韓国総領事と市長懇談 朝鮮通信使の世界記憶遺産登録で | 近江毎夕新聞

韓国総領事と市長懇談 朝鮮通信使の世界記憶遺産登録で

 駐大阪韓国総領事館の河泰允(ハ・テユン)総領事が十四日、長浜市役所を訪問し、藤井勇治長浜市長と約四十分懇談した。江戸時代の二百年間に十二回来日した朝鮮国の文化使節「朝鮮通信使」の記録文書をユネスコ記憶遺産に登録するため、市長に協力を要請したもので、河総領事は「記憶遺産登録でこれまで以上に両国の交流促進を。平昌(ピョンチャン)冬季五輪、東京五輪でも両国の関係を深めていきましょう」などと語り、藤井市長は朝鮮通信使に随行するなど朝鮮外交に貢献した長浜市高月町雨森出身の儒学者、雨森芳洲に触れ「郷土の偉人として現在も顕彰活動が続いています。芳洲の文献が登録されるのは大変すばらしい。市では多文化共生社会の実現やインバウンド促進などに取り組んでおります。共に協力して登録を目指しましょう」などと応じていた。
 日韓両国に残る朝鮮通信使の記録文書のユネスコ記憶遺産登録は、日本のNPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会と韓国の釜山文化財団が来年の登録に向け共同提案しているもので、「記録は両国の歴史的経験に裏付けられた平和的・知的遺産であり、恒久的な平和共存関係と異文化尊重を志向する人類共通の課題を解決するものとして、顕著で普遍的な価値を有している」などと登録の意義を強調している。
 記録文書の登録申請リスト百十一件三百三十三点中、日本側資料は四十八件二百九点。登録リストの一部は芳洲の顕彰団体、芳洲会が所有し長浜市が管理している「雨森芳洲関係資料」(重文)と、「雨森芳洲文庫資料」(長浜市指定文化財)など。三十六点が芳洲会所有資料という。
〔写真〕藤井市長と握手する河泰允・総領事