我が最愛兄の話をしよう。
兄がガルパンおじさんになったのには、理由がある。
20年ほど前、セガサターンのアドヴァンスドワールドウォーの影響により、戦車好きになる。
このゲームの地上、航空分割マップが本当に秀逸で、現在のゲームでも、本作を越す戦略シミュレーションゲームは皆無と言って、いや、ゲームの話はいい
それから二十年、警備員の仕事で、茨城に赴任。
数年間茨城で過ごすが、その際に震災復興の大変さを目の当たりにすると同時に、ガルパンと出会う。
ガルパンとは、テレビアニメ「ガールズ&パンツァー」のことで、中年〜壮年ファンのあまりの多さに、ファンを総評して「ガルパンおじさん」と呼ばれている。
※プロレスラー蝶野正洋さんが、本アニメの広告塔、ガルパン 大使であることでも有名。
ちなみに私はteam2000時代からの蝶野さんファンであり、大仁田厚氏との抗いや、私の話はいい
我が兄は、現在千葉県在住であるが、物語の舞台となった茨城県大洗市に、イベント時は言うに及ばず、ほぼ毎週といっていいくらいに生徒巡礼を行う、ガルパンおじさんの鑑だ。
2017年12月
「ガールズ&パンツァー最終章第1話」
が劇場公開され、後に、第2話が2019年6月公開と発表。
全6話を予定しており、どうペースで公開していくと、最終話まで10年を要することと、ファン年齢の高さから
「ガルパンおじさん寿命大丈夫か?」
と冗談交じりにネタにされたものだった。
2018年12月
兄が風邪をひく。
主な症状は、咳。
私もインフルエンザにかかったばかりで、「オメーもインフうつるぞ?」なんて会話をする。
私がインフルエンザをぶり返し、二ヶ月ほど体調不良が続いた後、回復。
だが、兄の咳は治らない。
「それ、咳喘息になってる可能性高いから、病院行け」
だが兄は、いつものようにおどけて
「ぽんぐぅ〜?」(文字通り、ぽんぐぅ〜?と言います)
なんてバカなことを言っていた。
2019年5月
あれから半年も経つのに、兄の咳は止まらない。
25日頃、私が腹痛で救急搬送され、病院にて検査を受ける。
風呂場で便を撒き散らしながらのたうち回り、ホスピタル沙汰に。
回復して帰宅し、風呂の便を重ねたトイレットペーパーで持つと、なんだか柔らかくて、気持ちい、、
いや、うんこと私の話はいい。
二日後、母と兄が、聖地巡礼
母も兄の影響で、ガルパンおじさんというか、ガルパンおばあちゃんだ。
毎回ドゥーチェとパッチョ姐とロニ子のフィギュアを持って、現地の飲食店で写真を撮る、真性のバカガルパンフリークだ。
その帰りのことだったらしい。
母が兄から
「なんか、腎臓にでっかい腫瘍ができているらしい」
と聞かされる。
単純に言うと、腎臓癌であると。
大きさは10cm以上
転移はわからないが、大きさから言って、かなり進行している。
5月25日くらいだったか
それを聞いた私は、すぐに腎臓癌について情報を収集する。
「肺に転移しやすい」
一瞬、絶望がよぎった。
「咳が止まらないのはそのせいか...!!」
と。
たが、兄はいたって普通に、
「保険入っててよかった♩おいコチ(なぜか兄は、私をそう呼ぶ)、お前も保険入ったほうがいいぞ!」
と、いつものようにおどけている。
大変な状況であるはずの本人が、いつも通りだと言うのは、彼を愛する者にとって、これほど心強いものはない。
「とりあえず、今日24時間勤務して、帰りにでも紹介状書いてもらいに行くか」
バカかオメーは!!
と思ったが、案の定、「早く病院行け」と、職場にいわれ帰宅。
「休みになった、ラッキー」
じゃねーっつの!!
どこまで能天気なんだ!
とはおもわず、普段通りにしている兄の強さと優しさに感謝した。
夕方、私が仕事に行く
休憩時間、一度だけ泣いた。
「なんで俺じゃないんだ!」
「なんで俺の一番大切な人を傷つけるんだ!」
運命を呪った。
私は、自分が死ぬのは全く怖くないが、人に死なれるのは恐ろしくて仕方がないのだ。
だから、一度だけ泣いた。
それから
「まぁでも、俺が癌になっても、保険入ってないから、周りに迷惑かけるだけだしな、兄でむしろよかったんだな」
と冷静になる。
とにかく、精密検査の結果を待たなければ。
腎臓移植が必要なら、俺のをやればいい
転移があって、肺の移植が必要なら、俺のをやればいい
そう思って、普段通りの兄に報いるため、私も普段通り接することにした。
そして思ったのだ、、
「ガルパンおじさん寿命大丈夫か!?」
シャレになってねーんだけどな!
と。
to be continued...⇨