「こういう作品を作りたい」ということについて語る際の、形容詞。

僕にとってそれは一体なんだろう、なんてことを最近はよく考えます。
難しい。難しいけど、このケモノ道から抜け出すために、そこを避けることは出来んのですよ。

うーん。
興味ない形容詞、ならはっきりしています。

それは、「ドロドロした」です。

結構ありますよね、「人間関係のドロドロを描いた~」みたいな。
正直僕は、全然そこには惹かれません。
カレーでも煮込めばいいんじゃないかな、とか思っちゃいます。

いや、違う違う。
何が嫌いかより、何が好きかで自分を語れよ、ですよね。

正直、今現在その悩みの真っ最中なもんでして、結論は出ていないんですけど、それでもあえて今言葉にするのであれば、それが今回のタイトルの、「真面目でヘンテコな(かわいいとなおよし)」なのかなあ、と思っています。

ん?何のこっちゃさっぱり分からんですって?
そうですねえ、正直僕も、うまく説明出来る自信はありません。
説明する自信はありませんが、こういうこと、みたいな例を出すことは出来ます。

作品を作っていると、「俺って天才じゃないか」みたいな瞬間と「俺はなんてつまらないものしか作れないんだ」みたいな瞬間が交互にやって来ます。
これは、僕だけじゃないと思います。

で、幸福モードの時はいいんですけど、問題は絶望モードの時でしてね。
これもう、自分でもホントしょうもないと思うんですけど、「現実逃避のための言葉を意味なくググる」ってクセが僕にはあるんです。

「薬 楽になる」とか、「駆け落ち 予算」とか。

いや、そんな気は全然ないんですよ。楽になる薬なんて求めてないですし、駆け落ちなんて、予算以前に、そもそも相手がいません。
ホントに情報を求めてググってるわけではなくて、何でしょう、そんな言葉をググるという行為そのものが、自分にとっての、リスカもどきというか、それ以下というか。

で、で、でだ。
そういう前提があった上で。

一度、絶望のビッグウェーブが来たことがあってですね。
「俺はもうこれ以上、一文字も書けない」っていう。

今までにないくらい、大きな気持ちの落ち方。
当然、僕がググるワードも、今までになくシリアスなものに。

その時にググった言葉が、
「就職 サンリオ」
でした。

一切、お茶目な気持ちはありません。
絶望の淵の中で、どうせなら自分の残りの人生を、愛してやまないサンリオに捧げたいという、切なる思いからググった言葉でした。

で、まあ、そんなことがありまして。
後日、僕の職場である王子小劇場という場所で、同い年の友人でもある芸術監督の北川さんという人にその話をしたところ。

「まあ、そういう言葉をググってるうちは、(表現者として)大丈夫だと思うよ」

と言われました。

その瞬間、「ああ、確かに」と超絶納得したのです。
「就職」とか、表現の世界のファンタジーに決別するような言葉をググっておきながら、同時に打ち込んだ言葉は僕のファンタジー願望全開の「サンリオ」。
いい年してサラリーマン歴なしの男が真剣に悩むにしては、あまりにも非現実的なチョイスです。
これじゃあ、子供が「宇宙飛行士になりたい!」と言ってるのと何も変わりません。


そして、納得すると同時に、「泣きながらサンリオの人材募集について調べていた自分」が、何だかおかしくなってきまして。


あの時の、シリアスなんだか、ギャグなんだか分からない、そしてかわいい情景が、僕が生み出したいものなのかもしれません。


ああ、こんなこと書いてたら、久々にピューロランドに行きたくなってきた。
湯切りするマイメロちゃんまだいるのかな。会いたい。