どうもお久しゅうございまする。
ろくに浮上もせずに何してやがったかと言えばですね……
体調を崩したやら仕事が多忙だったなどは一切なく、オタ友に唆されて別ジャンルな沼で別名で隠れヤンデレと鈍感チートの歳の差ものな妄想をば書き散らして遊んでましたとさー。
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、
 
 
そして、今宵のこちらは久方ぶりにス◯ビ虹へとおめおめと戻ってきた猫木のリハビリのような思い付きのあほ話にございます。
いいですか?萌えもキュンもないっすよ?あと無駄に長いですぞ?
そんなでもなんでも桶ー☆なお方様のみ、どうぞよろしければお付き合いくださいませー。
 
 
 
 
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喜べば良いのやら、凹めば良いのやら……
 
 
 
 
そんななんとも複雑な心境で立ち尽くしてしまっているのは、この国の芸能界での男性高感度的ランキングの1位を総なめにしている人気実力派俳優、敦賀蓮そのひとである。
いや、蓮とてすき好んで茫然と立ち尽くしている訳ではないのだ。
蓮が密かに想いを寄せているキョーコがこの時間この場にいる予定なのだとによによ顔の敏腕マネージャーに教えられて、挨拶だけ……せめて顔を見るだけでも……なーんて拗らせた恋心で立ち寄った筈で。
それなのに、蓮の耳に飛び込んで来たのは男のがなり声。それも、キョーコの王子様だったにも関わらず彼女を利用するだけして捨てた癖に今更になってキョーコにちょっかいを出してくるあの男の声で。
もちろんのこと蓮は、幼なじみが仲良く戯れるみたいなあの他人に入り込めないような空気なんぞ叩き壊すつもりで邪魔な横やりを入れる気だったのだ。それこそなりふり構わず、キョーコと同じ事務所所属で同マネージャーにマネージングされている先輩の立場をフル活用してやってでも。
そんな蓮が何故に棒立ちに?その理由はといえば……
 
 
 
 
 
「っだっから!!俺が!その『ショーちゃん』本人なんだよっ!」
苛立った様子でそう叫んでいるのはカリスマロックミュージシャンだなんて呼ばれている不破尚だ。
そして、その尚と相対しているのは……
「ちがいますぅー!!」
と、力いっぱいにそう否定している小さな女の子。なんてことはない、どこにでもいそうな普通の幼女である。
だが、蓮の足は驚きにピタリと止まる。
見間違えようものか……少なくとも、蓮だけは。
黒髪のツインテールに見覚えのある髪飾り。どう見ても、遠い昔に京都の河原で彼を妖精の王子様だと言ってくれた大切な思い出の女の子。最上キョーコである『キョーコちゃん』そのものなのだ。
何故、キョーコの姿が幼女に変わってしまっているのか?それもさっぱりと謎のままだが……
その言動が、どこかおかしい。
出会った頃そのまんまな小さなの『キョーコちゃん』。けれど、ショーへと向けるその顔に笑顔はなく、それどころか、近づくな!と毛並みを逆立て威嚇する子猫のようで。
中身は成長したキョーコのままなのか?予想だに出来もしない飛んでも不可思議なシチュエーションにどう水を差せば良いのやら分からないまま、蓮はそう思考するのだが、その考えは即座に否定されてしまう。
等の『キョーコちゃん』本人の言葉によって。
 
 
「私の『ショーちゃん』は王子様だもん!!」
 
 
あの時、自分には許してくれなかった呼び捨てで彼女を呼ぶ事を許され、泣き虫なあの女の子を、その名前たったひとつで輝く笑顔へと変えていた……『キョーコちゃん』の大切な特別。
小さな『キョーコちゃん』の中身が、尚に捨てられる前のあの『キョーコちゃん』のままなのだと、ありありと突き付けるようなキョーコの声に蓮の手は無意識のうちに強く握り締められてゆく。
また、あの男が……彼女を酷く裏切ったあの男へと、盲目的なまでに純粋な『キョーコちゃん』の想いを、何事もなかったかのように再び寄せられるなど……
そんなこと、許せるようものか。だが、『ショーちゃん』の悪口ひとつでも決して許さなかっただろいあの頃の『キョーコちゃん』を相手に、そんな事を、どう言えばいい?あの頃の『妖精』と変わり果てた今の敦賀蓮の姿で……
蓮は言葉を発することも尚とキョーコを引き離す行動を起こすことも出来ないでいた。
握り締めた手のひらに自分の爪が食い込む痛みよりも何よりも、蓮の心にどろりと暗い闇を落とすような焼けるような胸の痛み。
そんな苦しみの中から、蓮を救い上げるのも……やはり『キョーコちゃん』だった。
 
 
 
 
「だから、俺がその『ショーちゃん』が大きくなった本人だって言ってんだろうがよっ!!」
年端も行かぬ幼子へ向けるには些かどうかと思うような勢いでそう怒鳴る尚。
「絶対にちがうもん!だって『ショーちゃん』は世界一かっこいい王子様になるって言ってたもんっ!!」
一方、だからお前が『ショーちゃん』な訳ない!とばかりに全力宣告してのけている少女。
怨みを募らせ復讐を誓って芸能界へとやって来た後ならばともかく、いつも尚へと笑顔で尽くしてくれていた黒髪ツインテールの幼い『キョーコちゃん』からの思わぬ拒絶のの言葉に、何処か今更にショックを受けた尚は思わずにキョーコの否定を掻き消すかのように言葉を返す。
「俺は世界一かっこいいだろうがっ!!!」
なんて、例えそう思っていたとしても自分で声を大きく全力主張するのはどうかと?なナルシスト宣言じみた訴えでもって。
「………………はぁぁ。」
たっぷりとした沈黙の間を置いて、ため息を吐き出した幼女は、お前が世界一かっこいいとか何を馬鹿な事言ってるやがるのか……とばかりに斜め下方へと軽く俯かせた首を左右へと振って見せた。
「まず!王子様はこんな子供に対してそんな大人気なくムキになったりなんてしません!それに、そんな悪趣味にじゃらじゃらアクセサリーなんて付けたりし、髪だって、本物の王子様の髪の色はそんな痛んだ作りものな色なんかじゃなくってサラ艶ナチュラル綺麗な金色だったもん。何よりっ!…………王子様には白馬でしょうがっ!!」
いや、最後のそれはどうかと……な幼女の力いっぱいの主張。
それは向けられた尚だけでなく、さり気なく蓮もザクリと被弾していた。
『キョーコちゃん』の言う本物の王子様の髪の色を持って産まれた筈の蓮。お守りがわりの腕時計とネックレスひとつ以外のアクセサリーは身に付ける習慣はないが、実は髪だって染めてるしカラコンだって入れている。それどころか、名前も人種国籍から別人を偽っている。もちろん、白馬もない。
世の乙女たちの大多数の人気を占めている不破尚と敦賀蓮なイイ男代表的なふたりへと会心の一撃をやすやすと放つ幼女。
だが、そんな幼女の勢いは止まらない。幼かろうが小さかろうが、その中身は微塵の揺るぎもなく最上キョーコなのだ。ノンストップだ。
「ゴテゴテしたデザインで誤魔化しつつも5センチほど底上げな靴だし!王子様なら素材そのものの良さで勝負しなさいよ、この方みたいにっ!!」
と、バシッと『キョーコちゃん』な少女が唐突に手で指し示したのが蓮である。
ここでやっと蓮の存在に気付いたらしい尚はなんでお前がいやがんだよ!?とばかりにくしゃりと盛大に顔を顰めるとキョーコへと叩き付けるかのように叫ぶ。
「お前がっ……敦賀より俺の方が100倍かっこいいって言ったんじゃねぇかっ!!」
再度、自ずから主張するのはどうか?な事を言い放つ尚。
だが、それもある意味では仕方がなかったのかもしれない。なにせ、今のキョーコの姿は過去に盲目的に彼に完璧にピンポイントで心地良いフレーズでもって欲しいだけ、それ程浴びる様に求めるだけ褒めちぎってくれていた頃のキョーコの姿なのだ。思わず引き摺られるのも止む無しであろう。
「はぁ!?ほんとの好物はプッチンプリンなあんたと違って滲み出る生まれ持ったセレブなゴージャスターゆえの高貴さはまさにロイヤル!」
そんな尚をぶった斬るかのようにキョーコは朗々と蓮への賛辞を語り出す。
いかに尚より蓮がかっこよく優れた存在であるかを、だ。
普通ならば、素直に喜べばいいのだろうが……
「その美貌たるやまさに神が創りたもうた完璧な造形美。深い知性を感じさせる黒曜石の如くの瞳に長い睫毛、さらには…………中略…………誰がどう見ても見てもパーフェクト!と叫ばずにはいられないだろう骨格の美しさバランスとしなやかに鍛えられた肉体、その色香たるや!その上…………中略…………高い演技力に豊かな表現力はもはや演技の神と言えるでしょう!!」
うっとりと詰まることもなく延々と、まるでスピーチかの如くに語る様はまるで狂信者なまでの熱のこもりようで。
褒め称えられるを通り越してもはや崇め奉ると言った方が良いだろう。
キョーコにとって自分は偉大なる先輩どころか信仰の対象としての神か天上人扱いで、やはり恋愛対象として意識どころか男として見てももらえてないのだと、今更にそう突き付けられているようで…………べっこりと凹む。
の、だが、物心付くような年頃から延々とキョーコから王子様として献身的に尽くされてきた尚にとっては違うように見えたらしい。
ただ手に落ちてこない恋に焦がれる焦燥感に顔を歪ませた尚はキョーコへと声を上げる。訴えるように強く、それでいて何処か縋るように。
「あの時、こいつだけはねぇって誓っただろうが!?」
咎めるようなその声に、キョーコはきゅっと唇を噛んで言葉を閉ざす。
その時だった。くゆりと、まるで蜃気楼のように幼いキョーコの姿が歪んだかと思えば、定点撮影の映像を超速度で速回しにした映像のようにキョーコの姿がみるみると変化し始めた。
小さな長居姿や学生服などに化粧気のない質素な服装。そして、長かった黒髪が急に短かな栗色へと変わると目に痛いラブミーピンク色のツナギ姿に金のロングヘアーの天使や憎悪を宿した額に傷を持つ令嬢にピンクアッシュのパンクガールなどを経て現在のキョーコへと、目まぐるしく姿を変えてゆく。
そんな己が目を疑うような不可思議な超常現象に尚も蓮も、ただただ驚愕に目を見開くだけで言葉を失う。
だが、等のキョーコ本人は自分の身に起きている変化に気付いてもいないのか、暴走状態ノンストップなままで尚の叱責の言葉へと応えたのだ。
 
 
 
 
 
「それでもっ!敦賀さんが私の王子様だもん!!」
 
 
 
 
 
まるで幼子のような口振りで。
だが、確かに恋を宿した乙女の瞳をして。
そしてそう言い切った瞬間、キョーコは自分が誰の前で何を口走ってしまったのか、今更になって我に帰り悟る。
もはや言い訳も誤魔化しも不可能と理解したのだろう。赤く染まっていた頬をさぁっと青ざめさせ、絶望に身を震わせたキョーコは蓮や尚が口を開くその前に、クルッと踵をかえすと運動神経に自信のあるマネージャーを振り切ってみせた俊足でもって脱兎の如くに一目散に逃亡を目指したのだった。
 
 
 
 
 
後に取り残されたるはふたりの男。
だが、蓮の意識からはもはや尚の存在など消え失せていた。
さもありなん。自分を神様扱いしかしてくれてないと思っていたあのキョーコが……『キョーコちゃん』が蓮を王子様だと、そう言ってくれたのだ。
これが凹むより喜ぶよりもまず先に…………追いかけずにいられようか?
 
 
 
 
 
言うだけ言って逃げ出した愛しい獲物をこの腕の中へと捕獲すべく、蓮の脚は走り出したのだった。
 
 
 
 
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また幼児化する飛んでも話かよ?とお思いのそこなあなた。ご指摘の通りですとも。←ひらきなおり
 
 
壁|д')……いや、ね?
5周年な5歳児ものを書き終わった後で、ふと気が付いたのですよ。
そいや中身まで完璧5歳児化してるのって書いてなかったなーと。
んで、某会議室にてチラッと幼女なキョコちゃんにけちょんけちょんなまでに王子様否定されちゃう松くん……みたいな妄想をぽそりとこぼしてたやつの成れの果てですね。
あ!この話の幼女キョコちゃんは5歳児と明記してないので5歳児ものには含まれません☆
 
 
 
そんな猫木以外の誰ぞが楽しいのやら全く不明なものにでございましたとさ。
どっとはらい。
 
 
 
次こそおおかみさんの続きをばなんとかせねば……
_:(´ཀ`」 ∠):
 
 

↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。

 


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