火葬が終わり、親父の骨の収骨の時間になった…
台車乗せられた親父の骨が運ばれて来た…
晩年は、酒タバコ、肝臓や糖尿病の薬漬けの毎日だった親父…
そんな親父だったが、かなりしっかりと骨が残っていた。
それを見た僕は…
骨になった親父を見た僕は…
その時初めて…
泣いた……
涙を流しながら僕は…
"バカやろう…"
"バカやろう…"
"ちゃんとしていれば…"
"家族の言うことを聞いていれば…"
"こんな事に…"
"こんなに早く死ぬこともなかったのに…"
"バカやろう…"
ずっと心の中で叫んでいた…
収骨は僕と母から初め、次に弟達、叔父さん達と続いた…
骨を全てを収め、最後に親父の免許証と、メガネを収め、収骨は終わった。
骨は母が自分のお兄さん達と車で持ち帰り、僕ら兄弟は電車で帰った。
外はかなりの大雪…
シンシンと降る雪が僕らの心を更に沈ませていた…
電車の中でも弟達と…
「親父…供養だけはしてやろうな…」
なんて話をしていた。
家に戻ると、母は先に帰っていた。
リビングにある、組み立て棚の上には、親父の骨と位牌が置いてあった。
とりあえず、三人で手を合わせ、そして次男が着替えに自室に行った…
暫くして弟が戻ってくると…
弟は成人式の時のスーツ姿になっていた。
弟が成人の日を迎えたのは、ちょうど別居している時…
親父は弟の成人式の時の姿を見ていなかったのだ…
「ほら…これが成人の姿だぜ…」
弟はそう言って、再び手を合わせた。
その日の夜、酒好きの親父の為、そして酒飲み家系の家族として、盛大な献杯を行った…
続く…
まあ…親父の遺体を見た時は、涙は出ませんでしたが、骨になった時…
本当に親父の人生が終わったんだな…と思い、悲しさよりも怒りと悔しさで、涙が出てきました。
酒を辞めずに身を滅ぼした親父…
それを止められなかった僕ら…
本当に悔しくて、ずっと心の中でバカやろう…と叫んでいました。
親父の事で泣いたのは、この時だけでした。
次回が親父の死の話も最終回になります。