とうとう、このシリーズも8回になってしまいました。
大阪万博を進めていくにはどうすればいい?に応えようとしていたのですが、
なんだか、次々と見つかる新しい事実、というか情報。
都合の悪い話なのに意外と、残してある。
上の方から急にIRだ、万博だ、と言いだして、実際の現場の方々も困って、
きっと大阪府や大阪市の職員さんらが、残したんだと思います。
で、なんで、ドカーンと夢洲駅タワーやんないの?
私も地盤が弱いから大変だ、と言い続けてはいますが、
東京の臨海部とか超軟弱地盤でもタワマン建てたりしてますからね。
なんだか、万博パビリオンにおいても地盤を掘らせまいとしているように思える。
地盤が弱い、じゃなく地盤怖い、に見える、という話でした。
ならば、地歴を調べてみるか、です。
これはですね、設計とか開発の基本なんです。
なんだか、変な使い方の土地とか、異様に大きい擁壁とか、調整池がデカいとか、
変だな、変だな、ってなったら地歴を調べる。
以前にどういう使われ方としていた土地なのか?です。
すぐ出ました。
1.港湾環境事業 廃棄物処分場整備・管理事業、公害 防止対策事業、緑地整備・管理事業 大阪市港湾局 2007年12月13日 http://keiyukai.info/wp-content/uploads/2017/11/auto-GAob2K.pdf
2.港湾公害防止対策事業 国土交通省 https://mlit.go.jp/page/content/001485468.pdf… 事業の位置付け :ダイオキシン類対策、PCB 事業概要 :平成13年度(2001年度)
3.北港処分地(夢洲1区)における 広域処理災害廃棄物焼却灰埋立時の 放射性セシウムの挙動に関する評価報告書 https://kinki.env.go.jp/to_2012/data/0606ab.pdf…
の3本です。
まず、びっくりしたのは土地の名前が「夢洲(ゆめしま)」じゃない。
なんか非常に厳しい名前「北港処分地」です。
処分かあ、処分ときたら、これしかないです。
これ、資料の中の絵ですが、見てのとおり護岸の中は土地ではないです、廃棄物です。
で、一区という場所は産業廃棄物と書いてありますが、
万博会場となっている第二区というのは、浚渫土砂と陸上残土と書いてあります。
廃棄物じゃなくて、残土や土砂だからよさそう?と思うかもしれませんが
浚渫土砂というのは、こういう川底や運河や港の底のヘドロです。
残土というのは工事現場で掘削したときに出る土のことですね。
浚渫土砂について資料中にこういう説明がありました。
PCBとかダイオキシンとか、書いてありますね。
PCBってなんやねん?というと、Poly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の頭文字ととってPCBなんですが、
1881年にドイツのシュミットとシュルツという二人の科学者によって合成に成功した夢の材料でした。
もうですね、近代から現代の工業化社会に向かうなかで、よくぞやってくれた!と大評価された素材なんです。
どんな素材かというと、ざっくりいうと「燃えない油」です。
こうこれが、大ウケだったわけです、外にも優れた特徴がたくさんありました。
- 化学的に安定している。空気中でも酸化されず、加熱に冷却にも変質しない。
- 不燃である。通常の油と比較して高い安全性がある。
- 耐薬品性。酸やアルカリに侵されない。
- 絶縁性。電気を通さないため液体の絶縁材として利用可能。
- 水に溶けない。屋外で使用しても雨の影響を受けない。
- 他の油や有機溶媒になじむ親和性。化学樹脂に混合して加工できる。
こんな特徴がありましたから、もうありとあらゆるところで使われました。
絶縁油としてトランスに活用 | ビルや建物、電車や地下鉄などの大型トランス |
絶縁油としてコンデンサーに活用 |
家電製品(空調機、洗濯機、ドライヤー、電子レンジ、 冷蔵庫、掃除機)などに使われるモーター。 安定器(蛍光灯や水銀灯)、コンデンサーの中。 |
熱媒体として | 各種の工場(食品加工、合成樹脂、製紙などの)における加熱や冷却の循環媒体として、冷暖房システムやパネルヒーターの中。 |
潤滑油 | 高温になる部位の潤滑油、作動油、切削油など。 |
絶縁用可塑剤 | 電線やケーブルの絶縁被覆や絶縁テープ。 |
難燃用可塑剤 | ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂やゴムに混合する。 |
その他の可塑剤 | 接着剤や、ワックス、アスファルトに混ぜる。 |
塗料や印刷インキ | 難燃性塗料、耐薬品塗料、耐水塗料、耐蝕性塗料、印刷インキとして。 |
陶器やガラス器の着色材、紙へのコーティングなども |
https://www.jesconet.co.jpさんのHPより
1960年代までは。
1960年代にヨーロッパで魚の大量死などの事件が起こり、そのほかの野生動物でも自然環境で死んでいる、その原因を追究していたのが、スウェーデンのソーレン・ヤンセンという学者です。
魚が大量死するだけでなく、魚を食べるオジロワシも死んでいる。
一方、魚を食べない鹿は死んでいない。
環境中に毒があるにはあるのだけど、特定できない中で、オジロワシの体内にPCBが蓄積していることがわかりました。
非常に安定した物質であり、他の脂ともよく混じるということで、水中に流れだしたPCBはまず魚が体内に取り込体脂肪に混入、その魚を別の魚が食べてさらに体脂肪に溜まっていき、その魚を食べた食物連鎖上位のオジロワシに蓄積され生物濃縮されていったというわけです。
同様に、魚を通じてアザラシやイルカにも大量死が起こり出します。
「夢の新素材燃えない油」は世界中のあらゆることろに使われていましたから、製造も販売も使用も禁じれた今でも、水に混じると食物連鎖で生物濃縮されていくため、古いトランスをはじめPCBを含むものは、危険な物質として厳重管理されています。
日本ではカネミ油症事件というのを起こしたのがPCBです。
後遺症と治療法をめぐって、いまだに多くの取り組みがなされています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000476463.pd
https://www.kyudai-derm.org/kanemi/image/kanemi.pdf
https://www.kyudai-derm.org/yusho_kenkyu/browsing5.html
化学的に安定している(分解されにくい)生体の脂肪に混じり込み、排出が非常に難しくいつまでも残ってしまう、という非常にやっかいな化学物質です。
しかし、産業部門では安定して劣化もしない耐熱性と絶縁性もあって他の油脂と混合も容易とあれば、電気から機械からあらゆるところに使われていく便利な化学物質です。
このPCBが環境中に大量に広がって、多くの生き物に脅威を与えており、人間の生活も脅かされる可能性がある!と、世紀の大発見をして世界を救ったともいえるヤンセン先生ですが、スウェーデンでは化学の賞を授与されています。
が、本当ならこういう先生にノーベル賞を与えるべきなんではないでしょうか?
当時PCBは全世界で100万トンも生産されていたわけで、1兆円産業を即座にぶっ潰すような、正義の論文を発表した科学者魂には頭が下がります。
こういう人を顕彰していかないと、御用学者になって教授とか、嘘ついて出世しようという科学者ばかりになってしまう。
そのPCBが1950年代までに工業化された世界中の河川の底に溜まっているんです。
それを浚渫して、もっていった先が、
下図です。
生物濃縮の前に、溜めちゃっているなあ。
そういう場所。
次に、資料を読んでいて驚いたのがこれです。
はあ?なんで?
と、大阪湾に原発ないじゃん!と、なんでセシウムやねん?
そしたらですね、
埋めてました。
東北大震災のときの瓦礫の焼却灰を夢洲に埋めてます。
下記のように、上にかぶせて土が1.5メートルくらい?その下の6メートル分くらいがその焼却灰で、セシウムが含有しているみたい。
なんで?と。
汚染源は封じ込めが大事なわけで、拡散してどうするんだよ!と。
これ、大阪の人は知っているんですかね?
そして資料中にはですよ、土の中を水が動いて、水の中に汚染物質が溜まるとか書いてある。
そして下図のように評価していて、
主灰の放射性セシウム濃度は低いが…
飛灰の濃度は高く、放射性セシウムの溶出も高い…
もっとも危険埋め立て方法は、「飛灰を水面部に近いところに埋めること」なんで書いてある。
要は、焼却灰は表に出すな、水に流すな、っていうことだと思うんですよ。
でも、なんか夢洲のインフラ整備、下水道計画ではここにつくるらしい。
でもそのあたりは、PCBとかセシウムを埋めたとされているところで、
溶出して水に流れ込む可能性があるといわれているところですよね。
いいんかな?
ホントに、そんなに近くて。
まあ、表土というか盛り土が厚ければなんとかなるのかもしれない。
しかし、表土や盛り土がなくなると、
その下の廃棄物の堆積があらわになり、
特に、このPCBやらが出てくるのは非常にマズイことになってしまう。
だから、パビリオン建設で、深く土を掘るな!と言ってるのかもしれないですね。
ちなみに、夢洲の下水は舞洲に送るんだそうです。
そういえば、舞洲の下水処理場は、
ウィーンの建築家で鬼才、フンデルト・ヴァッサーが設計してましたね。
この舞洲スラッジセンターもパビリオンということにしてしまえばどうですかね?
そしたら、韓国にチェコにモナコ?そしてオーストリア館が出そろったということになります。