自分はなぜ演劇をやっているのか

ことあるごとによく思い返す

僕が芝居をやりたい!!
この世界で生きてみたいと
思うようになった大きなきっかけは

倉本聰さんが主宰する
富良野塾の「屋根」という作品を観劇したこと

戦前から現代にかけて
ある一つの家族の人生を描いた作品なのだけれど

その時高校三年生だったかな
あまりの衝撃にしばらく立てなくて
涙がとまらなくて

ツアーについてまわってらっしゃるのか
終演後ロビーにいらした
倉本聰さんに
買った台本を手にして
泣きながら
「感動しました!!ありがとうございました!!」
とすごい勢いで話しかけにいったのをよく覚えている

聰さんは
困惑しつつ、ちょっと照れ臭そうに
「ありがとう」
と言って
僕の手をかたく握りしめてくれた
台本にサインまでしてもらって
その記憶とその台本は
今でも僕の大切な宝物だ

人と人とが出逢って別れて
傷ついて傷つけて
救って救われて
哀しみをおいながらも
楽しく笑い
腹がたったりしながらも
愛し抱擁し

そこにはすべてがあったし
さらに僕の世界をひろげてくれた

タイミングもあったんだろうなぁ

これだと思ってしまったんだよね

今そこに身をおくものとして

その時の自分に恥じないように

生きたい