昨年3月11日に始まる東電福島原発の事故を総理大臣という立場で経験し、多くのことを考えました。その結論は「原発に依存しないで済む日本と世界を実現する」ことです。

 

私自身、総理在任中にこの考えを表明し、内閣としてもエネルギー環境会議で「原発への依存度を下げる」方針を示しました。また東海地震の可能性が高い浜岡原発を運転停止させました。さらに、原発再稼働に当たってはストレステストを導入し、経産省エネルギー庁の一部門である原子力安全保安院に判断を任せないで、原子力安全委員会や地元自治体の意見などを踏まえ、総理を含む関係閣僚が最終判断するように変えました。

 

今後、私は原発に依存しないで済む日本と世界を実現するために三つの分野で活動していくつもりです。一つは法制度や予算など政治分野です。二つ目は再生可能な自然エネルギーの活用を実践する人たちへのいろいろな形での支援です。三つ目は原発依存をしないほうが人類にとって好ましいということを日本ばかりでなく国際社会でも発信していくことです。新たにスタートするこのホームページは、原発に依存しないで済む社会を実現するため、私のところに集まる情報を多くの皆様に伝達するためのものです。できるだけ具体的な情報を発信していきたいと考えています。

 

まず始めたいのは、自然エネルギーと省エネがどのように進んでいるかの紹介です。総理大臣を退任してから自然エネルギーに関係する多くの現場を見てきました。国内では郡山の風力発電を始め、省エネに取り組む企業の研究所など数多く視察しました。また昨年12月には、再生可能エネルギーを意欲的に進めているスペインとドイツに、今年1月にはデンマークに出かけました。風力、太陽光、バイオマス発電の現場に加え、発電会社と分離された送電会社のコントロールセンターなどを視察し、各国の関係業界や政策担当者とも意見交換をしてきました。

 

各国の経験を参考に、早急に原発に頼らなくても必要なエネルギーが供給できる体制を作ることです。将来は化石燃料の使用も減少させることも可能にしたいと思います。幸い、私の総理在任中の最後の仕事として、昨年8月、固定価格買い取り制度を実現する「再生可能エネルギー促進法」が成立しました。今年7月には太陽光、風力、バイオマスなど自然エネルギーで発電された電力の買い取り価格も決まります。この新たなホームページが、いよいよ本格的な段階に入る自然エネルギーの普及に役立てるように、力を込めて発信していきたいと思います。