厳しいトレーニングを積み、極限まで自分を追い込むアスリート達。その中でさらに限られた者しか表彰台に登ることはできない。そこに登ることこそがアスリートの目標だった。
しかし、2030年、新しく導入されたシステムにより、スポーツの大会に劇的な変革が起こる。これまでならば3位までが表彰台に登り、メダルを貰うことができたのだが、順位確定後、さらに別の競技で本当の決勝戦が行われる。
その競技は『メダルかじり』。これまで歓喜の表現として形式的に行われていたメダルをかじるという行為が、競技へと格上げされることになったのだ。
『メダルかじり』は技術点、構成点、ディダクション(減点)を算出し、それらの合計で得点が決まる。もちろん、その得点は順位に大きく影響し、場合によっては入れ替わることもある。
こぞって『メダルかじり』に打ち込むアスリート達。競い合い、新たな技が生まれ、洗練され、そして『メダルかじり』は恐ろしい速度で進化を遂げていくのであった。