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MAKOTOのMovie Station ~マコたにのブログ~

鹿児島出身で今は横浜に住んでいます。映画が大好きで、ジャンルを問わず観てます。映画の話題が多いですが、本を読むのも好きなのでその感想記事や散策した時の様子も載せたりしています。
よろしくお願いします。

1941年12月8日、日本軍による真珠湾攻撃で火ぶたが切られた太平洋戦争。

時の連合艦隊司令長官山本五十六が危惧した通り、アメリカの圧倒的軍事力・生産力は徐々に日本を追い詰め、1945年3月に硫黄島を制圧したアメリカ軍は、同3月下旬に沖縄への侵攻を開始。

日本側に18.8万人の犠牲者、米軍側にも1.4万人の戦死者と7.2万人の負傷者を出した凄惨な結果をもたらします。

映画『ハクソー・リッジ』は、沖縄戦でアメリカ軍が攻略に困難を極めた「前田高地」の戦いを中心に描いています。

150メートルの断崖は、弓鋸(ハクソー)の様な崖(リッジ)であったことから、アメリカ軍はハクソー・リッジと呼びました。

断崖を登り切った先には塹壕に身を潜めた多数の日本兵との正に地獄の様な闘いが待っていました。

 

 

 

 

そんな敵と味方が入り乱れる白兵戦の中で、銃などの一切の武器を持たずひとりでも多くの命を救おうと身の危険も顧みずに、重症を負った兵士を助けて回ったひとりの衛生兵がいました。

彼の名はデズモンド・ドス。実在した人物でした。

先の大戦で共に従軍した幼馴染たちを失い、精神的ダメージからアルコール依存症に陥った父親トム・ドス(ヒューゴ・ヴューウイッグ)は、息子の軍への志願に反対しますが、デズモンドの決心は揺らぎませんでした。しかも彼は、戦争に参加するが人は一切殺さないと宣言するのです。

それは少年時代のあるトラウマがもたらした誰にも崩すことできない強い信念でした。

 

映画は、前半部でデズモンド・ドスの少年時代から青年時代(アンドリュー・ガーフィールド)を丁寧に描き、故郷ヴァージニア州の美しい自然と看護師ドロシー(テリーサ・パーマー)との恋愛シーンが、後半のハクソー・リッジでの闘いとの間で非常に強いコントラストとなっています。

メル・ギブソン監督が追求した戦場のリアルな描写は凄惨なシーンの連続です。

 

従軍後の訓練でデズモンドは、持ち前の体力を発揮しますが、上官にどんなに命令されようと銃を決して手にしようとしませんでした。

このことから同僚のいじめ、上官のいやがらせを受けながらも信念を貫き通し、軍法会議にかけられながらもある人物の助けもあり不名誉の除隊を免れ戦地へと赴きます。

 

従軍直前にデズモンドはドロシーにプロポーズします。

ドロシーはそもそもデズモンドの志願には反対でしたが、彼の生還を願い、彼の信念に同意します。

そして愛用の聖書を彼に渡します。その中には彼女の写真が挟まれています

「生きて還ってきて・・・・・」と書かれたメッセージ、切ないです。

戦場で肌身離されなかった聖書と生き抜くという強い意志の支え。

 

もろもろの思い入れは、沖縄を守るため、日本を守るために白兵戦で次々と倒れていく日本兵の幾多の悲劇を目の当たりにしながらも、デズモンドにひとりでも多くの米兵の命を救い彼らが故郷に帰る機会を救い取ってくれと念じてしまうのです。

現実の戦争と違い、映画を観るとき、どうしても矛盾を感じてしまいます。

 

ハクソー・リッジ (2016年 アメリカ)

公式サイト

監督 メル・ギブソン

脚本 ロバート・シェンカン アンドリュー・ナイト

出演 アンドリュー・ガーフィールド サム・ワーシントン ルーク・ブレイシー 

テリーサ・パーマー ヴィンス・ボーン ヒューゴ・ウィーヴィング ほか