南シナ海は、戦争と平和の分岐点である。 | 旗本退屈女のスクラップブック。
西村眞悟の時事通信


平成27年10月27日(火)

 しばらくキーボードの前に座れなかったが、
 
 今朝、アメリカ軍が
 南シナ海の、
 中共が軍港と滑走路建設のために埋め立てたスプラトリー島嶼群周辺十二浬以内の
 哨戒活動を開始したとの報道に接した。

 この哨戒活動開始が真実ならば、
 アメリカ軍は戦争と平和の分岐点において、
 平和の方向に流れを引き寄せつつある。
 
 我が国の海上自衛隊もアメリカ軍と共同行動をとりつつあることを願う。
 何故なら、平和を維持することは我が国の国是であるからである。
 安倍総理の言う、積極的平和主義とはこのことだろうが。

 さて、マスコミ(NHK)の報道には、アメリカ軍の哨戒行動を伝えるとともに、
 その末尾に、「中共の厳しい反発は必至です」といういつものコメントがついていた。
 このコメントは、
 日本から、中共や韓国に反日非難を「輸出」する際に必ず末尾に付けられてきた。
 それ故、中共はパブロフの犬だから「激しい反発」をする。
 あの中共の男女の報道官の姿が目に浮かぶ。
 無表情でウソを平気で繰り返す彼らを、パブロフの「サイボーグ」として見られよ。

 そこで、何故、これが戦争と平和の分岐点かを独裁者の行動パターンから指摘したい。
 その前提は次の二つ、
 (1)ナチスドイツのヒトラーと中国共産党主席は、軍事力をのみ信ずる独裁者である。
 (2)独裁者は、相手の平和願望と「力の空白」すなわち軍事的アンバランスにつけ込んで軍事行動をとる。

 第二次世界大戦中のイギリス首相ウインストン・チャーチルは、戦後に大戦を回顧して
 第二次世界大戦は、
 しなくともすんだ戦争であった、
 平和主義者が造った戦争だった、と言った。
  では、チャーチルは、いつの時点を以て、戦争と平和の運命が分かれたとしたのか。
 それは次の通り、
 (1)一九三六年三月七日のドイツ軍のラインラント進駐が、分岐点であり、
 (2)一九三八年のドイツ軍によるオーストリー併合に続く
  チェコスロバキアのズデーデン地方割譲要求を、英、仏の諸国が認めたこと、
  即ち、「ミュンヘンの宥和」(九月二十九日署名)が、
  戦争へのトリガー(引き金)である。
 以下の流れは次の通り電光石火。
 まことにヒトラーは、戦争の為に生まれてきた男である。
 一九三九年八月二十三日、モロトフ・リッペントロップ協定(独ソ不可侵条約)締結。
      九月一日、ドイツ、ソ連、東西からポーランド侵攻・・・第二次世界大戦勃発
 一九四〇年六月十四日、ドイツ軍、パリ入城
      九月七日、ドイツ軍、ロンドン空襲開始

 最初の分岐点となったライン川を越えたラインラント進駐に関して、
 ヒトラーは次の通り回顧し、
 戦後フランス軍の捕虜となったドイツ軍将官は次の通り述べた。
 「ラインラントに兵を進めた四十八時間は、私の人生で最不安な時であった。
 もしフランス軍が進軍してきたら、貧弱な装備のドイツ軍は反撃もできず逃げ出さねばならなかった」
 「この時フランス軍が、ラインラントに侵攻していたらドイツは敗北し、ヒトラーは失脚していた」

 しかし、此の事態が起きる前と最中において、
 イギリスとフランスは平和のための軍縮を続け、ドイツは軍備増強を続けていた。
 即ち、ドイツの周辺国は、武力を増強しなければ、平和が続く、と思っていたのだ。
 これに対して、ドイツの独裁者ヒトラーは、
 周辺諸国の平和を続けたいという願望を利用して戦争を準備し実行した。
 また、独裁者は武力を行使して目的を達成するには、
 常に「平和的解決、つまり話し合いによる解決」を呼びかける。

 以上のことを「回顧」した理由は既にお分かりのことと思う。
 
 この度の中共によるスプラトリー諸島埋め立てによる軍港と滑走路の建設は、
 ラインラント進駐である!
 これを放置すれば、
 中共による南シナ海と東シナ海の「併合」につながる。
 これを放置することは、
 中共のフィリピン領土割譲要求にアメリカと日本が「宥和する」ことである。
 これは、戦争と平和の分岐点であり、戦争への引き金である。

 アメリカの国務長官が、昨年から哨戒活動をすべきと主張していたことは知っていた。
 また、オバマ大統領が、その哨戒活動に踏み込めないことも分かっていた。
 しかし、この度、大統領も哨戒活動に同意したと見られる。
 中東におけるオバマ大統領の不決断が中東の危機を造った。
 その中東の結果に鑑み、アメリカの決断はアジアの平和に貢献することになる。
 そして、繰り返すが、我が海上自衛隊は、アメリカと共同行動を執るべきである。
 これは、個別的自衛権の領域にある行動であり、
 同時にアジアの平和を維持する行動ではないか。

 他方、中共は、
 此のアメリカ国内の意見のせめぎ合いに乗じて何を言っていたのか。
 それは、「話し合いによる解決」である。
 此の中共の呼びかけに乗れば、既に明らかなように、
 「平和主義者が戦争を造る」ことになる。

 まことに偶然であるが、一昨日の夜、山梨県の山中で、
 フィリピン人の高等学校の校長さんと話をした。
 彼は言った。「平和を望む」と。
 私は答えた。
 You want peace. 
 OK.Therfor We must Prepare War.