俳句は妖精的な形式だ、と上田さんが書いてる。わざわざ短く言葉を発する短詩ってふしぎだよなあと思っていたが、短詩という行為は妖精的な行為なんですよ、と言われたら、納得するかもしれない。「すみません。答えは妖精でした」と風と風の合間で言われた記憶。


好きなブローティガンのことばで、「どんな本を書いてるの?」「ひとこと、ひとこと、書いているんです。それだけです」ということばがあるけれど、上田さんのこのほんも、そういうほんだとおもう。ひとこと、ひとこと、の範囲でものごとをかんがえていく。それがときどき、ひとごとになって、愛や妖精ややさしさの話になる。そういうほんがこの星にあるということ。