが大事なのですが、量が多いと窪みや皺は消えても真ん丸になります。砂山の上にさらに砂を足すとどうなるでしょう?裾野が広がります。だからなんだかパンパンに張った顔になるのです。ヒアルロン酸は注入後時間が経てば移動しないはずですが、常に圧迫されるように足されていくと広がりを見せる印象があります。
注入によって若い頃の輪郭を取り戻せます。形状は動きます。しかしいくつかのポイントとなる位置は動きません。目鼻口のベースラインは動きにくく、注入するにつれ埋もれていきます。綺麗な輪郭になっているけど何か違和感がある、そんな印象を与えます。
 
なるべく少ない本数で、膨らませるのではなく若々しい顔を作ることが大事だと思ってます。皺や窪みに目を奪われ過ぎず。他人はそれよりも全体の雰囲気で若いかどうか判断するものです。目尻のシワが1本、2本あるような局所の問題よりも、全体に若々しい印象を与える方が治療においては大事だと感じます。
注入はセンスや技術も重要ですが、それと同じくらいバランス感覚が重要であり、さらにはリスクマネージメントのための医学的知識も必要です。