電車の中や寝転んで読むときに適しているのは、「単行本」、それとも「文庫本」?
自分は軽いから「文庫本」派。
本当の理由はいろいろあるけど、それは置いといて。
この物語の主人公の「僕」とこの点は一致していました。
他人との関わりを極力避けて学生生活を送っていた「僕」の日常を突然変えたクラスメートの山内桜良。
なんだか欅坂46の『二人セゾン』のような。
『二人セゾン』の場合は僕のイヤホンをはずして連れ出してくれた彼女と「春夏で恋をして、秋冬で去って行く」となっていました。
「僕」と「桜良」は「仲良し」になったときから、別れることが運命付けられています。
彼女は「膵臓」の病気で余命が幾ばくも無い状態でした。
とは言え、桜良はどこまでも明るく周りの人に病気のことを少しも感じさせません。
親友の恭子にさえも病気のことは打ち明けていません。
打ち明けると彼女が悲しむから、普通でいられなくなるからと。
たまたま病院で桜良が落とした日記「共病文庫」を拾い文章を目にした「僕」は彼女の病気のことを知るのですが、あくまで彼女と普通に接するのです。
それが彼女にはとても嬉しくて「仲良し」になります。というのは表向きで、物語のクライマックスで、本当の理由が明かされ、号泣しそうになります。(映画館なので我慢してしまうけど、自宅で観ていたらおそらく声を出して泣いていたかも)
桜良の「死ぬまでにやることリスト」に「僕」は付き合わされることになります。
「男の子とお泊りデート」、「彼氏じゃない男の子といけない事をする」という、ちょっとドキドキすることもリストアップされています。
「僕」と桜良の会話が時に漫才の様に面白いのも見どころの1つです。
何はともあれ、このことはふたりにとって、本当に良かったと感じました。かけがえの無い「時」を残されたの日々に過ごせたのだから。
高校時代と12年後のシーンが行き来する構成を取っていますが、流れが自然で好感の持てる演出でした。
桜良を演じた「東宝シンデレラ」オーディション出身の浜辺美波のさわやかで、メリハリの利いた演技は、今後が楽しみな女優が出てきたという印象です。
明日が来ることを当たり前と思って生活していることに対して桜良は大切なことを教えてくれました。
周りを気にしてばかりの世の中に対して、「僕」の生き方も一石を投じています。
「宝物」に秘められた本当に言いたかったこと・・・・・。
Mr.Childrenの歌う主題歌『himawari』も切なさを誘います。
君の膵臓をたべたい (2017年 日本)
原作 住野よる
監督 月川翔
脚本 吉田智子
出演 浜辺美波 北村匠海 大友花恋 矢本悠馬 桜田通 森下大地
上地雄輔 北川景子 小栗旬