「眠ることそばが存在しないこと/川合大祐」。眠りのしゅうへんを調べるとその作家のことがよくわかるのではないか。例えば川合さんの持つ存在論的な川柳の感覚がこの句からはよくわかる。眠ることでなくなったのは食べる蕎麦なのか、それとも、私の傍(そば)という近しい空間がこわれたのか。


「パジャマ姿で鶴の行方を追いかける/小池正博」。小池さんの眠りのしゅうへん。眠らずにパジャマ姿で昔話・伝説に介入してゆくわたし。世界の大きな物語に小文字のわたしが参入してゆくこと。パジャマで、ポップな感じで、過去や未来やわたしたちをわすれて。パジャマはいつも今だ。