先日、子宮頸がんワクチン被害者支援の会に出席してきました。

 その日は、被害当事者の25歳の女性も車椅子で参加していました。彼女とは以前、彼女のご自宅でお会いしたことがあります。彼女を取材するためではなく、取材対象はその妹さんでしたが。

 妹さんは精神科の薬害にあっています。児童精神科で大量処方を受け、自宅二階の窓から飛び降りたこともあります。そういうお話をうかがっているときに、お姉さんが子宮頸がん(HPV)ワクチンの被害者であることを知ったというわけです。

 このワクチン被害の裁判は、提訴から6年(提訴は2016年)たってようやく昨年5月に専門家の尋問が始まり、今年1月からは原告本人尋問が現在も進行中です。

 HPVワクチンの内容や被害についてはここでは詳述しませんが、一言で言えばその被害は「神経難病」であり、自己免疫性の脳炎・脳症が原因と考えられます。したがって症状は多岐にわたり、脳に原因があると考えられているからか、国や製薬会社の主張は、「その症状は心因性」と、まったくあっぱれな主張を繰り返しています。それ故、HPVワクチン被害者の多くは精神科受診を促され、そこでさらに薬害にあっているのです。

 

 HPVワクチン裁判、原告側の弁護士に「薬害オンブズパースン会議」の水口真寿美さんがいます。水口さんも会に出席され、裁判の報告がありました。それによると「専門家の尋問が大成功だった」とのこと。

 国や製薬会社の主張するワクチンの有用性、安全性を一つ一つ潰していく意見が、それぞれの専門家(臨床、免疫、統計)から述べられました。そうした意見を元に「普通」に考えれば、このワクチンを打つ必要性はほぼゼロであると理解できるのですが、それでも現在進行形で、このワクチンは「国の勧奨再開(2023年4月から再開されました)」のもと、打たれ続けており(なんと今では男子の小・中学生にも打っています)、被害者も出続けています(勧奨を中止しているときは被害者は出ていないのです)。

 さらに、こんなうんざりする話もあります。

 昭和大学医学部産婦人科学講座の小貫麻美子講師、松本光司教授らが 2023 年 9 月 8 日に Cancer Science 誌に発表した論文です。「HPVワクチンには予防効果がある」と結論付けているのですが、そこには大きなバイアスがかかっています。

 子宮頸がんの罹患率は確かにワクチン接種をした20~24歳で減少しています。しかし、ワクチン未接種の他の年齢層においても、子宮頸がんは減り続けているのです。

 論文ではそのことには一言も触れず、接種した年齢層だけを取り上げて、「ワクチンの効果が出ている」との結論づけは、あまりに「非科学的」であり、平たく言えば、「産婦人科医」がワクチンを打ちたがっている(儲かりますから)」現れでしょう。

 こうした医学の皮をかぶった「似非科学」のデータで国民や患者を欺くのは、精神科でもしばしばみられる現象ですが、これは医学に限らず、経済(金)が絡んだ世界ではままみられる現象かもしれません。が、しかし、医療に関する限り、われわれ国民は命と引き換えですから、決して看過できるものではありません。

 それにしても、HPVワクチンに関しては、専門家が専門家の良心において、裁判で正々堂々とこうした反対意見を述べています。それに引き換え、精神医療における裁判で「専門家」が被害者側に立って意見を述べることはほぼ皆無です。(みなさん保身に忙しい)。

 薬害オンブズパースン会議の副代表である別府宏圀さんが先日公明党からの要請を受けて、公明党内でベンゾジアゼピン系薬剤の勉強会を開きましたが、その別府先生の考えは「ベンゾは治療薬」というものです。精神科の薬全般が「治療薬」ですから、裁判はさらに困難を極めるのは必定です。

 それでも、HPVワクチンはWHOも推奨し(そこにも利益相反がありそうです)、世界的に多くの若者が接種している流れの中で、裁判において、このワクチンが神経難病を引き起こしたと「医学的に」意見を述べる良心の医師が、まだいたことに少し救われる思いがします。

 水口弁護士には「精神科の弁護もよろしくお願いします」と言っておきました。水口さんは「そうね」と笑顔で答えられましたが……。