透明感


ある人間って


いい。








透明っていうのは、


存在が


うすい


とは


違う







存在感


出しながらも、

なおかつ


それが


濃くならないよう


きわみの果てまで


薄めていく。






もう


これでもかってぐらい


うすめていくと


だんだんと

あるのに、


ない状態に


なっていく。






透明感


あふれる人間は


どんなことを


したって


透明感に


あふれてる








手羽先を


食べていたって


透明感


あふれてる。






改札口で


つかまってしまっていても


透明感


そのものだ。






つり革に


頭ぶつけたって


透明感極まれり


って感じなのだ。








でも


ある日


そのひとが


いなくなっていることに


気づく。






ないことが


ないことに


なって、


はじめて


ないことが


あったことに


気づく。




でも


そのときには


もうないことさえも


なくなってしまう






そして、


ない、が


そっと


触れて


花が咲いたり、


傷ついたりする。