上のグラフは2019年4月10日の当ブログにて紹介したものです。中医協から発表された「精神医療につながれる子どもたち」急増のグラフです。

 しかし、その後の患者調査によって、令和2年の数字が出てきました。

 数字には、さらに多くの子どもたちが精神医療につながれているかが、はっきり表れています。なんといっても、この平成29年の数字の倍に増えているのですから。

 

 以下、概況(参考資料)です。

「令和2年に医療機関を継続的に受療している 20 歳未満の精神疾患を有する総 患者数は約 60 万人である。 厚生労働省は、平成 13 年度より、児童思春期の心の問題に関する専門家を養成するために、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、公認心理師等を対象に 「思春期精神保健研修」を行っている。」

https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/001091797.pdf

 さらっと書かれていますが、「20歳未満の精神疾患総患者」が60万人いるということです。

 上のグラフには30万人までしか軸がありませんから、そこに60万人のグラフを書き入れたら、倍の高さが必要になるということです。(ネット上でグラフを見つけられませんので、youtubeで配信された動画からのものを紹介します。不鮮明ですがご容赦ください)。

 令和2年のこの突出ぶりは異常です。

内訳を見てみると(グラフの上の順から)

統合失調症・・・0.8万人

気分障害・・・1.6万人

神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害・・・6.7万人

その他の精神及び行動の障害・・・43.1万人

てんかん・・・7.7万人

 

さらに、この「参考資料」には、続いてこう書かれているのです。

「また、令和2年に医療機関を継続的に受療している発達障害者支援法(平成16年法律第 167号)に規定する発達障害(F80-F89,F90-F98)の総患者数は約59万人 である。」

 

 この数字は上記の60万人とはまた別に、ということでしょうか。とすると、令和2年に、20歳未満の若者の119万人が「医療機関を継続的に受療している」ということになります。

 

 参考資料を読んでいくと、この数字の急増に対応するため、さまざまな方策を行っていると書かれています。

「 厚生労働省は、平成 13 年度より、児童思春期の心の問題に関する専門家を養成するために、医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、公認心理師等を対象に 「思春期精神保健研修」を行っている。」

 じゃ、なんで、増えてるんだ、ということです。

  

 この患者数の急増は、「もし正しい診断が下されているのだとしたら、子どもが突然変異をした」ことになりますが、そんなことあるわけないですから、では、その「本当の原因」は何なのか。

 患者調査を行うことの意義はそこにあると思うのですが、「参考資料」を読む限り、厚労省は、「この病気が増えているから、積極的に受診するような方策をどんどんとっていこう」という硬直化した発想しかないみたいです。

 60万人だ、59万人だ、という数字を見て、厚労省はますます「子どもを医療につなげて治してあげよう」と考えるようになるかもしれません。

 次の患者調査(3年ごとに行われています)では、いったいどんな数字が出てくることか、恐ろしくさえあります。