あるマンションの一室で密室殺人事件が起こる。
現場の部屋を調べていた砂川刑事は、ソファの下にガラスの破片のようなものを発見する。重要な証拠になると考えた砂川は、それを袋に入れ「鑑識にまわせ」と部下の吉永に指示する。しかしなぜか吉永はその場に立ち尽くして動かない。「鑑識にまわせ」再び指示する砂川。だか吉永はまわそうとしない。「鑑識にまわせ」吉永はまわさない。「鑑識にまわせ!」まわさない。「鑑識にまわせ~!」砂川の声だけが虚しく部屋に響き渡る。「まわせ~!」
一体なぜ吉永は鑑識にまわさないのか? 
砂川刑事は事件、密室トリックそっちのけで、その謎を追いかける。2015年文潮ミステリー大賞受賞作。