「極楽いぶかしくば宇治の御寺をうやまへ」(『後拾遺往生伝』)
平安時代後期の人々の極楽のイメージは宇治の平等院にあったようで、「極楽が有るかどうか疑わしいと思ったら宇治の平等院へ行ってみなさい(*^-^)b 」と童歌にも歌われていたようです
それが今の期間は、「極楽いぶかしくば六本木のサントリー美術館をうやまへ」なわけです
『天上の舞 飛天の美』展(2013.11.23~2014.1.13) サントリー美術館
もっとも、クリスマスイルミネーションキラキラのこの季節のギロッポンですから、街はとりわけ華やいでいて、
サントリー美術館に行く前から、もう極楽じゃん??なんて思う人も多いと思うけど、そういう方はそれぞれの極楽にどうぞ(*^.^*)
修理中の宇治平等院は、私も何度か訪れました
その平成修理が来春終わるのを記念して、東京でお披露目ですo(^-^)o
「よく来たのぅ~」(孫が一人で帰省したのを喜ぶ田舎のオババの心境・・・・?)
まず、神居文彰住職の講演会を聞きました
珍しく抽選で当選しました
神居住職のやわらかな語り口にすっかり魅了され
お話の内容を漏らさず聴こうと鼻息荒く
・・・・・・・・こんなにメモとっちゃいました(*^▽^*)
我ながらおそろしいわ・・・
展示会場は大きく4つのエリアに分かれていました
今回の展示、本当に良かったです
展示の流れは、
1、飛天の源流と伝播ーインドから日本ー
2.天上の光景ー浄土図から荘厳具ー
3.飛天の展開ー来迎聖衆ー
4.平等院鳳凰堂ー飛天舞う極楽浄土世界ー
ざっとですが(←出ました、得意の大雑把!(^o^;) )
楽しい展示だったので書いてみます
1.飛天の源流と伝播
私このテーマが好きで、夏の授業の発表にも選びました
大変だったよ、あれ
展示順にまずはシルクロード
クチャ出土舎利容器(7~8世紀)(模造品)
クチャは西域北道にあります
大谷探検隊が発見
舎利容器の蓋部分に飛天の絵が描いてあります
もう、これツボですよ(^O^) (^O^)
命名「こども天使」
この恰好で仮装大賞出たらうけますよ(下着はつけてね(///∇//) )
以前に記事にした「おじさん天使(以前ブログ内でそう命名・・・ごめんねおじさん)」と髪型が似てます
↓おじさん天使
こちらは西域南道のミーラン出土(この絵、展示品ではなくて、私のお気に入り画像です)
いやもう、楽しいね~≧(´▽`)≦ ≧(´▽`)≦
飛天が初めて現れるのはインド(←カレー色にしてみた)です
そのあと、ガンダーラをぬけてシルクロード(上の2枚の写真等)に伝わりました
ではインドでは飛天はどういう感じだったのかな?
例えば、この仏伝浮彫
ガンダーラ(2~3世紀)
上方を拡大すると
ほーら飛天ちゃん
天衣の裾を持ち上げて袋状にしてそこに花を入れて散華してるんですって
散華するって聞くと、映画『星の王子ニューヨークへ行く』で女官?が王子(エディーマーフィー)の歩く道に花びらをまいていたのを思い出します(独り言)
インド→シルクロードと伝わった飛天ちゃん、途中でヘレニズムと出会い、上の二体(こども天使、おじさん天使)みたいなおかしな恰好(〃∇〃) になりながらも中国へ伝わります
唐時代
敦煌から来たらしいですが、会場では額縁に入った展示でした・・・
切り取って持ってきたのかしらね?
私の読んだ本では、中国で飛天は仙人と出会い日本へ流れ着くのですが、その過程で飛天が色っぽくなくなっちゃうんですよね・・・・・・
インドでは相当にグラマーだったみたいなんですけどね
ま、私は構わないけど、日本男子は歴史的にこの分野については、わりと損してる気がするんですよ
(詳しくは、林温『日本の美術 飛天と仙人』(至文堂)でお読みください(^-^)/ ←これは相当真面目な本です、念のため)
で、飛天は朝鮮にも伝わります
飛天文軒平瓦断片(7~8世紀)
これ、法隆寺金堂壁画にそっくり!
びゅーーーん
そして日本到着
法隆寺金堂内陣旧壁画17号壁
法隆寺金堂天蓋付属飛天
いつみてもかわいいこの子
川原寺裏山遺跡出土仏三尊せん仏
上方で天蓋を挟んで二体の飛天
そしてこれです
薬師寺東塔水煙飛天
(私のクリアファイルの写真ね)
2.浄土図から荘厳具
浄土図と言えば、奈良県当麻寺に伝わる、中将姫が蓮の糸で織ったという綴織当麻曼荼羅が有名ですが、
後の世にこの曼荼羅はあちこちでコピーされます
当麻曼荼羅の絵解きも面白いのですが、今回は絵の中の飛天をさがします
奈良国立博物館
当麻曼荼羅(鎌倉時代14世紀)
上のほうに飛天がいます
拡大します
ほらね
荘厳具で飛天が使われる例は
中尊寺金銅迦陵頻伽文華鬘
この透かし彫り、彫ってみたいなあ…(無謀)
飛天というか、迦陵頻伽(かりょうびんが、体が飛天、足が鳥です、・・・・似たような例の?頭が人間、体が馬のケンタウルスを思い出しちゃった 洋の東西を問わず、同じような発想があるってことなのかな?)
とまあ、こんな風に、当時の浄土図から荘厳具まで飛天が使われていたわけです
3.飛天の展開
飛天は、来迎の聖衆の中にも現れます
福島県立美術館
阿弥陀二十五菩薩来迎図(鎌倉時代13~14世紀)
二十五菩薩(メンバー決まってます)が来迎するときに
ふわふわついてくる飛天・・・・・どこにいるでしょう?
上方アップすると・・・・・いました!
京都清凉寺
迎接曼荼羅図(副本)(鎌倉時代14世紀)
いやあ、何ですか、このうじゃうじゃ感~ムーミンのにょろにょろ?o(^▽^)o
これ、3場面が同時に描かれています
左上が阿弥陀如来の極楽浄土
下部は来迎する阿弥陀聖衆
右上は往生者を迎えた聖衆が帰るところ
「んなもん、別々に描いてよ」
とか言わないでね
その中で飛天はどこでしょう?
いた!いた!左下来迎する聖衆の上でふわふわ
飛天もインドからはるばる伝わり日本でも確実に存在感を出してますね
いいぞ、いいぞ、その調子だぞ
そして、本題の平等院鳳凰堂の展示の話は次回