皆様に、ムツゴロウの愛称で親しんでいただいておりました

父、畑正憲は報道されました通り4月5日に空へと旅立ちました。

 

娘の明日美です。

 

あっという間だったような、数え切れないほどの時がすぎているような

静かな空間の中でカレンダーの日にちだけが

無機的に進んでいるような不思議な感覚のまま

早、一ヶ月が過ぎようとしています。

 

(ここからは、本人がそう呼んでほしい、と語っていた

「ムツさん」と呼ばせていただきます。)

 

すぐに、読者さん、ムツさんを応援してくださる皆様に

ご報告を、と思いましたが

どうしてもブログを書くところまで

気持ちが追いつきませんでした。

とても、お待たせをしてしまいました。

 

ムツさんはムツさんらしく、

亡くなる2週間前まで、連載していた週刊誌の原稿を

書斎で書き、イラストを仕上げておりました。

 

「ムツゴロウの656(YOTUBEチャンネル)を656回まで

絶対完走しようね。また撮影しよう!よろしくお願いします。」

と言う私の言葉に頷いて

「そうだよなぁ。まだ扉を開けたくらいしか話してないもんなぁ。」

「でしょでしょー。どんべえの話も、象の話も、まだ何も聞けてないわ。」

「分かった分かった。」

お前にはかなわん、という顔で、でも笑顔で約束をしてくれていたムツさん。

 

「次の秋の個展で最後だなぁ。今まで出会った動物たちを

一匹ずつ、ちっちゃなサイズで描いていこうと思うんだけど

どう思う?グル、ムク、馬のゴンベにポン子だろ?いやー、沢山描かないとだなぁ。」

目をキラキラさせながら、私に語ってくれてもいました。

 

残念ながら、その思いはかなわず

最期の時はあまりに、突然やってきました。

 

眠るように、という言葉そのままに

数分前までは起きていたのに、目を閉じ

そのまま起きてくれなくなった・・

そんな別れで、ただ呆然としました。

 

しかし、病院ではなく、ムツさんが愛した

北の地の自宅での最期であったこと、

「じゃあね」や「あとはまかせた。」も言わないまま、

なのはなんだかムツさんぽいのかな、とも思ってしまいます。

 

豪胆さと繊細さ

厳しさと優しさ

 

燃えるような情熱とすべてを包む穏やかさ

 

誰もが驚くひらめきと、そしてコツコツとレンガを一つずつ積むような努力

 

時に我が儘で、けれど心底愛にあふれ

 

強い表情とともにある寂しがり屋の顔

 

周りをいつも元気にしてくれていたけれど

誰にも頼らないムツさんは

自分の元気はどうやって生み出しているのだろう、と

ふと心配になったり。

 

我が父ながら、語り尽くせない魅力に溢れる

人でありました。

 

ムツさんが笑うと、人も動物たちも

みんなが明るく照らされ、

まるで太陽のような存在でした。

 

お空の太陽にも寿命があり

夏の木の葉も冬には落ちて

こんにちはとさようなら

 

それは自然な流れの中のできごとと

理解はしておりますが

理解と感情の部屋は別なようです。。

 

でもでも。

 

生前 ムツさんが語っておりました。

 

すべての命はつながっている。

命はつながっていく、と。

 

私もそう思います。

 

今は、空を見上げても、風の中にも

駆け寄ってくる犬たちや

父がかわいがっていた猫のミーを見ても

そこここにムツさんを感じてしまい

胸が詰まってしまうのですが

それだけ、ムツさんが私の中に

いてくれる、つながっているんだなー、

大切にしていこう、と

感じています。

 

まだ整理がついておらず長々と書いてしまいましたが

ムツさん流「生きていることを面白がる」精神を

忘れず、

贈ってもらった名前のように

明日はきっと楽しい、きっと美しいものたちに出会える、

そんな思いとともに

笑顔を忘れず歩いていきます。

 

こちらのブログも続いていきますし、

何より、ムツさんの愛したこの北の地と

いっしょに暮らす馬たちを育て、

沢山の人に乗馬の楽しさを知っていただき

ムツ牧場を守っていくのは夫ツンちゃん、私、高橋ちゃん、

仲間たちのこれからの大切な使命だと思っております。

 

今、私たちのように、大切な人をなくし、同じような

思いをされていらっしゃる方・・

胸に抱えながら頑張っている方も、

沢山いらっしゃることと思います。

ゆっくりと、でも下を向かず

共に進んでいきましょう。

 

白い砂だけがどこまでも続いているような

感情の部屋にも、つながる命があります。

必ず小鳥がやってきて種を落とし、芽吹き、

やがて花が咲き、豊かな色と光に溢れる時が

きっとくると信じます。

 

落ち着きましたら、少しずつ、ムツさんとの

思い出も書いていきたいと思います。

 

今までの応援に感謝をこめて。

そしてこれからもよろしくお願いします。

 

明日美