「夕凪の街 桜の国」より「桜の国」 | ムダ打ちわかめ酒

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先日の続きです。


「夕凪の街 桜の国」より

「桜の国」について。


こうの史代「夕凪の街 桜の国」双葉社

                    こうの史代「夕凪の街 桜の国」(双葉社)


続きとなる「桜の国」は
約60ページほどなのですが。


時代は流れて現代。


主人公は皆実の姪にあたる
28歳の七波です。


皆実の弟の旭が、皆実の死後
広島に戻り
被爆した女性・京花と結婚。
(旭は疎開したため被爆していない)


凪生と七波という二人の子供に
恵まれるのですが、

彼らが被爆二世という現実に
立ちはだかる出来事がおこり…。


という話の流れなのですが

私は一度で人間関係を
理解できませんでした…。
(読み返してわかりましたが)


前作の主人公の皆実のカットが
ひとつもないにも関わらず


皆実の生きた証を
生前関わった人物、場所や空気で
伝える技法が…もうとてつもないです。


なお老後の「打越かな?」と想像させる
老人のカットがあり
(映画で、ある意味裏切られますが)


本作裏表紙にある
「最もか弱き者たちにとって
戦争とは何だったのか、
原爆とは何だったのか」


という紹介文は、

正直最初しっくりこなかったのですが


旭は被爆者との結婚を母に反対され


被爆二世である凪生も、恋人の両親に
結婚を反対されてしまいます。

…そういうことかと。


恋愛(と言葉にすると、この軽さ)
を阻まれてしまうのも
被爆したから。


それが二世に渡っても
つきまとう。


それを乗り越えていくのも
しかし人間、だけど

そんなことを背負う必要はあるのでしょうか。


主人公の七波の

「凪生もわたしもいつ原爆のせいで

死んでもおかしくない人間だと

決めつけられたりしてんだろうか」


というセリフが突き刺さります。

読み返す度に

深みを増し、新たな顔を見せる漫画です。