護身術の真髄17平和 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

一昨年、鳥羽海上保安部長は休日の日曜の度にマリンビレッジに来て身障者の為にヨット教室の世話をして、昼は好物のムーカレーを嬉しそうに食べていた。

以前の保安部長もその前も、転勤移動が決まればご丁寧に挨拶に来てくれた。


昨年は懐かしい人が来た。

あの戦いから何年経ったか当時の海運支局の担当課長で野人より年長だ。

詳しくは書かなかったが、あれだけではなくその前にも野人にやり込められていた。

野人は2度完全防御を果たしたことになる、やり過ぎた気がしないでもないが。

今は国土交通省のお偉いさんとなったようで、市職員がいつもの宣伝車でなく黒塗りの公用車でマリンビレッジに案内して来た。

野人の施設は、国土交通省管轄河川の不法係留船の受け入れ口となる有力なマリーナとして重視されているようで、そのご挨拶と視察を兼ねて何人かでぞろぞろやって来た。

互いにそれを知らず、市職員が紹介をする前に2人顔を見合わせて・・


「あ~~!」 ・・・


市職員に「既にお知り合いですか?」と聞かれたので野人は言った。


「昔・・このお方には随分いじめられて・・」 

イジメ・・


「野人さん、それはこっちのセリフです!」

語気を強めてそう言う目は笑っていた。

会話する時間はあまりなかったが久しぶりに会えて嬉しかった。

まさか、かっての天敵がこのマリーナを経営しているとは夢にも思っていなかっただろう。

かっては野人がお願いにあがったが、今回は出世したにも関わらず東京の本省からご挨拶に来てくれた。

因縁だな・・・あっぱれな心がけ・・


護身術についてまた長々と書いてきたが、大きな目的は平和なのだ。

大切なことは勝利ではなく互いの思いやりであり助け合う心。

戦うのは最後の手段であり、戦えばどちらかが傷つく。

病気と戦って敗北すれば残されたものは悲しむ。

罪を憎まず人を憎まずの真意もここにある。

人が罪を犯す元、原因である常識の壁を両断するのが一番良い。

戦わない、病気や事故にも遭遇しないようにするのが究極の護身術の真髄とも言える。

野人はその平和への大きな志を持っている。

戦いたくはないし勝ちたくもない、しかし敗北は許されない。

  


      完