記憶のあるうちに書いておこう。
3月9日、10日と大阪・梅田芸術劇場で「テラヤマキャバレー」を観劇しました。
地図先行でチケットが発売された時、私はまだ体調が万全じゃなくて外出もほとんどしてない時期だったけど
3月まではまだ時間があったので多分その頃には行けるだろう、と希望的観測で申し込んだら9日の昼の部が取れました。
1回観れたら充分だわ、チケット当たってよかった~と喜んでいたら
ご縁とは異なもの。
直前になって立て続けに9日の夜と、10日の大千穐楽のチケットを譲ってもらえることになり・・・
なんと三連続テラヤマ
そ、そんな贅沢してもいいの?ってちょっとビビリましたが
先にSNSで舞台を観た人の感想を検索したら何やら摩訶不思議な舞台のようで・・・?
暴言?白粥??舌ちょんぎり???蚊?蚊って何!?←これ全部役名。
わけわからん・・・と戸惑い
この分だと私は1回観ただけじゃ作品のことを理解できない可能性が大。
つよぽんの「シラの恋文」がそうだったし・・って、コラ
すいません京都劇場で観たけど、難しかったのよ・・・シラさん。
ひょっとしたらテラヤマも同じか、それ以上に難しいかもしれない。
と身構えてたので、複数回観れるチャンスがあるならありがたい!と思って3回連続テラヤマキャバレーに臨みました。
結論から言えば
いやー3回観れてほんっっとに、良かった・・・
ていうか、3回観てやっと何となく理解出来たかも。
という感想ですいません(爆)
「ぜんぶ素晴らしくて、くだらない」
が、この作品のキャッチコピーだったけど、まさにそれでした。
寺山修司が亡くなる前夜の、彼の頭の中を描いた音楽劇。
不思議な舞台でした。
まず劇場に入る前に、この案内見てウッと思ったわけです。
上演時間、2時間40分・・・(*幕間休憩25分?挟んでます)
そんな長時間、病み上がりの私の体力持つかな・・・?と不安でした。
でも、想像以上にあっという間だった。
それはカオスな舞台運びと音楽、達者な役者さん達の演技、そして寺山修司を演じる香取慎吾の物凄い熱量と迫力に引き込まれて、時の経つのを忘れていたから・・・だと思います。
観劇した席は1階前方席、3階席、1階中央ブロック、とそれぞれ違ったけど
意外や意外、3階席で観たのが一番よかったわ。
劇中でも慎吾が3階を指差して「あの席だ。あの天井桟敷」って言う台詞がありますが
マジで天井桟敷席だからこそ、舞台装置の奥行やステージの床の模様、セットの配置、役者さんそれぞれの動き、そして照明がすごく凝っていたこと等、全体がよく見えてよかったです。
慎吾が寺山修司を演じる、と知った時は「おぉ・・・あの寺山を」
とちょっとびっくりした。
私は寺山修司をかろうじてリアルに知っている世代で、寺山=アングラ劇のカリスマ
みたいな捉え方をしてた記憶。
高校時代「私はそのへんのミーハーな女じゃないわ」みたいな?笑
ちょっとトンがった同級生たちが好んで寺山修司のお芝居や彼の言動を話題にしていたと思う。
彼の周りにいた(交友関係)人達も三上博史や高橋ひとみなど、ちょっと独特で一癖あるようなタイプの俳優で、それもまたカッコいいなぁ・・・と思ってたし。
その寺山修司を、慎吾が一体どんな風に演じるのか。
そしてデヴイット・ルボーがどんな演出をするのか。
まったく想像も出来ませんでした。
私はそんなに沢山舞台を観ているわけじゃないけど、デヴイット・ルボーの演出は剛君の「道」で一度体験しているので、見終わった後、あの感じと少し似ているな、と思いました。
あ、劇中で歌われた(寺山修司の)曲、ほとんど歌えた自分にびっくりしたな(笑)
大千穐楽を観劇するのは吾郎ちゃんの舞台では経験あったけど、慎吾では初めて。
前日から連続で観ていたから感じたことかもしれないけど
やっぱり最後の公演は冒頭からキャストの熱量が違った。そして観客のノリもハンパないな~と(笑)元々関西のお客って演劇であろうとコンサートであろうと、リアクションいいと思うんだけど、この日は舞台も客席も、前楽とは空気が全然違った・・・
慎吾の迫力も本当にすごくって。
長台詞を滔々と語る場面、涙を流して体全体で哀しみを表現する場面、そしてキャストにツッコみ入れてお客を笑わす場面・・・
全部が凄かった。
こんな慎吾、見たことない・・・って、何度も思って圧倒されました。
これは、舞台俳優・香取慎吾の代表作と言ってもいいのでは・・・?と思ったほど。
けど、まさか
最後の最後(カーテンコール)で銀テープがバーン!と飛び出してくるとは思わなんだ(笑)
え?これライブ?って思ったよ。
千穐楽だからきっとご挨拶で慎吾が喋るだろうな、とは予想してたけど
口を開いた慎吾が
「えー30分ぐらい喋るので、一旦座りましょうか」って総立ちの客席に向かって言うのには笑った
そして客より早くステージ上の伊礼彼方さんと成河さんが座っちゃったのにも笑い(あの2人の反射神経、いや、さすがです)
「君らじゃないっ!」って、2人にツッコむ慎吾にもまた笑い
会場、ドッカンドッカン笑いに包まれてました。
そしてキャスト全員が一言ずつご挨拶をされて、皆さんそれぞれ良いこと話されてましたけど
ごめん、あんまり覚えてなくて(汗)
慎吾の言葉は、もちろん、とっても印象に残ったので覚えてる。
彼は
「舞台は奇跡」だと言いました。
「今、スマホで何でも見れるじゃないですか。自分のペースで、自分の好きな時間に。
ドラマだって倍速で見る人が多い、そんな時代にこうやってわざわざ劇場に決められた時間に足を運んでくれて、お金を払って、みんなで一緒にステージを見てくれるっていうことが、本当に奇跡だと思う」
と。
慎吾が、本心からそう思って切々と語って、そして観に来た観客1人1人に、心から感謝しているのが伝わってきて泣きそうになりました
途中、キャストの方々が体調不良になって「もう続けられないかも、っていう瞬間もあったけれどスイングの人に本当に助けられた」とも言ってました。
【スウィングとは、何かあった時のために出演できる状態でいる俳優達で、公演を止めることなく続けるために必要な存在】
その方たち(全部で4名いらしたのかな)もステージに並んでいて、彼ら彼女らに向かって感謝の言葉を言う慎吾は、本当に堂々たる座長だなぁと感動しました。
慎吾以外のキャストの方のご挨拶で覚えているのは、やっぱり
さっさと舞台に座り込んで「おい!」と慎吾にツッコまれた伊礼彼方さんと成河さん(笑)
成河さん談の
「慎吾さんは稽古の時すごく静かでほとんど喋らなくて、何とかコミュニケーションを取ろうと思って『体、大きいですね。何がスポーツやってらしたんですか?』って聞いたら「何も」の一言しか返ってこなくて、そこで会話が終わってしまった」
って話が面白かった・・・
蚊の役の伊礼彼方さんは、役もブッ飛んでましたけど、トークがまあ面白い。
「ラストシーンで僕が慎吾さん(寺山修司)にマッチの箱を返すシーンがあって、いつもそこでは厳しい表情をする慎吾さんが今日は受け取る時初めてニコッって笑ってくれて、あぁ、もう最後(千穐楽)なんだな・・ってその時すごく思った」
ってしみじみ話された時は
彼方さん、慎吾に惚れたな。
って思っちゃったわ(笑)
「今度会った時は敬語と「さん」付けやめてくださいね」って慎吾にお願いする姿も可愛くて・・・
どなたかがSNSで「彼方さんに山本耕史の匂いを感じた」って書かれていて、ワロタ
うん、そんな感じだった~
この舞台が終わるのが本当に名残惜しそうで
「再演やりましょう!海外でやったらこういうの絶対受けるから!行きましょう!」って言い出して、キャストもお客もその言葉におぉー!って盛り上がったのに
言われた慎吾がビミョーにめんどくさそうな顔してるのが、めっちゃツボったwww
んでそれ見て「え?あれ?行く気なし?」
って慎吾に言う彼方さん、もう最高だった
ぜひ、再演してください。それは私も熱望する。
(国内でいいから)
最後に
「劇は人との出会い」
「また違う劇場で会いましょう」
と言った慎吾に、痺れました
以上、カオスな「テラヤマキャバレー」を観た私のカオスな感想で失礼。
いつかまた、慎吾演じる寺山修司と、また違う劇場で会いたいです。
素晴らしい作品を、ありがとう!!