大阪万博、毎日新ネタが投入されて、どんどん状況が変化していますが、

これは朗報。

 


どういう保険かというと、海外取引において相手方がバックレたとき、相手方が支払い不能に陥ったとき、保険でカバーしますよというものです。
しかも、政府が100%出資の国策会社NEXI(株)日本貿易保険が引き受けます。

貿易保険とはどういうものか?というのもNEXIのホームページに書いてありますね。

 

 

海外と取引していて、やはり心配なのが、
輸出:モノを送ったけど代金が支払われない。
もしくは
輸入:代金を支払っているのにモノが来ない。
という事態です。

それをカバーする保険です。

あと、これは昔私がカナダから建材を輸入していた時代に本当に起きたことですが、代金を支払い済みで製品が出来上がっているのに、輸送前に相手先が倒産。

これは、もうホントにどうしようもありませんが戦争とか

そういった事態に、保険で支払われる。
大阪万博のパビリオン工事は、参加国が独自で設計デザインをし建設もすること、となっていますが、設計はまだ本国で進めることもできますが、建設工事は日本側でやらざるを得ません。
そうすると、受注する日本側の建設会社からすると工事をしたのに代金を支払ってもらえないかも、途中で相手国が倒産(クーデターとかで政変があるとか)、戦争で相手国がなくなるとか、そういった場合の心配がありますよね。
それをカバーしようという趣旨ですね。

世界中の国々をお招きするわけですが、高額な建設費用が支払われないというリスクを心配する必要があります。
これは、あらゆる製品製造企業は経験していることですよね。

それは、私がかつて建材輸入をしたり海外案件の設計したりする場合もそうでした。
支払ったらちゃんと送ってくるか?
送ったらちゃんと支払ってくるか?

国によって、そこらへんの信用や遵法性が正直違います。
バックレたり、いいかげんな製品を送ってくる者らがいます。

それが保険実績になってくるというわけです。
下記表は使用実績ですので、信用できない具合と考えてもいいですが、貿易量の差でもあります。
いっぱい取引しているというものの、ちょっと保険掛けておかなきゃ危ないリストと、私はみます。


日本はやはり中国や東南アジアとの取引が多い。
 

というわけで、日本政府としては、海外からの受注工事の保険も準備したから、
安全・安心、さっさと着工してね?という意味でしょうが、

お金さえ払えばちゃっちゃと工事が始められるわけではないんですよ。
それは設計と手続きがまだまだあるから、そして、基礎工事の問題です。

 

基礎工事の問題とは地盤の問題です。
例の書類を見てみましょう。

 

資料の1によりますと、こんな感じで埋め立てしてあるそうです。



万博のメイン敷地は上図のA,B,Cのエリアですよね。
で、その埋め立てた地層に関して、さらっと、
沈下する、しない、と書いてあります。

 

この表を見ますと、一番上の盛り土だけが、沈下「しない」
あとは、中間の砂層以外はすべて、沈下「する」
です。
つまり、全体では、沈下「する」です。

沈下「する」です。

沈下「する」です。

沈下「する」です。




沈下するかあ、まあ、するわな。

沈下はするのですが、どう対策するかなんですよ~


では、沈下するにしても、どれくらいなのか?
どのくらいフカフカ、やわやわ、ズブズブなのか?
それは、地盤調査データ、穴をあけて地層の組成や固さを調べるボーリングデータをみないとわかりません。


けっこうたくさんボーリングデータ取ってますね。
そこは、豊洲市場とは違います。


データというのは柱状図といいまして、地層の上から下までを垂直に調べたものなのですが、資料では親切にも下図のラインで切断面を表記してくれていました。

下図のようになっているそうです。
文字が小さ過ぎて見ずらいんですが

縦の表みたいなものがN値という地盤の固さを表現します。

 

上の絵の左側を拡大すると、こうです。

埋め立て面から地下に向かって20メートルまでN値ゼロです。
水色は「埋め立て粘性土」ですから、沈下する、です。
台形の黄色は盛り土ですが、右にむかって全部水色です。

水色は「埋め立て粘性土」ですから、沈下する、です。
埋め立て面から地下に向かって30メートルが水色です、沈下する、です。



真ん中あたりはどうでしょう。
パビリオンのリングの真ん中あたりに相当します。

地下50メートルまでN値たいして出ません。
この緑色の地層は「沖積粘性土」というもので、沈下する、です。

というわけで、パビリオンの敷地はすべて、、沈下する、そうです。

はあ、そうですか、沈下する、ですか、
正直でよかったですね!って言うてる場合かい!

と思いましたら、資料にも堂々と書いてありました。

パビリオンワールドでは、…… 地盤沈下が生じる。



アタマの中で何度も響きましたよ。

パビリオンワールドでは、…… 地盤沈下が生じる。
パビリオンワールドでは、…… 地盤沈下が生じる。
パビリオンワールドでは、…… 地盤沈下が生じる。
パビリオンワールドでは、…… 地盤沈下が生じる。

英語表記ではこうです。

the Pavilion World, settlement of the ground may occur 
the Pavilion World, settlement of the ground may occur 
the Pavilion World, settlement of the ground may occur 

settlement of the groundが地盤沈下です。

で、こうしろ!と言ってます。


①浮き基礎 建物重量分の土を取り去って、そこに置け
②杭基礎  支持地盤まで杭を打て(地下に50メートル以上必要)

 

そして、極めつけがこれ!

 

杭を打ってもいいけど、万博終わったら引き抜け!
地下掘っていい深さは2.5メートルまで!

いやー、これ、無理っすわ。

杭はなあ、打つよりも引き抜くほうがずっとずっと大変なんだよ。
 

しかもだな、支持地盤まで50メートルの深さだと、
場所打ちコンクリート杭しか使えないじゃん。

鋼管ならばまだ引き抜きし易かったのに。




場所打ちコンクリート杭の引き抜きは、もっと大変なんだぞ。



抜いたコンクリートも鉄筋入ってこんな大量の瓦礫になるし。

東京テクノさんのHPより

 

 

たった数か月の仮設建築のために、地下50メートルまでの杭を、数百本打って数か月後に引き抜いて、更地で返せ!とはなんだ!

杭打ち以上に、引き抜き撤去と廃棄物の処理に工事費かかるじゃねえか!


それもこれも、地盤が悪すぎるからじゃんね。



参考:杭抜き工事の施工者さんらが加盟してる。
一般社団法人杭抜き研究会

http://kuinuki.com