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被災地で迷い猫保護、40匹を飼い主へ…朝市通り火災で飼い猫不明の漆芸家「再会させてあげたい」

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能登半島地震では多くの飼い猫も被災している。石川県輪島市の漆芸家、桐本滉平さん(31)は、飼い主とはぐれた猫を保護する活動をしている。自身も自宅兼工房が全焼して飼い猫の行方が分からなくなっており、1匹でも多く飼い主の元に届けようと、懸命な活動を続ける。(米山裕之)

 

 輪島市郊外で桐本さんが壊れた住宅の床下をのぞき込みながら猫の捕獲器を設置していた。「地区にはあと15匹の猫がいると聞いている。人がいないと飼い猫は生きていけない」と話す。

 

 桐本さんは妻(27)や両親、弟夫婦と初詣に出かけていた時に地震に遭った。車載テレビで自宅がある朝市通りが燃えているのを知った。「何とか助かってくれ」。自宅にいる3匹の猫の無事を祈った。

 

 しかし、自宅は焼失し、自宅近くの被災を免れた父の工房で寝泊まりしながら、夫婦で捜索した。間もなく、雌のグラ(3歳)が自宅近くで死んでいるのが見つかり、自宅の焼け跡からは雄のハクとサン(ともに7か月)のいずれかとみられる骨も見つかった。

 

 こうした日々をSNSにつづると、同じように行方不明となった猫の飼い主から連絡があり、一緒に捜すようになった。

 

 猫が通りそうな場所に捕獲器を設置し、捕まえた猫は工房敷地にあるコンテナハウスで一時保護。猫の写真をSNSに上げて、飼い主の猫か確認する。ハウスで保護できる数に限界があるため、一定期間たっても飼い主が見つからない場合は、市外の動物愛護団体に預かってもらっている。

 

 これまでに、仲間とともに61匹(19日現在)を保護し、40匹を飼い主と再会させた。1か月以上たって保護して最近、飼い主に引き渡したケースもあったという。

 

 桐本さん自身、望みは失っていないといい、「いつも一緒にいる大切な存在と離ればなれになるのは、飼い主にとって大きな悲しみ。一刻も早く愛猫を見つけ出したいし、飼い主と再会させてあげたい」と語る。