たぶん小一か小二の時だったと思う。
地域のお父さんたちがコーチになって少年野球チームを作ることになった。
確か僕を入れてやっと九人揃うという状況だったし、実際、始める時点では興味を持っていた。
それで、なんとなく入団して、毎週日曜の練習に通うことになった。

そのまま、中学受験の塾通いが始まる四年生か五年生まで続けたのだけれど、僕が少年野球から学んだことは一つもない。
強いて言えば、軟球でも当たったら痛いということと、自分には運動神経がないということを学んだ。
野球の面白さとか運動の楽しさはまっっったく感じられなかった。
コーチの指導が悪かったわけじゃなくて、とにかく僕はビビっていたからあれでは手の施しようがない。

ずっと辞めたいと思っていたはずだ。
なのに、ある練習の帰り、コーチ(近所のお父さん)に「野球楽しいか」と訊かれて、僕は「うん」とか「はい」とか、とにかく肯定した。
ライトの守り方はなあーんにも覚えていないのに、そのウソをついた瞬間の感覚はハッキリと覚えている。
きっとあのコーチは、僕にやる気がないことを気に病んでいて、「思い切って訊いてみた」んだろう。

何であれ、辞めたいという気持ちを表明しなかった以上は、やる気を出して頑張るべきだった。
なのに僕は結局、成り行きで辞めるまで、ずるずるだらだらとチームに迷惑をかけ続けた。

いいことなんて一つもなかった。
本当に完全に何一つなかった。



「失敗」や「不運」は天下の回りものだ。
でも、「表明できる機会に表明しないこと」は、一生の後悔になり得る。

つまり何が言いたいかというと、投票に行こう! ということです。