昔々あるところにおじいさんとおばあさん暮らしていました。
ある日、おじいさんは山へ芝刈りにおばあさんは川へ洗濯にいきました。
おばあさんが川で洗濯をしているとなんと大きな大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきたのです。

おばあさんがその大きな桃を家に持って帰りおじいさんと割ってみると、なんと桃の中からたまのようなかわいらしい女の子が出てきました。
おじいさんとおばあさんは、女の子を桃太郎…………ではなくキョーコと名付けたのです。
キョーコはおじいさんとおばあさんにかわいがられ、すくすくと元気に育ちました。


ある日、キョーコの元にアカトキ村の松太郎から手紙が届きます。

『ケリをつけてやるからアカトキまで来い。』

「果たし状ね。…………いい度胸じゃない!ぎったんぎったんにしてやるんだから!!」

昔から何かとちょっかいをかけてはからかってくる松太郎とキョーコは犬猿の仲なのでした。

キョーコは、吉備団子を作って、なぜか用意されてるショッキングピンクなつなぎを着てアカトキ村を目指して旅立つのでした。


キョーコがてくてくと歩いていくと大きな大きな犬?に出会いました。

「やぁ、かわいいピンクのお嬢さん。どこへおでかけだい?」

「桃から産まれたキョーコです。アカトキ村までバカショー退治に行くの。そうだ、吉備団子あげるから一緒来てくださいませんか?」

「………そう。吉備団子はいらないから、そのバカ退治が終わってからでいいから『桃』食べさせてくれない?それなら協力してあげる。」

「桃ですか?はぁ、まぁバカショー退治の後でよかったらいいですよ。」

キョーコは庭の桃の木に実がなっていたのを思い出して承諾します。

「うん。じゃ、やっかいな馬の骨退治ははやく終わらせてしまおうね。」

そう言ってキョーコの腰に手を回し優雅にエスコートする犬?は、敦賀蓮と名乗りました。

キョーコと蓮は、アカトキへむかう道中で猿の光とキジのレイノに出会いましたが、ふたりがキョーコに好意を持って近づくと犬?の蓮がキュラキュラとした笑顔で
(せっかくふたりきりなんだから邪魔すんな)
と、プレッシャーをかけて撃退するのでした。


やがて、ふたりはアカトキ村まで辿りつきました。


「やっときやがったな、キョーコ!………って、なんだ?そいつは!!」

松太郎は、ぴったりと寄り添うように蓮にエスコートされているキョーコを見て怒りだしました。

「犬?の敦賀さんよ。」

「おまっ!そいつ犬なんてかわいいもんじゃねぇぞ!?狼じゃねぇか!!離れろっ!ぺろっと食われちまうぞ!」

「な?なんてこと言うのよ!こんな紳士な敦賀さんにむかって!」

ふたりは顔を合わせた途端、喧々囂々とケンカ腰で言い合いをはじめますが、仲良くじゃれ合っているように見えるのが蓮には気に入りません。
なので、キョーコの腰に手をまわし、にっこりと告げます。

「最上さん?彼の言ってることは間違ってないよ。俺、狼だし。」

「ふへ?………敦賀さん、狼なんですか?」

「だから、危ないってんだろ!こっち来い!俺が、その狼駆除してやるから!」

ショーがきょとんと蓮を見上げるキョーコの腕を掴んで引き寄せようとすると

「ダメよ!!敦賀さん、ちょっと意地悪で笑顔キュラキュラ刺さるけど、優しいし、髪の毛さらさらでずっと撫でてたいし、腕の中あったかくていいにおいがするからドキマギするけどうっとりしちゃうんだから!!」

キョーコはショーの腕を振りほどいて叫びます。
その告白めいた言葉を聞いてショーは仁王像な顔で固まってしまいました。

「最上さん?彼、すごい顔で動かなくなっちゃったけど………退治する?」

「………いや、もういいです。」

松太郎さん、かたまったまま放置プレーです。










「バカの退治終わったから、もう食べさせてもらっても………いいかな?」

蓮はすぅっと目を細めてキョーコの身体に絡みつくように腕をまわします。

「ひぃっ!………なんで夜の帝王!?た、食べるのって、も、ももも桃ですよね?ちょっ!!………やっ!あん」

「うん、桃。………最上さんのここの『桃』、甘い香りがするし、みずみずしくってハリがあって………おいしそう………」




桃から産まれた桃太郎なキョーコは、狼さんを従え松退治に出かけ、狼さんに美味しくいただかれてしまいましたとさ。



終わっとけ。



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オチがいつもいっしょ。(´Д` )
蓮さんが妖しいこと言っておいしくたべるシリーズじゃん。



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