上野の国立西洋美術館で開催されています「憧憬の地ブルターニュ」展を

 

観に行って来ました。

 

 

 

 

「国立西洋美術館」は、最後に行ったのはいつなのか記憶にないくらい

 

とても久しぶりに来ました(;^_^A

 

 

 

 

鮮明に記憶に残っているのは初めて足を運んだ大学生時代、一階ホール

 

(多分19世紀ホール?)の印象でしょうか?

 

吹き抜けの上部の天窓から、陳列されている彫刻に差し込む柔らかな光と、

 

その西洋的な建築の美しさに思わず息を呑んだ事は、鮮明に記憶に残っています。

 

 

数年前に拝読していますブロガー様のブログにて、ル・コルビュジェという有名な

 

建築家が設計した建物にて世界遺産に登録されたと知り、あ、あの素敵な

 

空間の建物だわ~とちょっと驚きました。

 

うん十年前の当時から、多分、絵画より建物の方が好きだったのだと思います。

 

 

 

 

前庭の常設の彫刻から、数点のみぱちり

 

オーギュスト・ロダン「カレーの市民」

 

 

 

 

オーギュスト・ロダン「考える人(拡大版)」

 

 

 

 

ロダンの考える人を見ますと、同時に、彼から強い影響を受けた

 

明治期の彫刻家であり日本近代彫刻の父と言われる荻原碌山(おぎはらろくざん)

 

の絶作「女」を思い出します。

 

中村屋の女主人相馬黒光へのプラトニックですが道ならぬ恋に悩みながら、

 

30歳の若さで急逝した碌山。

 

最近観光地として脚光を浴びている信州の「安曇野」に、とても小さな

 

碌山美術館があります。

 

私は、小学校の遠足で訪問しただけですが、こちらも鮮烈な印象にて、

 

いまだにはっきりと「女」の彫刻が目に浮かびます(高学年の担任の先生が

 

碌山が大好きで、常に話を聞かされていた事もありますが・笑)

 

宜しかったら、お近くにご旅行された折、足を延ばして是非見て下さいね。

 

 

 

と冒頭から、またまた大幅に脱線してしまいました(;^_^A

 

 

 

 

 

以降は、さくさくと進みたいと思います・汗

 

「憧憬の地 ブルターニュ」展のチラシのコピー「画家たちは、最果てを目指した」

 

 

 

 

ブルターニュとは、フランス北西部、太平洋に付き出た半島を核とする地方です。

 

(↓は公式HPよりお借りしました)

 

 

 

 

多くの画家達は、なぜ最果てのブルターニュを目指したのでしょうか?

 

(↓も公式HPより引用)

 

 

 

 

平たくまとめますと、断崖や荒れ狂う海他自然の豊かさ、ケルト文化を

 

色濃く残したエキゾチックな「異郷」に多くの画家達は惹かれ、

 

ブルターニュの地を目指したとの事です。

 

 

地下に降りますと、展示室エントランス前壁面一面のディスプレイ

 

これは映像ですか?

 

 

 

 

右端窓の外の景色?と、モネの絵の一部が一体となった絶妙さに、

 

ちょっと感心してしまいましたよ(笑)

 

 

 

 

同じく公式HPより拝借した、本展の見どころ↓

 

 

 

 

ちらしの説明より↓

 

 

 


パリ在住の女優の杏さんがアンバサダーとして、本展について紹介したTBSの番組を

 

たまたま事前にテレビで見ましたので、TBSの紹介番組も参考にさせて頂きブログを

 

書いています。

 

 

ところで、番組では、杏さんが、パリのオルセー美術館やモンマルトルで

 

ロケしながら、作品を紹介していましたので、本展の絵画の多くは、

 

フランスから来ているのかと私、勘違いしていました(;^_^A

 

が、殆どの作品は、松方コレクションを始め日本の各美術館に収蔵されている

 

物で構成しているらしい事を、本展に来て初めて知りましたよ真顔汗

 

でも、同時に、松方コレクションを筆頭に、日本のコレクションの豊かさにも

 

ある意味感服しました。

 

 

 

 

さて、展示は、テーマごとに四章に別れています。

 

一部、撮影OKの絵もありましたので、順路に従い、自身の備忘録も兼ねて、

 

撮影OKの絵を中心に簡単に、ご紹介していきますね。

 

 

 

第一章 見出されたブルターニュ 異郷への旅

 

 

ウィリアム・ターナ「ナント」(ナント歴史博物館より)

 

(撮影し忘れましたので、画像は公式HPより)

 

 

 

 

とても小さな作品ですが、柔らかな色合いで好きなテイストです。

 

 

クロード・モネ「嵐のベリーヌ」(オルセー美術館より)

 

 

 

 

クロード・モネ「ポール=ドモワの洞窟」(茨城県近代美術館)

 

 

 

 

ポールドモアの洞窟とはブルターニュ、南のベリール島にある洞窟らしいです。

 

同じベリール島の海でも、天候によって全く違う表情を見せるブルターニュの

 

自然の荒々しさが、二枚の絵から良く分かりますね。

 

 

ポール=ドモアの絵のグリーンがかった海の色を見ていますと、2019年フランスに

 

旅行した折に、ブルターニュの北西部のサンマロとカンカルを訪問した時に眺めた

 

海の色を思い出します。

 

サンマロ辺りからのブルターニュの海岸一帯は、エメラルドコースト(エメラルド

 

海岸)と呼ばれ、グリーンがかった海の色が晴れた日にはエメラルドの様に

 

きらきら輝く事で有名だそうです。

 

サンマロの先にある半島の先端の海を撮影したお写真↓です。

 

 

 

 

生憎曇り空でしたが、グリーンがかった海の色や断崖が、モネの絵と

 

良く似た雰囲気でした。

 

 

 

 

 

 

第二章 風土に育まれる感性 ゴーガン・ポン=タヴェン派と土地の精神

 

 

ゴーギャンの絵が一挙に12点、年代別に展示されています。

 

同じブルターニュを題材に書かれた絵ですが、ゴーギャンの作品の変遷が

 

手に取るように分かり、面白いです。

 

ポール・ゴーガン「ボア・ダムールの水車小屋の水浴」(1886年)(ちらしより)

 

 

 

 

この頃は、印象派から深い影響を受けて、柔らかな色使いの印象派の造形です。

 

 

ポール・ゴーガン「海辺に立つブルターニュの少女たち」(1889年)

 

 

 

 

この前年の1888年頃から、ゴーガンの画風が変わり始めたとの事(TBS番組より)

 

 

ポール・ゴーガン「ブルターニュの農婦たち」1894年(オルセー美術館より)

 

 

 

 

この作品は、タチヒ滞在後に書かれたものにて、私達が一般的に思い浮かべる

 

ゴーガンの色と作風ですよね。

 

ブルターニュの自然には存在しない原色が使われています。

 

尚、少女や農婦が被っている帽子のようなものは、コワフと呼ばれるブルターニュの

 

民族衣装の帽子にて、他にも多くの画家達がコワフをかぶった女性の姿を

 

描いていました。

 

 

 

第三章 土地に根を下ろす ブルターニュを見つめ続けた画家たち

 

 

モーリス・ドニ「花飾りの船」

 

 

 

 

絵の左奥の、ブルターニュで特徴的なバラ色の花崗岩に注目

 

また日本を思わせる日本国旗や提灯も描かれているとの事です(TBS番組より)

 

 

同じくブルターニュに別荘を持ち、ブルターニュに根を下ろした版画家

 

アンリ・リヴィエールは、日本の浮世絵作家北斎から強く影響を受けたとの事。

 

浮世絵風の版画をかなり残していましたが、なんちゃって浮世絵ではなく、

 

洋画らしい淡い色を感じるこの版画に、フランス人しか出せない色合いを感じ

 

心に残りました。

 

アンリ・リヴィエール「薄暮」(公式HPより画像をお借りしました)

 

 

 

 

またまたテレビの話で恐縮ですが、最近NHKBSプレミアムで再放送された

 

宮崎あおい主演のNHKドラマ「眩(くらら)~北斎の娘~」を思い出しましたよ。

 

西洋人から発注された浮世絵に、西洋画らしい色を出したいのに、その色が作れず、

 

悩むシーンが出てくるんです。

 

 

シャルル・コッテ「悲嘆、海の犠牲者」

 

お写真では分かりませんが、かなり大きな絵にて大作です。

 

 

 

 

この絵だけでなく、海に囲まれたブルターニュ地方ですので、海で亡くなった方や、

 

海賊に殺された方の遺体の前で嘆き悲しむ絵が、かなりの数ありました。

 

 

2019年に訪問したサンマロも、海賊業により巨万の富を築き、当時はフランス随一の

 

港町として栄えましたし、ローマ帝国の時代から牡蠣の産地として有名な

 

カンカルも、男は漁に出ていつ死ぬか分からないので、女性がとてもたくましいと

 

ガイドさんから伺った事ともリンクして、旅の事を懐かしく思い出しました。

 

 

という事で、ブルターニュの名産物(食べ物)についても、ちょこっと(笑)

 

 

カンカルの有名なクレープ店(ミシュランの星もあり日本人がやっていたような?)

 

 

 

 

 

サンマロの旧市街地の人気カフェレストランにてランチ↓

 

ブルターニュ名物のガレット

 

ガレット生地はそば粉100%で作られます。

 

 

 

 

中味は、山のように色々な種類があり、確か魚介類を頼んだような記憶が

 

ガレットを開きますと、とろとろの卵が入っています(卵は共通だったかしら?)

 

 


 

牡蠣だけでなく、ムール貝も名物

 

とても大きなムール貝がバケツのように大きなボウルに山のように(しかも安い・笑)

 

 

 

 

獲れたての大きなムール貝は、とっても美味しいですハートルンルン

 

これを食べたら、もうモンサンミッシェル(高いのに超しょぼくて美味しくない・汗)

 

やパリ、日本のムール貝は、もう食べられないかも(笑)

 

 

店内は当然満席で賑わっていましたが、観光客なのでしょうか? 

 

鮮やかなショッキングピンクをお召しになった恰幅の良い老婦人がお一人で、

 

ボトルの白ワインを飲みながら、大きなバケツ(ボウル)のムール貝を

 

幸せそうに召し上がっている姿が、印象的でした(すごい食欲にも驚・笑)

 

 

ボルディエのバターの本店(サンマロ)

 

 

 

 

 

 

バターだけでなく、ブルターニュは、ゲランドの塩を筆頭に、

 

美味しい海塩も有名ですよね。

 

 

 

さて、最後は第4章 日本初、パリ経由 ブルターニュ行 日本出身画家達のまなざし

 

 

黒田清輝「プレハの少女」

 

 

 

 

履いている靴が左右で違ったり、洋服が粗末だったりと、ブルターニュ地方の

 

貧しさが描かれているそうです。

 

 

藤田嗣治「十字架の見える風景」(公式HPより)

 

 

 

 

両側白い壁の建物は、ブルターニュに良くあるとの事ですが、私が訪問した地域は、

 

白い色だけでなく、もっと多岐にわたっていました。

 

でも、旧市街地の細い路地から、海がすぐそこに見えるところは共通です。

 

 

カンカル、旧市街地の路地から

 

 

 

 

サンマロにて

 

 

 

 

これはひょっとしたら、右は城壁かも(海賊の街ですから攻撃に備えて、旧市街地は、

 

全周囲を城壁で囲まれています。)

 

 

 

「憧憬の地 ブルターニュ」展のお写真、もっと撮影していますが、

 

長くなりますので、以上、備忘も兼ねて、簡単にまとめてみました。

 

 

 

本展を鑑賞しますと、画家達だけだけでなく、私達も

 

ブルターニュの地に行きたくなります(笑)

 

 

ブルターニュを描いた絵画を楽しむだけでなく、本展を通じて、ブルターニュの

 

地を感じ、ブルターニュに是非足を延ばして欲しいというのが、ひょっとして

 

本展の真の目的でしょうか?

 

 

 

 

 

伺ったのはコロナが5類に変更された5月8日以降ですので、上野は、平日でも

 

かなりの人出にて、特に駅前は、修学旅行の生徒や団体観光客で、ごった返す程、

 

とても賑わっていました。

 

が、日時指定の予約のせいもあるのか、美術館内はそれほど混んでなく、

 

ゆっくりと鑑賞出来て良かったですよ。

 

有難うございました。

 

 

 

 

 

 

 

お読みいただき、有難うございました。