やられた~

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半分以上残っているカフェラテとマフィンをテーブルに残したまま、急いでお店を飛び出しました。
かなり先に、女の子3人の後ろ姿を発見。
気づかれないように、でも、猛ダッシュで追いかけます。すれ違う人たちが一瞬、ビックリしているのが分かりましたが、そんなことを気にしてはいられません。

3人に追いつき、1人の腕をつかみ、
「私の携帯を返しなさい!!」と大きな声で言いました。
さかんに首を振る3人。周りの人たちが心配そうに「マダム、どうしたんですか?」と。

「彼女達が私の携帯を盗んだのです」
「ポケットの中よ」「背中に何かあるわ」
そのたびに“耳が聴こえないはず”の彼女たちは、ポケットを見せたり、Tシャツをめくったり…
慌てるでもなく、落ち着き払っています。もうすでに他の人の手に渡っているのです。

結局、携帯は見つからず、私が腕をつかんでいる女の子を平気で残して、あとの2人は普通に歩き出しました。盗品もないし、私一人で3人を捕まえておくのは不可能です。

この日の12時過ぎ、私は洗車を待っている間、近くのスターバックスに入りました。
こんな時間も中々ないので、カフェタイム。
子供達のスケジュールのことで連絡を入れたり、メールに返信したり。そして、読みかけの本を読み始めました。

12時半すぎ、ふとそばにブルーの紙を見せながら、何かを訴えている女の子が2人。
また、いつものだあ~と「ノン、ノン(ノー)」と言いながら相手にしませんでした。
これは『耳が不自由な子供達の為に寄付や署名をお願いします』というようなことが書かれていて、その紙を持ってる子供達は、さかん耳が聴こえないというジェスチャーをします。

しかし、実際には耳は聴こえてるし、署名をしている間にバックの中や上着からお財布や貴重品などを見事に抜き取っているのです。
3年前、はじめて声をかけられた時には、署名をし、20ユーロをあげました。が…あとになって、これは彼らルーマニアの子供達の“仕事”だと分かりました。
今回、私は馴れた風に、彼女たちをあしらいましたが…
実は2人で私に紙をチラつかせている間に、目の前のテーブルに置いてあった携帯が消えていたわけです。

女の子の腕をかなり強く抑えていたようで、時々、その子が痛そうにします。確かによく見ると腕の色が黒ずんできていました。
日本ですと、どこかに交番がありますが、フランスには交番はありません。
つまりこの状態で自分で警察署まで行かなければならないのです。でも、どこにあるのか分からない…

結局、この女の子と15分近く歩いた結果、スターバックスに戻り、警察に電話をいれてもらいました。
お店の責任者は、携帯は見つかっていないにしても、グループの1人をしっかりと捕まえている私に驚いていました。
5分後にはサイレンを鳴らして、なんと警官が4人もやってきました。

自分の名前などを書くことになり、初めて手がものすごく震えていることに気付きました。
パトカーには警官4人、その女の子が乗ると定員一杯。
「マダム、車ですか?じゃあ、住所を教えますので、洗車が終わったら警察署に来てください。被害届、だしますよね?」

石造りの警察署は住宅の間にひっそりとあり、しかも、正面玄関は閉まっていて裏口からしか入れない。案内表示も何もなく、外で煙草を吸っている私服の警官たちにギョロッと睨まれる。
とても警官に見えない…
状況を説明して中に入るも、あまりにも殺風景で、本当にここでいいの?と不安。
15分ほど待って、部屋の中に入り、私服の警官に詳細を話しました。

実は3年前、私は現金を盗んだベビーシッターを問い詰め、彼女の目の前で警察に電話をしたことがあります。
しかし、その時の警察官は「こちらからは行けません。マダムが連れて来てください」と。結局、当時1歳の息子のことやお迎えに行かなければならない娘のことがあり、1人ではどうにも出来ませんでした。
フランスでは“盗み”くらいでは警察は何もしてくれないんだ…と、ショックを受けました。

しかし、後日、被害届を出しに行くと、この女性はこの地区の警察署では有名な窃盗の常習犯だったことがわかり、担当の警官が「なぜ、電話をかけた時にちゃんと対応をしなかっのか、悔やまれる」と言っていました。
この常習犯は一年半後に逮捕されました。

3年前に比べたらパトカーで駆けつけてくれただけでも、よかったのだと思っています。

でも電話は戻って来ません。電話本体はいいから、中に入っているデータと、お仕事でお世話になっている方から頂いたばかりのケースだけは返して欲しかった。
このケースが日本から届いて、大喜びで装着をして…
24時間後には手元からなくなってしまいました…

パリにいらっしゃる方を怖がらせるつもりはないのですが、バックやお財布は勿論のこと、携帯電話も気をつけてください。
人混みで電話をしながら歩いていて、すれ違いざまに電話を盗られるということもあるのです。

○○人だから悪いことをする…なんていう考えは全くありませんが、今回の女の子たちのようなルーマニアのグループはとても巨大な組織力をもって、“仕事”をしています。
メトロのピックポケットも彼らです。
実行しているのは多くが子供達です。私が被害にあったのも、相手は警察の方によると12歳くらいとのこと。
さんざん、ガイドや本でも「気をつけてください」と書いていたのに…

日本人だけでなく、フランス人も多く被害にあっています。
でも観光客だと現金をもっている可能性は高いですし、確かにターゲットになりやすいでしょう。
怖がる必要はないのですが、緊張感は必要です。

私も…反省。
週のはじめに嫌な話でごめんなさい。

でも、もしパリにいらして同じようなシチューエションにあったら…
あ!!っとこの話を思い出していただけたら。