TRASHMASTERS vol.37

「入管収容所」

昨日、無事に千穐楽を迎えることが出来ました

これもひとえにご来場くださった皆様

エールをくださった皆様のおかげです

心より御礼申し上げます


今回の入管収容所という舞台は

いうまでもなく入管収容所内部を描いた作品です

ウィシュマさん事件があって

その運営の杜撰さ、酷さは

ある程度知っているつもりではいましたが

調べすすめるうちに、こんなにもむごいことが

この国で行われているのかと愕然としました


ウィシュマさんをはじめ

入管で失われていった命、その声

名誉、権利、自由を奪われた人々が

確かな事実としてこの世に存在しているということ

直視するのは辛いことではありますが

あるものをないことにはできません


正直、舞台にあげることにはリスクを伴います


普段の生活でもありませんか?

仲の良い知人が政治活動をするとめんどくさいと

思ってしまう感覚


私達も同じです


そもそも市井に生きる私たちの物語だと思ってやっていますし

このような言い方もあまり好きではないですが

政治的な作品を舞台にあげるだけで

忌避される


私も出来ることなら

皆が笑ってられるハッピーエンドな結末

の芝居を目いっぱいやっていたい


でも、この世に生きているかぎり

生活と政治とは切り離せません


特に今のこの国の進み行きを見ていると

私は安穏と暮らしていくことはできないです


演劇人として、社会に還元できるものは何か

常日頃から考えていますが

私がこのような作品を世に出す劇団に

居続けているのも

そういった理由が大きいかもしれません




今回の作品をやっていて

このような感想がありました

「入管職員を演じている方は相当な負担だっただろう」と


私個人の意見ですが

正直に言います


変わりません


私が役に取り組む際に絶対に欠かさないこと

それはその役を愛するということです


作者の中津留さんが対極に位置する人物の言い分を確りと書いてくださっているのも理由だとは思います

芝居中にこのような台詞もあります

「入管側の正義と、支援者側の正義がぶつかりあっている」

彼ら彼女らにも

その生き方を肯定するロジックが

確かにあるのです


各々が各々の信じる正義を貫いて

なおこのような悲惨な事件が起こり続けているのは何故でしょうか?


それは法律、制度、ルールの問題であったり

入管職員と被収容者と立場を分ける

入管収容所という施設が抱える構造的な問題であったり

知らないものは怖いという心理からくる

外国人に対する差別意識であったり

様々なものが複合した結果なのではないかと

私自身は考えています


こういった問題を解決していくには

我々一般人とされる人々

一人一人が政治を注視し

誤った方向に進まないように

よりよい方向に進むように

行動し続けねばなりません


知らないふり見ないふり

をして生きていくのは簡単です

ただそうし続けているうちに

人間はそのこと自体を忘れてしまい

見る目をも失ってしまう生き物です


どうか皆さん

今回の芝居をみて

得たものを忘れないでください


末尾ではありますが、皆さんのおかげで

無事千穐楽をむかえられたこと

改めて御礼申し上げます


ありがとうございました!!