中国から飛来する環境汚染物質に毅然とした対応を | 武藤貴也オフィシャルブログ「私には、守りたい日本がある。」Powered by Ameba

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国家主権、国家の尊厳と誇りを取り戻す挑戦!品格と優しさ、初志貫徹の気概を持って(滋賀四区衆議院議員武藤貴也のブログ)

 数年前から、中国から来る黄砂の影響で日本の喘息患者の症状が悪化している事実が指摘されてきた。確かにこれに関しては自然現象であり、中国にその全ての責任を求めるべきでは無いとする意見が妥当だと私も考えてきた。しかし最近は黄砂だけではなく、「大気汚染物質」まで飛来しており、喘息のみならず、花粉症やアレルギーまで患者が増加、症状が悪化するなどの実害が出ている。そして更に、慢性気管支炎、肺がん、心臓病の原因になる可能性も指摘されている。

 日本に飛来している「環境汚染物質」というのは、主に中国の工場の排煙などに含まれる直径2・5マイクロメートル以下の超微粒子物質「PM2・5」といわれるものである。この物質が、西からの風で中国から日本に運ばれ、近畿や九州など西日本各地に悪影響を及ぼしている。富山県・立山で約10年前から、積雪や雨、霧の成分を調査している富山県立大の渡辺幸一准教授が、汚染物質粒子のデータと気象データをあわせて判定することで、有害物質が中国から運ばれてきたことを確認。教授は「特に黄海沿岸の工業地帯から運ばれてきた可能性は高い。シミュレーションでは九州、山陰の日本海側を中心に、近畿から太平洋側にも及んでいる」と話している。

 さて、こうした事実があるにもかかわらず日本政府はこれまで放置してきた。確かに尖閣問題で日中関係が悪化し、首脳会談が行われていないとは言え、このように国民の安全・安心にかかわる問題は遠慮すべきではない。ただちに調査を行い、中国からの環境汚染物質が原因となって実害が出ているのであれば、損害賠償請求も視野に入れていくべきだと私は思う。私の所属委員会が外務委員会と安全保障委員会なので、このことについてしっかりと意見を述べていきたい。

 話は変わるが、私は大学時代国際環境法のゼミで「トレイル溶鉱所事件」を研究したことがある。この事件は、1941年カナダの溶鉱所から排出された亜硫酸ガスがコロンビア川の渓谷にそって南下、アメリカ合衆国ワシントン州の農作物や森林に被害を与え、それに対し米国政府がカナダ政府に損害賠償を求めた事件である。この裁判は結果として、国際的な公害事件において「領域の使用に関する国家の管理責任」を認めた初めての裁判事例となり、カナダは損害賠償としてアメリカ合衆国に35万ドルを支払うこととなった。米国は隣国といえども遠慮せず科学的データをもとにカナダを提訴し、国民の安全・安心を取り戻した。

 話を元に戻す。中国から来る超微粒子物質「PM2・5」について、九州大学の竹村俊彦准教授は「健康な人に急激な影響はないかもしれないが、呼吸器や循環器系の疾患がある人は注意が必要」と指摘。市販のマスクではPM2・5の粒子が素通りしてしまうので、医療用のマスクを用いるか、外出を控えるなどの対策が有効という。国民の健康を守るのは政府の役割である。まして「安全・安心できる国づくり」を基本理念の一つに掲げるのであれば、このような問題から逃げてはならない。しっかりとした調査を行い、国民を守るための政治を行うことが政権に復帰した自民党政権の大切な仕事だと私は思う。